水際で違法取引を防ぐ!税関研修所での「ワシントン条約」講義
2023/02/24
WWFジャパンの野生生物取引調査・監視部門TRAFFICでは毎年、税関の職員研修の中で「ワシントン条約」の講義を担当させていただいています。
今年も1月末に横浜税関で、7年以上の実務経験のある中級職員の方々に向けて講義を行ないました。
一見、野生生物と税関にどのような関連性が?と思われるかもしれません。
講義のテーマである「ワシントン条約」は、ペット目的で取引される生きたフクロウやカメなどの野生動物や、楽器や家具の材料となるローズウッドなどの植物、食用のナマコ、装飾品の象牙やべっ甲など、約38,700種の野生生物の国際取引を規制しています。
そして、「税関」は空港などの水際でこれらの国際取引の取り締まりを行なっています。
また、野生生物の国際取引には、高値で売買される希少種や、輸入が法律で禁じられている動植物を「密輸」する事例も含まれています。
最近の事例では、2022年6月にピグミーマーモセットやショウガラゴなど小型サル類を段ボールとスーツケースに隠し、タイから羽田空港に航空機で密輸した事件がありました。
発見のきっかけは、税関職員が段ボールの中から聞こえる鳴き声に気づいたことでした。
この事件のように、密輸は、発覚を防ぐため巧妙に隠されていることが多く、また、規制の対象や制度も変化することから、講義では実例や最新の条約改訂内容も紹介しました。
野生生物を違法取引から守るために、非常に重要な水際での取り締まり。
これからも、税関をはじめ、空港・航空企業を含めた関係者への情報提供など積極的なサポートを行なっていきたいと思います。
(野生生物グループ TRAFFIC 岡元)