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新「環境表示ガイドライン」を読み解く

この記事のポイント
環境表示をめぐって、グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)への批判が広がる一方、これを避けようとするグリーンハッシュの増加も懸念されています。国際的な規制の強化を受けて、環境省は13年ぶりに環境表示ガイドラインを改定。2026年3月に発表された新ガイドラインは、国際的な最新動向も反映し、日本企業にとってグリーンウォッシュを防ぐことのできる良質な指針となっています。その概要と注目点について解説し、先進企業の取り組みを紹介するセミナーを開催しました。解説者は、環境省および改訂委員会の委員として参画したWWFジャパン小西雅子と先進企業の委員の皆さんです。改訂に関わった関係者からの生の声を収録した動画と資料を報告します。
目次

プログラム

司会 WWFジャパン 田中健

1)基調講演 新環境表示ガイドラインの解説と意義
  環境省 大臣官房 環境経済課 平尾禎秀様 [資料]

2)新環境表示ガイドラインの注目点
  WWFジャパン 小西雅子 [資料]

3)企業の好事例
その1(株)リコー SCM本部 佐藤多加子様 [資料]
その2 イオン(株) 責任者 サステナビリティ担当 渡邉祐子様 [資料]
その3 アサヒ飲料(株)CSV戦略部 松本圭司様 [資料]
グリーン鉄の購入にあたって気を付けること 自然エネルギー財団 西田裕子様 [資料]

4)パネルディスカッション(40分)
ファシリテーター:WWFジャパン 小西雅子
パネラー:環境省 平尾禎秀様、イオン(株)渡邉祐子様、(株)リコー 佐藤多加子様、自然エネルギー財団 西田裕子様

各講演の概要

基調講演 新環境表示ガイドラインの解説と意義

環境省 大臣官房 環境経済課 平尾禎秀様

1. 背景
新環境表示ガイドラインのポイントをお伝えする前に、なぜ改定したのか、背景について説明させていただきます。
まずグリーンウォッシュとは何かというと、実はちゃんとした定義はないんですが、見せかけだけ、うわべだけということで、これがよくないことは疑問の余地がないと思います。一方で、グリーンウォッシュを恐れるあまり、グリーンハッシュが起こります。グリーンハッシュにも一般的な定義はありませんが、環境にしっかり取り組んでいるのに、それを言わないということです。政策側からすれば、しっかり言ってほしいわけです。環境分野ではほんの少しの改善しかできないことが多いですが、それでも進歩は進歩なので、しっかり言ってほしい。積極的に言わないと、マーケットが育たないという悪循環になることを懸念しています。
グリーンウォッシュを未然に防ぐことが必要ですし、グリーンウォッシュを恐れるあまりグリーンハッシュをすることは事業者にとってチャンスロスになり、消費者にとって望ましい製品やサービスが購入できない事態になる。その結果マーケットが育たないという、誰も望まない状況になるのでよくないわけです。政策サイドとしては、環境製品を出すと市場でいいぞと言ってもらえて、市場が発展するようにしたい。両者をつなぐのが適切な表示ですので、環境表示ガイドラインを改定しようと思ったわけです。

2. 環境表示に関する消費者の実態
消費者に「グリーンウォッシュという言葉を知っていますか」と聞くと認知度はせいぜい2割台ですが、「経験したことがありますか」と聞くと4割に増えます。知らないのに経験したことあるというのはどういうことなのかと思いますが、おそらくもやもやしているんだと思います。また、環境表示を気にしているという人は2割くらいしかいませんが、リサイクル品を買うとか、簡易包装をとか、いらないものはもらわないという人はけっこういます。なんとなく買いたい、関心があるという人も、なんとなくもやもやしている人もそれなりにいるので、チャンスロスにつながりますし、ここを無視していいのかと思うわけです。

3. 環境表示に関する枠組
環境表示がどんな政策体系になっているかというと、法律としては消費者庁が所管する「不当景品類及び不当表示防止法(景表法)」があります。この法律の対象は、製品などの表示です。環境表示ガイドラインは、景表法の表示の部分をカバーしつつ、もう少し広い範囲を対象にしています。
コンプライアンスということで取り締まり権限があるのは消費者庁で、景表法で合理的な根拠がない表示は優良誤認で処罰を受け、措置命令が出されます。これに対して環境省では、別途グリーン購入法でこういうものを買いましょうというガイドラインを出していますので、今回はグリーンウォッシュとグリーンハッシュを防止するという観点から環境表示ガイドラインをアップデートさせていただきました。

4. 海外規制動向
海外の事例としては、ISOが最も統一的で、国際的に広がっていますが、欧州の動きが激しくなっています。欧州ではダイレクティブ(指令)という法律を作った後、各国が国内法化していきます。その中の「公正取引慣行指令」が2年前に改正され、現在、加盟国で国内法化されています。この公正取引慣行指令は一般法ですが、こういうことすると不公正取引になるという事例が列挙されています。また、「グリーン訴求指令法」というより厳しい内容の指令がありますが、現在、立法作業は停止しているので、動向を注視しています。
また、国連機関では、UNEP(国連環境計画)が「製品の持続可能性情報の提供に関するガイドライン」を出しています。

