© Masako Konishi

豊富な地域再エネと地元事業者の縁結び 山陰合同銀行・ごうぎんエナジー訪問記[前編]


再生可能エネルギーの豊富な地域で再エネ拡大を推進していくためには、地域をよく知る地方銀行が地域の事業者と一緒に進めていくのが鍵となるのではと思い、金融機関では日本初の再エネの子会社を作った山陰合同銀行に話を聞きに行きました。
 
 私の頭の中には、データセンターやAIなどのIT企業や、RE100に加盟している企業が、再エネを求めて地域に進出する意欲が高く、再エネに取り組む地域にとっては発展の原動力になる、という認識がありました。もちろん、それはその通りの面があるのですが、一つわかったことは、そういった大規模な需要家は、自社で再エネも手配するということ。すなわち県外の事業者が再エネを作り、それを県外の企業が買っていく、という構図です。もちろんそれも地域の発展の大きなドライバーであり、そこへ地域の事業者の関与を高めていく、という発展の仕方もあります。一方で、地域の資源としての再エネが地域で使われないという面もあります。

地域の事業者が再エネ事業に取り組み、そのエネルギーが地域で使われるという好循環を生み出すことが、地域に再エネを歓迎し、より取り組む意欲を高めることは間違いないでしょう。地域の事業者もより長期に持続的に発展していくことになります!

© WWF Japan

取材に応じていただいた(株)山陰合同銀行 経営企画部 サステナビリティ推進グループ長の小豆澤様(中)と、ごうぎんエナジー(株) 代表取締役社長の安喰様(右)。並々ならぬ思いを聞かせてくださいました。

2021年の銀行法改正で、金融機関でも地域資源を活用した再エネ事業への参入が可能となり、その第一号の再エネ子会社「ごうぎんエナジー」を設立した山陰合同銀行、その安喰社長にお話を伺いました。第一号としてのご苦労ややりがいは下記の取材記事を読んでいただくとして、私が一番心に残ったことは、少子・高齢化が深刻化している山陰地域において、銀行のお客様の課題解決を通じて、地域とお客様、銀行がともに持続的に成長していくためにこそ、付加価値の高いサービスの提供が必要。その一つが“地元の取引先に軸足を置いた再エネ”推進であるということです。

ごうぎんエナジーの設立にあたって、山陰合同銀行が再エネのニーズを聞いたところ、半年間に500件を超える要望があったとのこと!高圧の数百kWクラスから低圧に至る、小規模な案件も含めて、その一つ一つに“地域内の複数の関連事業者”とともに、丁寧に対応していくと語っておられました。「地域で作って、地域で使われる」仕組みづくりにまい進されるその並々ならぬ思いに胸が熱くなりました。
詳しくはぜひ下記取材記事をご覧ください。

小西雅子インタビューシリーズ paint a future ~地方銀行が再エネ事業に取り組む意味 地域課題の解決に実働をもって(PDF)

※この記事は、日報ビジネス株式会社のご許可を受けて「隔月刊 地球温暖化」から転載しています。(記事の後編は2025年7月号に掲載予定です。)

(気候・エネルギーグループ 小西)

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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