農林水産大臣政務官にゴーストギア対策強化を求める要望書を提出
2026/07/15
WWFジャパンは、2023年9月から2026年9月までの予定で、日本近海の特徴の異なる7海域で、現地の漁業者やダイバーと協働して、ゴーストギアの存在やその悪影響を調べるための潜水調査「ゴーストギア調査隊」を実施しています。
本調査の結果、実際に海中に残存するゴーストギアを確認し、それに起因する生物の死傷、サンゴの損壊、漁具のマイクロプラスチック化、漁業や観光業への悪影響など、環境面のみならず社会経済面への被害を確認しました。
漁業活動からの流出が避けられないゴーストギアですが、高価で大事な漁具を意図的に投棄または放棄する漁業者はほとんどいません。
しかし、自然を相手にする以上、どんなに管理された漁業でも天候の急変や操業中の事故、または管理不足、危険回避などで意図せず流出することがあります。
漂流するゴーストギアを回収し、被害拡大を防止する仕組みを構築することは、漁場や水産資源の保全、安全な船舶航行などにつながります。
ゴーストギアの発生を予防し、その悪影響を軽減し、豊かな漁場の回復および貴重な水産資源を保全するためには、個々の漁業者による漁具管理だけでなく、より組織的な対策が必要であると考えます。
そこで、WWFジャパンは2026年7月3日、山本啓介農林水産大臣政務官に「漁業系プラスチックごみ(ゴーストギア)の対策に係る要望書 」を提出。政府としての対策の強化を求めました。

山本啓介農林水産大臣政務官(右から2番目)に要望書を手渡すWWFジャパンの笘野哲史(右から3番目)、ヤップ・ミンリー(気味から4番目) 、 WWFジャパンアドバイザーの浅井総一郎氏(右から1番目)、NPOパートナーシップオフィスの金子博氏(右から5番目)
WWFが求めるゴーストギア対策強化3つのポイント
要望書の中でWWFジャパンが求めたのは、主に以下の3点です。
要望1. ゴーストギア発見から回収まで一連の仕組み構築
ゴーストギア対策の一方策として、人的・設備的な制約がある離島等の地域においても実施可能な体制を構築するため、漁業者が海中・海底の逸失漁具を発見した場合の、通報から回収・処分までの一連の仕組みを関係省庁及び地方自治体、民間事業者等と連携してモデル事業を実施すること。
要望2. 漁具の廃棄物管理に関する現状調査の実施
ゴーストギアを含む漁具の廃棄物管理の徹底に関する現状を把握するために、「漁業系廃棄物処理ガイドライン」および「漁業系廃棄物計画的処理推進指針」の実施状況に関する現状調査を、環境省と連携して実施すること。一例として、漁協・漁連が主導する集団的かつ計画的な処理の実施状況や普及への課題等を明らかにすること。
要望3. 漁具の生産・流通・使用・廃棄の状況把握
海洋流出もしくは不適切に廃棄される漁具の量を把握するため、ゴーストギア対策の効果検証に関わる基礎的なデータともなる日本国内で生産(および日本に輸入)・流通・使用・廃棄される漁具のライフサイクルフローを把握すること。

2025年8月に長崎県五島市で確認したゴーストギア
WWFジャパンの要望書の提出を受けて、山本啓介農林水産大臣政務官は「 WWFジャパンの独自調査に基づく情報提供に感謝する。ゴーストギアが自然環境や漁業者へ与える影響や危険性は認識した。他国の対策も参考にしつつ、水産庁の取り組み強化や、関係省庁と連携した対策も含め、ゴーストギア問題の改善にむけた包括的な対策を検討していきたい 」と語り、その旨、担当者に指示しました。
WWFジャパンは今後、2023年夏から3年間にわたり実施してきた「ゴーストギア調査隊」の調査結果をまとめて分析した報告書を発表予定です。