5. 改定環境表示ガイドライン
環境省の改定前の環境表示ガイドラインも国際的にみて遜色がないと思いますが、いかんせん古いので見てもらえないと思いまして、現代的にグリーンウォッシュやグリーンハッシュをめぐる状況が動いていることを踏まえて更新したのが今回の改正のポイントです。そのため、骨格は変わっていません。ガイドラインにはあいまいなことは言うなとか、説明をつけてくださいという5つの基本項目がありますが、これはISOの要求事項でもあります。

改定の検討体制としては、検討委員会の委員として、今日ご登壇いただいている方々に多大なご尽力を賜りました。また、取り締まり権限がある消費者庁に一緒に検討していただき、JERO(広告審査機構)にもアドバイスやご指導をいただきながらまとめさせていただきました。

ここからは、環境表示ガイドラインの概要について説明させていただきます。
目的は先ほどから申し上げていますが、適応範囲は景表法の対象となる環境表示に加え、製品やサービスの取引に直接的な関係のない環境表示も対象になります。これは前のガイドラインと同じですが、大事なことなので何度も言わせていただいています。また、推奨事項もありますし、最近の状況を踏まえたアップデートはコラムとして追記しています。

次に、5つの基本項目のポイントを申し上げます。
まず1番目の「あいまいな環境表現や環境主張は行わないこと」については、あいまいな表現は書き下していただき、どこかに説明文をつけることが必要です。また、カーボンフットプリント、オフセット、クレジットの使い方にも注意が必要ですので、コラムで紹介しています。

2番目の「環境主張の内容に説明文を付けること」については、何がいいのかしっかり説明してくださいということです。すべて説明し切ることは難しいし、製品だけで説明することも難しいので、いろんな方法で説明していただければと思います。この点については、景表法における「合理的な根拠を示す資料」に示されている考え方を紹介しています。
また、コラムで「マスバランス」について説明していますが、紙やプラスチック、スチールなど素材ごとに状況が違いますので、しっかり見ていくことが大切です。

3番目の「製品のライフサイクル全体を考慮すること」については、ライフサイクルアセスメントをすべて計算しないとだめということではありませんが、ライフサイクルをしっかり見てトレードオフが視野に入っていることが重要です。例として植物由来のバイオマスプラスチックを挙げて、食糧との競合や無理な土地改変などのトレードオフがないかを確認することが必要だと紹介しています。

4番目の「環境主張の検証に必要なデータおよび評価方法が提供可能で、情報にアクセスが可能であること」については、アクセス可能なことが大事なところです。すべてのデータを製品に表示し切ることは不可能だと思いますので、たとえばQRコードなどをどこかにわかりやすく載せて、たどれるようにすることが非常に大事だと思っています。

5番目の「製造又は工程による比較主張はLCA評価、数値等により適切になされていること」については、何が、どう、どれだけいいのかを定量化していただければと思います。

最後に、これは大事なことなので何度も申し上げていますが、企業姿勢やイメージ広告についても、5つの基本項目をご参考にしていただきたいので事例を紹介しています。
また、先ほどEUの動きが激しいので、情報を別冊化してアップデートしましたが、これからもアネックス化して随時アップデートすることにしっかり取り組みたいと思っています。

まとめになりますが、近年の国内外の状況に照らして、環境表示ガイドラインをアップデートさせていただきました。従来のガイドラインの骨格は維持しており、大きく変わってはいないので、引き続き安心してお使いいただけたらと思います。また、今まで知らなかったという方は、これを機会にぜひ手に取っていただければと思います。
事業者の方々にはグリーンウォッシュを回避するために積極的に導入していただき、消費者の方にはぜひ応援していただきたい。相互の信頼の好循環によって市場が発展していくという期待から、グリーンウォッシュに過度に萎縮する必要はないというポイントをまとめたつもりですので、ぜひご覧になっていただきたいと思います。

新「環境表示ガイドライン」の注目点〜WWFの視点から〜

WWFジャパン 小西雅子

はじめに
世界でグリーンウォッシュへの批判が厳しくなり、海外ではコンプライアンスの問題になっていることを受けて、環境表示ガイドラインがアップデートされました。
注目点は、大きく2つあります。まず、これまでは商品やサービスなどの個別の商品やサービスが対象でしたが、イメージ広告も対象になります。「環境にやさしい」、「地球にやさしい」などの言葉をブランドイメージとしてお使いになる企業もあるかもしれませんが、イメージ広告も対象になることに気をつけていただければと思います。もうひとつは、国際規格への準拠が求められることです。マーケットも調達もグローバルになっている現在、国際規格に準拠することが求められ、その規格もアップデートされていますので、日本語でずっと追っていけることは大きなメリットになります。

5つの基本項目
次に、5つの基本項目について解説します。
1. あいまいな表現や環境主義は行わないこと
これまでは具体的にどんなものかがわかりにくかったので、今回は明確にイラストで描かれています。「自然にやさしい」、「グリーン」などの表現は単独で使用できず、必ず合理的な説明文が求められます。たとえば再生プラスチックを使っているなら70%使用している、年間使用電力量をどれくらい削減できたかなど具体的な表現に変える必要があります。

