TNFDが「自然関連の機会」についてのレポートを発表
2026/07/01
- この記事のポイント
- 2025年11月、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)により自然関連の機会(nature-related opportunities)に関するレポートが発行されました。レポートはTNFD開示に取り組むメリットや機会の具体事例について情報を提供するために作成されました。農業から海運業まで幅広いセクター、地域はヨーロッパからアジアまで、多種多様な企業の事例が取り上げられています。WWFジャパンはこの報告書の執筆に協力。TNFD開示が企業や金融機関にもたらすビジネスチャンスについて学べる機会の提供に取り組んでいます。

Discussion paper on Nature-related opportunities
2025年11月6日、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)により自然関連の機会(nature-related opportunities)に関するレポートが発行されました。
TNFDとは企業が自然環境や生物多様性にどのような影響を与え、また自身のビジネス経営にどういうリスクと機会をもたらすかを評価し公表する仕組みです。
今回発行された自然関連の機会に関するレポートでは、さまざまな企業の実例を通して自然関連の機会がどのように業務へプラスに働いたか知ることができます。
▶WWFのTNFD関連活動について詳しく知りたい方はこちら:
TNFDのベンチマーク調査結果に基づく報告書「2024年TNFD開示の潮流と日本企業の対応状況」を公開 |WWFジャパン
▶レポートのダウンロードはこちら(外部リンク):
TNFD Discussion paper on nature-related opportunities
自然関連の機会とは?
「自然関連の機会」とは、企業と自然環境の双方にプラスの影響をもたらす活動を指します。これは、自然へのポジティブな影響の実践やネガティブな影響の軽減を通じて実現されます。
例として、製品・サービス・手法等をより自然環境にやさしい形で開発することや、変更・修正することなどが含まれます。
本レポートでは、「自然関連の機会」に関する要素をまとめ、さまざまな事例から、ビジネスにおける課題と解決策を紹介しています。
「自然関連の機会」を実現するためには、経営陣から承認を得ること、資金調達、実装時に同時にビジネスにおける成果も示すこと等が成功の鍵となることが示されています。
レポートには農業から海運業まで幅広いセクター、地域はヨーロッパからアジアまで、多種多様な企業が取り上げられています。日本からは日本郵船株式会社(NYK)の事例が紹介されています。
NYKの事例では、シップリサイクル・船舶解体に関し、国際基準より厳しい独自の環境・人権基準を設けたことが紹介されています。国際基準に先駆けシップヤードに対策を実装してきたことにより、国際基準が厳しくなった際に適合シップヤードと優先的に取引を行えるため、長期的にビジネスチャンスとなった内容が紹介されています。
日本郵船のTNFD開示に関する取組について詳しく知りたい方はこちら:
日本郵船グループTNFDレポート2025 ~A Passion for Planetary Wellbeing~(外部リンク)

自然関連の機会の構造
いま、企業から自然関連の機会への注目が集まる理由
自然関連の機会は、財務リスクの軽減や顧客の関心など、さまざまな理由で組織内からボトムアップで見出されることが多くあると報告書で紹介されています。 ボトムアップで見いだされた機会は経営層の承認を経て実装のプロセスに移ります。実装時にはパイロットテストや実証事例など小規模で試すことから始めることによって、迅速な成果の提示、経営層の支持獲得、資金調達、顧客確保、商業的な実現性の確立がスムーズに行なわれやすい模様です。
なお、自然環境は一企業だけでなく様々なステークホルダーが関わるため、地域の関係者、技術専門家、バリューチェーン上の関連団体との協働は、自然関連の機会を構築するにあたり欠かせないものです。
また、環境系NGOや市民団体などとの連携により、再現や拡大(スケーリング)が容易になると複数事例で示されています。
WWFジャパンでは、各社が発表したTNFDレポートを分析し、自然関連の機会とリスクに対しどのように対応すべきか、様々な企業と対話を続けています。
担当:
WWF 金融グループ・海洋水産グループ



