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「気候マーチ」50万もの気候危機の解決を求める声が集結!


午後6時、地下鉄の駅を出るとすぐに、マドリード中心部のプラド通りをめざす人の波に飲み込まれました。その一人ひとりが、メッセージやイラストを描いたプラカードを掲げ、仮装をし、歌を口ずさみ、軽やかにステップを踏んでいます。気候危機の解決を求める行進は、何キロにもわたり大通りを埋め尽くしています。

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昨年8月、スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんが一人で国会議事堂の前で始めた「学校ストライキ」。その勇気ある行動は若者たちの共感を呼び、日本を含む世界中に「未来のための金曜日(Fridays For Future)」と呼ぶ活動が広がりました。
やがて若者たちの熱意は多くの市民の心も動かし、わずか1年半であらゆる世代がこの運動に参加。今では世界の主要都市で、毎週金曜日に気候マーチが行われています。

そして、国連の温暖化防止会議COP25が開催されている、ここスペインのマドリードでも、「気候マーチ」(行進)が行なわれました。
報道によれば、その数は50万人。

見渡すかぎり続く行列の中には、若い両親に抱かれた赤ちゃんもいれば、自分で描いたというプラカードをもつ小学生も、クラスメイトといっしょにやってきた高校生のグループも、「若くはないけれど黙っていられなくて」とおだやかにほほえむ高齢者もいます。

さらに、参加している団体も、環境NGOだけでなく、労働組合、文化やスポーツのサークルなどあらゆる分野にまたがっています。

世界中に広がった「未来のための金曜日」を始めたグレタ・トゥーンベリさんを讃えるプラカード
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世界中に広がった「未来のための金曜日」を始めたグレタ・トゥーンベリさんを讃えるプラカード

行動を始めた市民は、開幕を前にした11月29日にも、COP25さなかの今日も世界中で街頭にくりだし、会議場にいる交渉官や閣僚にも行動するよう求めました。各国政府が必要とされる行動をとるまで、市民がマーチを止めることはないでしょう。

 会期2週目の来週月曜日には、いよいよ閣僚級会合が始まります。気候危機の回避を願って行動する世界中の市民の期待がCOP25の成果に反映されるよう、私たちも後半の1週間も積極的に活動していきます。どうぞ最終日まで応援してください。(自然保護室・小西)

横断幕に込めたWWFのメッセージは「今しかない!」。気候緊急事態を認識し、一刻も早く行動することを訴えながら、およそ2時間にわたって行進しました。
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横断幕に込めたWWFのメッセージは「今しかない!」。気候緊急事態を認識し、一刻も早く行動することを訴えながら、およそ2時間にわたって行進しました。

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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