特に「カーボンオフセットに関する主張」として、該当するISO規格に加え、環境省や経済産業省のガイドラインに準拠して説明することが必要です。注目点のひとつは、「自ら排出削減を行わないことの正当化に利用されるべきではない」という点です。2つ目の注目点は、別冊でカーボンオフセットに関する国際動向が紹介されていることです。国際的には短・中期の削減目標にカーボンクレジットでオフセットすることは、グリーンウォッシュと見なされます。国連のネットゼロに関するハイレベル専門家グループによる指針『Integrity Matters』でも、クレジットによる短・中期目標のオフセットは認められていません。

2. 環境主張の内容に説明文を付けること
環境主張の内容は、それが製品なのか包装なのかを明確に分けて書く必要があります。説明責任も求められますので、サステナビリティ経営の推進にあたって、環境表示は企業の信頼性を左右する重要な経営要素であることを、経営陣にこそ意識していただきたいと思います。今回の改定では具体例が示されて非常にわかりやすくなっていますので、自社の環境表示がこのガイドラインに沿っているかをチェックしていただければと思います。
この点で説明責任が重要になるのが「マスバランス方式」です。これは「特性の異なる原料を混合して製造する際、ある特性を持つ原料の投入量に応じて、生産物の一部にその特性を割り当てる手法」で、国内では特に鉄鋼製品に注意が必要です。

3. 製品のライフサイクル全体を考慮すること
企業にとって原材料の調達から廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体を考慮することは非常に難しく、できることとできないことがあります。どこまで表示するかのポイントは、重大なトレードオフがあるかどうかになります。たとえば主張する環境改善がバイオマスプラスチックの使用である場合、それが食糧と競合していないか、無理な土地改変を行っていないかを確認し、トレードオフがあればその事実を隠さずに表示し、軽減対策を講じることが求められます。都合のいい部分だけを主張することはできません。

4. 環境主張の検証に必要なデータ及び評価方法が提供可能で、情報にアクセス可能であること
正確でわかりやすい表現で表示するとともに、もっと詳しく知りたいという消費者のために、データ元を提示することが重要です。製品に表示できない場合には、QRコードなどを使って定量的な根拠データを知らせることができます。

5. 製品または工程における比較主張はLCA評価、数値等により適切になされていること
たとえばカーボンフットプリントを前の機種より約25パーセント削減したという場合、独自の算定方法ではなく、公的な算定方法に従って定量的な評価を根拠にする必要があります。

おわりに
環境表示ガイドラインの大きな特徴は、別冊で国際的な規制がアップデートされていくことです。国連の『Integrity Matters』の日本語訳も載っているように、国際機関を含む海外のガイドラインや自主基準の概要が掲載され、リンク先に飛べるようになっています。
この環境表示ガイドラインを守っていればグリーンウォッシュと言われないものができると思いますが、マーケットがグローバルになる場合、欧州委員会やアメリカの一部の州のようにより進んでいる地域がありますので、必ず該当国・地域の法律やガイドラインに準拠するように呼びかけています。それが別冊に掲載され、日本語でアップデートされますので、できるだけ早い時期にこのガイドラインに準拠した表示に切り替えていただければと思います。また、Q&Aも非常に充実していますので、ぜひご活用いただければと思います。

環境表示のあり方 〜リコーグループの事例〜

株式会社リコー 佐藤多加子

当社は、長年にわたり、複合機やプリンターを中心としたビジネスを展開してきました。本日は、取り組み事例としてまず既存事業として複合機の環境表示、そして既存事業との違いをわかっていただくために新規事業の活動、さらに複合機やプリンター業界の取り組みを紹介し、最後に海外の訴訟リスクについて簡単にご紹介します。

1. 取り組み事例
1)既存事業
最初に、既存事業の事例をご紹介します。こちらは3年前に発売した複合機(MFP)の主力機器のリリース通知です。注記でエビデンスを表示して透明性を確保しています。
この複合機の外装・内装のプラスチックに再生プラスチックを50%使用しています。この50%という値は3年前の発売当時業界最高水準であったため、その優位性を訴求したく、時点で、どのソースで業界トップなのかという根拠を明確化しました。具体的には、北米のEPAET(Electronic Product Enviorement Assesmanet Tool)という調達基準で業界トップであると注記で表記しました。

次に、ライフサイクルにおける複合機の環境負荷低減を訴求する事例です。先ほどご紹介した複合機が業界最高水準となる再生プラを搭載したことにより、原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体の環境負荷をCO2排出量に換算したカーボンフットプリントが大きく改善したことを、前身機比較および年間のCO2削減量で示しました。
当時は、新しく使用した再生プラのCO2排出量を算出する公的な原単位が存在しませんでした。そこでリリース時期に間に合うよう専門家の方々にご協力いただき公的に使える再生プラの原単位を作成し、カーボンフットプリントを表示しました。

2) 新規事業
次に、新規事業についてご紹介します。新規事業の場合は、長年の経験やノウハウの蓄積がありません。そこで、あるビジネスユニットでは、(改訂前の)環境表示ガイドラインを参考にしてマニュアルとチェックリストを整備し、環境訴求する場合はチェックリストの提出をルール化しました。実際に危ない場面があったことから、ビジネスユニット自らがチェック体制の整備を行いました。

また、環境ガイドラインの周知として、今回の新環境ガイドラインの発行をきっかけに、2つの本社部門で周知することを改めて明確化しルール化しました。
1つ目は、「ESGセンター」による全社に対してLCAの算出を推進する活動です。その活動のなかでグリーンウォッシュ教育を行っています。事例や各国の法令、ソフトローを紹介し、グリーンウォッシュを過度に懸念するあまり環境性能の訴求を控えるのではなく、適切に発信し、指摘には真摯に対応するという考え方を伝えています。この中に新環境表示ガイドラインの説明も組み込みました。

もう1つは、私が所属する「品質統括センター」における安全・環境のコンプライアンスのチェック機能にリンクさせた活動です。新規事業を立ち上げる部門は必ず当センターに安全・環境のコンプライアンスの相談を行います。相談された事業内容が環境訴求できる場合は環境表示ガイドラインを紹介し、日本だけでなく海外でも耐えうる内容であると伝え、簡単なガイドラインの紹介プレゼンを渡すことをルール化しました。5つの基本項目の図解がわかりやすいと好評です。

3) 業界の取り組み
次に、お客さまの誤解を防ぐため、業界全体で表現の統一を図った事例をご紹介します。日本のグリーン購入法において、複合機のカーボンフットプリントの表示が必須となりました。各社が表記することで数値が比較できるようになります。しかし現在は他社の製品との比較はできない状況にあります。理由は、各社が完全に同一の計算方法を用いてないからです。そのため、現場の販売担当者がお客様から専門的な内容を問われた場合に答えられない、場合によっては優良誤認につながるおそれがあるため、JBMIAのサイトに説明を記載して各社がお客様に同一の説明ができるようにしています。
このほか、北米の州法の包装材規制を例に、あいまいな表現を使わないこと、製品なのか包装材なのかわかるようにすることなどの情報共有も行っています。これらはまさに環境表示ガイドラインに記載されている内容です。

2. 課題
海外での訴訟リスクについて、簡単に紹介します。多くの大企業が訴訟されている事例が散見されます。是非こちらのURLを参照ください。

最後に、グリーンウォッシュに気をつけるということはリスクを減らすことです、リスクに気がついているということは環境訴求ポイントを特定できているということです。特定できた環境配慮性能を訴求できる機会を逸してほしくないと思います。そのためにも環境表示ガイドラインを参照し、効果的な環境訴求をしていただければと思います。

生活者に誤解なく伝えるための環境コミュニケーション〜環境表示ガイドラインを踏まえたイオンの考え方と取り組み〜

イオン株式会社 渡邉祐子

イオンの環境活動を知っていただくこと、それは網羅的に紹介することだけではありません。商品、店舗、地域活動など、イオンにはさまざまな環境配慮の取り組みがあります。重要なのはそれをどう伝えるかです。環境への取り組みを紹介することと、お客さまに誤解なくお伝えすることは必ずしも同じではありません。対象、範囲、根拠を明確にした上で、生活者のみなさまが理解し、自ら判断できる情報提供をすることが求められると考えています。

環境表示ガイドラインの受け止め
環境表示のガイドラインの改定の内容については、企業として説明責任があることを強く理解するということ、またイオンとしてはお客さまが自ら理解してご判断していただける情報提供の精度を高める機会であると受け止めています。

イオンにおける環境表示の前提
私どもイオンは生活者との接点が多いため発信の範囲が広く、商品ではパッケージ、店頭POP、販促物が、店舗では売り場表示、資源回収、地域活動が、WEBや広告では公式サイト、ニュースリリース、広告などがあります。また、グループ全体で多様な事業を展開していますので、発信する媒体や表現もさまざまです。そのため、わかりやすく伝えることと、誤解を招かない正確な情報を伝えることを両立することが重要だと考えています。

環境コミュニケーションで重視する3つの観点
イオンは日々の暮らしの中でお客さまとの接点が多いため、短い言葉で伝えることが多いのですが、短く伝えようとすると対象範囲や根拠があいまいになりやすいという課題も抱えています。そこで、環境コミュニケーションにおいて、3つの視点を重視しています。
1つ目はわかりやすさです。お客さまが日々の買い物で理解できる表現にすることはとても重要です。2つ目は正確性です。どの商品、どの原材料、どの包材、どの取り組みなのか対象範囲や根拠、表示内容を確認する必要があります。3つ目は継続性です。一過性の訴求ではなく、事業活動の中で継続する取り組みとしてお伝えしています。わかりやすいけれども正確でないこと、正確だけれど伝わらないことは、どちらも十分ではありません。生活者のみなさまに伝わる言葉でありながら、根拠と範囲を明確にすることがとても重要です。

事例① 商品・調達に関する情報発信
次に、イオンの商品、店舗、そして地域という3つの軸でお話しさせていただきます。
1つ目の事例は、商品調達に関する発信です。オーガニック、MSC、ASC,FSC、フェアトレードなどの第三者認証や自社基準は、消費者の商品選択と直接つながっています。しかし、認証があるからといって、完全に環境にいいと言えるわけではありません。フェアトレードのオーガニック・グアテマラブレンドのコーヒーを例にご紹介しますと、この商品はオーガニックの豆を使い、包材はリデュースに取り組み、外装を紙に変更し、個包装にバイオマス素材を5%使用すると書いています。それ以外のことをやっていないわけではありませんが、正確に伝える情報は何なのかと考えた結果、今お伝えしたことを環境配慮として表示しています。

事例② 店舗を起点とした資源循環の見える化
2つ目の事例は、店舗での取り組みです。イオンの店舗では、商品トレイ、紙パック、ペットボトル、衣料品などを回収させていただいています。これは、店舗を資源を集めて循環させる拠点として位置づける取り組みです。ただし、リサイクルしていますと伝えるだけでは、回収したものがどうなるのかがわかりません。
このイオンのベストプライスのお茶は、PETボトルに「リサイクル原材料を100%使用しています」と書かせていただいています。店頭でお客さまから回収させていただいた商品をこのPETボトルに再利用していますとお伝えできる商品です。こうした商品を増やすことによって、回収したものがどうなるのかをお伝えすることで、生活者が納得して資源循環に参加できると考え、取り組みを増やしています。

事例③ 企業姿勢を、活動実績とデータで伝える
次は、地域です。イオンでは新店の開店時に、地域のお客さまと一緒に地域に自生する植物を植える植樹活動を続けています。これまでは何本植えましたということを中心にお伝えしていましたが、今後はそれだけでなく、たとえばCO2の吸収量がどれぐらいなのか、生物多様性にどれくらい貢献できるのかも伝えていきたいと思っています。

環境配慮を「正しく伝える」難しさ
ここまでの事例を踏まえ、環境表示にはいくつかの実務上の論点があると思います。表現が抽象的になりすぎていないか、対象範囲が明確か、比較対象や比較条件が明確か、そして根拠資料や算定方法が確認できるか、最後に関係部署の確認内容と整合しているかです。生活者のみなさまに伝わる言葉と正確な説明を両立させるためには、こうした論点が重要だと考えています。

今後に向けて
最後に、今後に向けたイオンの考え方をお話しさせていただきます。環境への取り組みを伝えることは、企業にとって重要な責任です。今回の環境表示ガイドラインでは、どう表示すればいいのかが詳しく、ていねいに示されています。企業の努力の中には伝えられることがたくさんあると思いますので、ガイドラインを参考に、お客さまに選んでいただける商品をもっと増やしていきたいと考えています。イオンにはまだまだ不足しているところがありますが、今後も環境コミュニケーションの質を高め、サプライヤーのみなさまの商品をお客さまにお届けする役割を強化していきたいと思っています。

環境表示への取り組み

アサヒ飲料株式会社 松本圭司

1. アサヒ飲料の概要
アサヒ飲料は、アルコールをはじめとする飲料や食品事業を行うアサヒグループの一企業として、主に飲料を発売している会社です。特に三ツ矢サイダー、カルピス、ウィルキンソンという100年以上培われたブランドを販売していますので、この信頼を100年先までつないでいきたいという思いから、環境表示についても信頼を毀損しない取り組みを進めています。

当社は健康、環境、地域共創という3つの重点領域を中心に据えて経営していますが、特に環境の領域では、使ったものを有効活用する取り組み、新たな資源を極力使わない取り組み、温室効果ガスを極力排出しない取り組みを中心に進めています。
飲料には必ず容器のボトルが必要ですが、一回使われたものから新しいボトルに再生する「ボトルtoボトル」の取り組みをメインに循環型社会の取り組みを進めており、2030年までに100%リサイクルボトルに切り替える目標を掲げています。

2. 社内表示チェック体制・社内プロセス
具体的な事例を紹介する前に、環境目標や取り組みをアピールするうえで、グリーンウォッシュにならないようにするための社内のチェック体制とプロセスを説明させていただきます。
まずは法令、そして環境表示ガイドラインなどの規制に沿って行いますが、グループの環境方針とそれに準拠する環境コミュニケーションガイドラインが定められているほか、表示に問題がないか社内で審査するゲートも設けられています。この環境コミュニケーションガイドラインは、今回の環境表示ガイドラインに基づいて策定されています。

このガイドラインまたはルールに従って、アサヒ飲料だけでなく、ビール社、食品社も社内で環境表示を審査しています。どうしても本社だけで判断できない場合はグループ横串で判断し、グローバルで判断しなければならない場合にはグループジャパンという統括会社、最終的にはグループ全体のグローバルのホールディングスで判断します。

3. 環境表示の取組、課題対応の事例
次に、取り組み事例をご紹介させていただきます。
1)製品へのリサイクル喚起表示
まず飲料各社は、容器包装の識別表示マークをボトルに表示しています。当社は「容器を投げ捨てずにリサイクル」という啓発の言葉をセットで記載することを原則にしています。

2) 広告・販促物に対するリサクル喚起表示
さらに、「飲んだあとはリサイクル」というマークを、商品そのものではなく、商品を掲載する広告や販促物すべてに入れることもルール化しています。容器を使う会社として、リサイクルを啓発する文言を必ず表示する取り組みです。

3) 適正表示への対応、あいまい表示の改善
3つ目は、改善例の紹介です。これまで当社は、ボトルに関する環境目標を「2030年までに、PETボトルを100%環境配慮素材に切り替える」と表示していました。しかし、グリーンウォッシュのリスクがないか社内で見つめ返した結果、「2030年までに、PETボトルを100%リサイクル素材、バイオ由来の素材等に切り替える」と、より具体的に何を環境配慮として訴えるのか明確にする表示に変更しました。

4) 「アサヒのecoマーク」使用方法
次も、改善した事例です。当社は独自に制作した「アサヒのeco」という環境ロゴを商品につけて環境価値をアピールする取り組みを進めています。旧表示ではこの環境ロゴの下に「環境配慮素材を使用しています」とアピールしていましたが、「環境配慮素材」という表現が具体的でないということで、「バイオマスインキをラベルに一部使用」と、何を、どこに、どのくらい使用しているのか明示する文言に切り替えました。

5) リサイクルPETボトル品質(色調)に関する表示
最後に、リサイクルPETボトルの取り組みを紹介します。当社はリサイクル素材を100%使用したPETボトルの展開を加速しています。しかし、リサイクルPETボトルにすると、若干色が変わる傾向があります。こうした色調についてお客さまから問い合わせがあるので、リサイクルの加熱や除染をする過程でどうしても色がついてしまう背景をホームページに掲載して啓発を進めています。昨年末からは、すべての製品ラベルに「リサイクルボトルの場合、容器に色がついていますが、品質に問題はありません」と表示、また店頭POPも用意するなど、消費者の皆様へリサイクルPETへの理解・啓発訴求を進めています。

表示事例
最後に、こうした取り組みを行う中で、最終的にどんなデザイン展開をしているかという事例を2つ紹介します。1つ目は、お茶の商品にリサイクルPETボトルの色調に関する注意表記をし、「アサヒのeco」という環境ロゴを入れ、バイオマスインキをラベルに一部使用という具体的な手法を記載し、「容器は投げ捨てずにリサイクル」という啓発を入れた3点セットの表示事例です。また、天然水でも同様に、3点セットで記載しています。
商品によって表示方法は違いますが、社内の環境コミュニケーションガイドラインに従い、グリーンウォッシングに注意しながら環境表示の取り組みを進めているところです。

グリーン鉄の調達にあたって気を付けたいこと 〜鉄鋼製品と環境表示〜

自然エネルギー財団  西田裕子

グリーンスチール――鉄鋼製品の環境表示と「グリーン」
グリーンスチール、あるいはGXスチールがどのようなものかわかりにくいとよく聞かれますので、どういうものなのか、何に気をつければいいかについてお話しをさせていただきます。
グリーンスチールとは「よりサステイナブルな鉄鋼製品」です。ただし、この定義は非常にあいまいです。グリーンスチールの定義、あるいは評価基準としてひとつだけはっきり言えることは、2050年の脱炭素化時代にどんなグリーンスチール製品でなければならないかという定義が決まっており、究極のグリーンスチ―ルとは「ニアゼロエミッションスチール」であるということです。ゼロではありませんが、非常にゼロに近く、その定義もカーボンフットプリントを基準にしています。

それまでの移行期にどう定義し、評価するかが非常に重要です。それには気候、あるいは循環目標に整合しているかがポイントになります。技術や市場を考慮した実現可能性も考慮しなければなりません。また、さまざまな製造ルートがありますので、製品間の公正な競争条件の確保する必要があります。それが共通の考え方ですが、具体的にどうなるのかということに今、皆さんも、そして基準を作る側も非常に悩んでいるところだと思います。いずれにしても、グリーン市場を形成するためには、信頼できる環境情報の開示が公共調達や民間のグリーン調達の基準になることは押さえておかなければならないと思います。

日本で計画されている脱炭素化への方策
日本で計画されている鉄鋼の脱炭素化への方策には3つあります。
1つ目は、既存の高炉、つまり石炭を使った製法で、CO2を回収することを前提に、水素を注入して減らしていく方策です。2つ目は、直接還元という水素を使う製法です。3つ目は、スクラップを電炉で溶解する方策です。このうち2つ目と3つ目が、究極のゴールに達するニアゼロスチールになります。

日本で始動した脱炭素化へのプロジェクト
日本ではすでに、脱炭素化へのプロジェクトが始まっています。八幡と倉敷で旧来の高炉から電炉への転換が始まっており、政府の支援も行われています。また、高炉でのスクラップ利用や、電炉のアップグレードも行われています。こうしたそれぞれのプロジェクトによる削減量を集めて製造するのがGXスチールです。それ以外にも、既存の電炉メーカーが、電力を再エネ由来に変えた低炭素鋼のブランディングを始めています。

日本鉄鋼連盟 GXスチール(マスバランス方式・アロケーション方式)
それでは、あらためてGXスチールというのは、どんな鉄なのでしょうか。GXスチールは日本鉄鋼連盟が出した方策で、マスバランス方式、あるいはアロケーション方式という経路を持ち、先ほどご紹介したプロジェクトによる削減量を社内でプールすれば、それを証書、あるいはアロケーション方式という形で任意の鉄鋼製品に割り当てることができるとガイドラインで決められています。この点については、経路の透明性などを含めて議論をし、政府が「GX推進のためのグリーン鉄」と定義して支援を始めています。

グリーンスチール需要拡大に向けた支援策
政府が供給側に大きな支援をしていることはお話ししましたが、需要側に対してもグリーン調達や公共調達を進める、補助金を支給する、GXの率先行動を活用してインセンティブをつけるといった支援も始まっています。さらに、建築物のLCAのシステム、あるいは企業のスコープ3の算定開示も、政策的な大きな支援になります。

GXスチールと製品のラベリング・格付け制度、国際連携
公共事業補助金やインセンティブはGXスチールを中心にしていますが、低炭素鉄にはこの他にもいろいろなものがあるので、それを評価し、格付けしていくことが必要です。また、国際的な評価枠組みとどう連携していくかも非常に重要です。自動車のように国際市場を対象にしている商品も多いので、その中でGXスチール、あるいは低炭素鋼がどう使われていくかがポイントになります。

GXスチールの評価と、継続的に注視すべき点
最後にGXスチールの評価に関して、いくつか重要なポイント、特徴、利点、課題を挙げてみます。大切なことは、仕組みについて正確に理解していただきたいということです。どういうものかをしっかりと理解し、需要側から要求することも必要ではないかと思います。また、国際的なグリーンスチール評価の動向を見据えることも大切です。いずれにしても、環境表示をベースにしていくことが非常に重要なポイントになると思います。

パネルディスカッション

ファシリテーター:WWFジャパン 小西雅子
パネラー:環境省 平尾禎秀様、イオン(株)渡邉祐子様、(株)リコー 佐藤多加子様、自然エネルギー財団 西田裕子様

小西:ここからは環境表示ガイドラインについて、さらに深掘りしてまいります。最初にイオンの渡邉さん、環境施策でトップクラスのイオンが、生活者にわかる言葉と正確な説明の両立に努力なさってきたということですが、同じ課題に悩む企業にアドバイスはありますか?

渡邉:イオンもまだまだ足りないことがありますが、できていることを正確に伝えることは非常に重要だと思っています。みなさまにお伝えしたいことは、正しく行っていらっしゃる環境配慮を、しっかりと胸を張って、正確にお伝えしていただきたいということです。

小西:イオンは調達する企業から消費者の使用まで事業活動にともなう排出量の削減に積極的に取り組んでおり、サプライヤーのエンゲージメントについて2030年までに80%という目標をお持ちです。できないとおっしゃる企業には、どう対応なさっていますか?

渡邉:企業さまだけの努力で目標を達成しようと思ってはいません。私どもの知見を提供させていただくと同時に、その企業さまができることを一緒に考えることが重要だと思っています。私どものような小売業はサプライヤーさまなしには成り立ちませんので、一緒に歩んでいくためのノウハウや人的リソースを提供させていただきたいと思っています。‎

小西:リコーの佐藤さん、早くから環境優良企業としてトップクラスのリコーは、環境表示にも先行して対応されてきたんですね。先行企業ならではの思いはいかがでしょうか?

佐藤:われわれの業界では製品のライフサイクルのCO2排出量であるカーボンフットプリントがお客様から求められます。欧米では入札に入れないことが殆どです。環境負荷の削減に貢献する新しい材料を使用した時にもその数値が正しく出せるよう原単位の充実が求められます。そして新しい環境訴求をする場合、経験・ノウハウがないので、環境表示ガイドラインを参照することが必要になってきます。‎

小西:自然エネルギー財団の西田さん、日本のグリーン購入法ではGXスチールを推奨していますが、電炉で製造するリサイクル鉄の排出量は4分の1です。でも、高炉からの脱炭素化は非常に難しい。グリーン鉄を購入するときに気をつけることはどんなことでしょうか?

西田:グリーン鉄、特にGXスチールは、環境省を含めて政府が認めているので、国内的には安心できると思います。ただ、気候目標はどんどん強化され、世界情勢も変化することを念頭に、まずはそれがどんな製品なのかをしっかり理解したうえで判断していただくことが重要だと思います。高炉の転換を支援することは重要ですが、需要側もGXスチール、あるいは低炭素鉄を購入することによって何に投資しているのかを理解していただきたいと思います。‎

小西:環境省の平尾さん、この環境表示ガイドライン、とてもいいものができたと思います。国際マーケットではさらに注意する必要があるにせよ、現段階ではこれを守っていれば安心だと思いますが、日本ではまだ法的効力がないことをどう思われますか?

平尾:国としては、どうすれば実効性が上がるかを考えながら改定しました。JAROと消費者庁にオブザーバーになっていただいたと話しましたが、JAROは自主規制で相談を受けていますし、コンプライアンスの権限を持つ消費者庁は措置命令を出しています。そういった中で環境表示ガイドラインについて相談したところ、一緒にやりましょうと毎回、検討会に来ていただき、議論させていただきました。環境省が政府の動きと遊離してガイドライン出したわけではなく、連携が取れていますし、今後も強化したいと思っています。事業者のみなさまにはガイドラインをしっかり見ていただき、社内で、あるいは取引先と使っていただくうちに自然に水準も上がっていく、またそういうふうに持っていきたいと期待しています。‎

小西:リコーの佐藤さん、企業のみなさんの中には、アメリカの政治情勢などを受けて環境対応が後退しているのではないかという声もあるかと思いますが、いかがですか?‎

佐藤:欧州や北米では環境配慮の基準は強化されており、先ほど紹介した北米のEPEATという連邦政府調達基準は、製品の環境配慮項目だけでなく、企業の対応が要求されるコーポレート基準が追加されて改定されました。商談や入札でも簡単に回答できない厳しい内容が求められており、トーンダウンしているということはありません。‎

小西:イオンの渡邉さん、これだけ懸命にサプライヤーに働きかけ、御社自身も熱心に取り組まれ、国際的なRE100、CDP、SBTにも取り組んでいらっしゃるということは、こうした環境配慮が御社に経済的なメリットがあるということでしょうか?

渡邉:経済的なメリットを出していくことは非常に難しいと思っています。生活者のみなさまが私どもの環境表示をご覧になって「イオンってこういうことやっているいい会社なんだな」、「環境の取り組みがすぐれているな」と思っていただくことが信頼につながり、来店の動機になることが重要だと思っています。また、ショッピングモールに入っていただくテナントさまについて申し上げますと、特に欧州のテナントさまは環境配慮を大前提にしているデベロッパーに出店したいという意向がありますので、環境配慮を正しく伝えることは、リスクを軽減するだけでなく、グローバルな企業価値につながってもいます。

小西:西田さん、国際的に日本の鉄のマスバランスはどう評価されていますか?

西田:議論は分かれています。GXスチールの柔軟な対応を認めようという動きは確かにあります。一方で、他のプロジェクトの削減量を会社全体でプールすると非常にわかりにくいうえ、リアルな水素直接還元鉄が市場に出てきたときにどう差別化するかという課題があり、プールするということ、つまりカーボンバンクはどうなのかという意見も相当出てきています。2030年までに本当のグリーン鉄は出てこないので、どうインセンティブをつけて進めていくかは意見が分かれると思いますが、国際的な議論は拮抗していますので、注視する必要があります。

小西:環境省の平尾さん、世界のグリーンウォッシュ規制は2024年くらいから大きく変わってきました。こうした世界の動向を見て、今回どんな思いで作られ、何を訴えたいですか?

平尾:世界的な動きが激しいので、ややもすると日本は遅れているように見えるかもしれませんが、日本企業はまじめに取り組んでいます。ただ、前回の改定からずいぶん時間がたっていることと、世界の動きが早いことから、ウオッシュとハッシュで市場が縮小していくのはよくないので、アップデートしようと思いました。規制動向に右往左往するのではなく、押さえるべき基本は押さえたつもりですので、さまざまなところで対応できると思いますし、これからも最新の動向をアップデートしていこうと思っています。

小西:この環境表示ガイドラインはリビングドキュメントで、どんどんアップデートもされていきますので、ぜひ環境表示ガイドラインをご参照になり、ひるむことなく、お取り組みになっている環境配慮を正しく伝え、世界に伍した日本企業の環境の取り組みを伝えていただければと思います。それでは、みなさまに最後のメッセージをお願いします。‎‎

平尾:今回のガイドラインはほんのスナップショットで、今後もずっと続いていきますし、なんとかしてお役に立ちたいという思いでご意見をいただき、その内容を反映させていただきました。それでも迷われることもあると思いますが、Q&Aを用意するというご提案もいただいたので、どんどん質問していただいたらリビングドキュメントになっていくと思っています。

西田:グリーン鉄に関して申し上げましたが、面倒だし、グリーンプレミアムもあって値段が高いので止めてしまおうという結論にしないでいただきたいと思います。グリーン鉄やGXスチールの理解を深めてぜひ何らかの形でご購入をいただきたいし、グリーンと低炭素を追求してぜひ需要に結びつけていただきたいと思います。鉄は日本だけでなく世界の脱炭素化の大きな部分を占めています。技術的に脱炭素化が難しいこの分野が率先して脱炭素化を遂げていくことが、世界が脱炭素化に至る道だと思っています。

渡邉:このガイドラインには、「信頼される」という言葉が書いてあります。企業の事業活動にとって、顧客のみなさま、お客さまや株主さまに信頼され、支持されることがとても大切です。この環境表示ガイドラインは、そこが重要だと言っているんですね。私たちは自分がやっていることを信じ、お客さまにしっかりと伝えていく、パートナー企業のみなさまが自信を持ってお伝えする商品をお客さまにきちんとお届けする役割をしっかり担っていきたいと思っています。環境表示を企業が成長や信頼を獲得するチャンスだと捉えて、みなさまと一緒に広げていければと思っています。‎

佐藤:大手企業のみなさまがこういうところに気をつけようと情報共有していたことは、まさに環境表示ガイドラインに書いてあることそのものでした。環境表示ガイドラインは、海外でも十分に耐えうるレベルと思います。これからグリーン購入がより盛んになり、低炭素の製品がほしいと考えているお客さまに対して、グリーンウォッシュを恐れずに環境表示をすることが非常に大事になっていきます。ぜひこのガイドラインを活用していただければと思います。

小西:きれいにまとめていただき、ありがとうございました。

© WWF-Japan

開催概要

日時:2026年6月2日(火)13:30 ~ 15:30
場所:会場およびオンラインでのハイブリッド形式
会場:イイノカンファレンスセンターRoom C(東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング4階)
対象者:企業の実務において環境表示に関わる担当者の方はじめ、関心のある方
参加費:無料
参加者数:会場52名、リアルタイム視聴395名
イベント案内:
https://www.wwf.or.jp/event/organize/6251.html

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