© Martin Harvey / WWF

地上最大の野生動物 ゾウ

この記事のポイント
現存する陸上の野生動物で最大の種、ゾウ。野生のゾウは現在世界にアフリカゾウとアジアゾウの2種が知られています。そして、そのいずれもが絶滅の危機にさらされています。ゾウは生息域するそれぞれの環境において、生態系の上位に位置する「象徴種」。ゾウが生きられる自然を守ることは、同じ場所にすむ、より多くの野生生物の生息や生育を支えることにつながります。
目次

肩の高さは3メートル!陸上最大の動物

ゾウの中で最大の体躯を持つのは、特にアフリカのサバンナに生息するアフリカゾウです。
過去の記録では、最大で肩の高さが4m、体重が10トンもあった個体も報告されています。

アジアゾウはそれよりも一回り小さな身体を持ちますが、それでもアジアでは最大の陸上動物。

また、アフリカゾウは、中部アフリカの森林地帯にやや身体の小さな個体群が生息していることも知られており、このゾウをマルミミゾウという第3のゾウとして分類する研究者もいます。

アフリカゾウ

  • さらに表示する
アフリカゾウ
© Cameron James

アフリカゾウ

学名:Loxodonta africana
体長:6~7.5m(鼻を含む)
尾長:1~1.5m
肩高:3.2m(オス)2.6m(メス)
体重:6トン(オス)2.8トン(メス)
生息環境:サバンナ、半砂漠、乾燥した木の少ない林など

  水場にあつまるアフリカゾウの仔ゾウたち
© Peter Chadwick / WWF

水場にあつまる仔ゾウたち

アフリカゾウは広大なサバンナを家族を中心とした群で移動する
© WWF-UK / WWF

広大なサバンナを家族を中心とした群で移動する

寝ている母親の背中に上ろうとするアフリカゾウの赤ちゃん
© Steve Morello / WWF

寝ている母親の背中に上ろうとする赤ちゃん

マルミミゾウ

マルミミゾウ
© WWF / Carlos Drews

学名:Loxodonta cyclotis
体長:6~7.5m(鼻を含む)
尾長:1~1.5m
肩高:1.6~2.86m(オス)1.6~2.4m(メス)
体重:2.7~6トン
生息環境:熱帯林

  マルミミゾウのすむアフリカ中部の熱帯林
© Christiaan van der Hoeven / WWF-Netherlands

マルミミゾウのすむアフリカ中部の熱帯林

マルミミゾウはサバンナに住むアフリカゾウよりも曲がりの浅い牙を持つ
© WWF / Carlos Drews

マルミミゾウはサバンナに住むアフリカゾウよりも曲がりの浅い牙を持つ

森の中の塩場はゾウたちが集まる貴重な場所の一つ
© R.Isotti, A.Cambone / Homo Ambiens / WWF

森の中の塩場はゾウたちが集まる貴重な場所の一つ

アジアゾウ

アジアゾウ
© Julia Thiemann / WWF-Germany

アジアゾウ

学名:Elephas maximus
体長:5.5~6.4m(鼻を含む)
尾長:1.2~1.5m
体高:2.7m(オス)2.4m(メス)
体重:3.6トン(オス)2.72トン(メス)
生息環境:熱帯林、乾燥林、サバンナなど

  群で移動するアジアゾウ。タイのケーンクラチャン国立公園にて
© WWF-Greater Mekong / Wayuphong Jitvijak

群で移動するアジアゾウ。タイのケーンクラチャン国立公園にて

生まれたばかりのアジアゾウの仔ゾウ。インドネシア
©WWF Indonesia / Zulfahmi

生まれたばかりのアジアゾウの仔ゾウ。インドネシア

アジアゾウのすむ東南アジアの熱帯林。
© Luis Barreto WWF-UK

アジアゾウのすむ東南アジアの熱帯林。

習性と生態

ゾウは植物の草や根、木の葉、種子、果実まで、幅広く食べる草食動物です。
アフリカゾウの場合、食べる植物の種類は150種以上ともいわれています。

定まった繁殖期は持たず、メスは1年から数年おきに、22か月の妊娠期間を経て、通常1子を出産します。

アジアゾウの場合、生まれてくる赤ちゃんの体重は、80~110キロほどもあります。

また、ゾウは家族を中心とした絆の強い群を作って行動し、季節や、移動する場所によって食物を変えたり、食べた果実の種を遠くの場所に運ぶ種子散布の役割も、生態系の中で担っていることが知られています。

移動するゾウの群。食物や水を求めて長距離を移動する。
© Conor McDonnell/WWF-UK

移動するゾウの群。食物や水を求めて長距離を移動する。

アフリカゾウの親子。キリマンジャロ山麓のアンボセリ国立公園にて
© Tom Stahl

アフリカゾウの親子。キリマンジャロ山麓のアンボセリ国立公園にて

ゾウが絶滅の危機に!

©WWF-Indonesia / Syamsuardi

ゾウはいずれの種も、現在絶滅の危機にあります。
IUCN(国際自然保護連合)の「レッドリスト」では、ゾウの危機を次のように評価しています。

種名 危機レベル 推定個体数
アフリカゾウ(マルミミゾウ含む) VU(危急種) 約41万5,000頭
アジアゾウ EN(絶滅危惧種) 41,410~52,345頭

アフリカゾウは個体数が多く、全体としては近年、増加の傾向にあります。
しかし、ゾウが安定して増えているのは、アフリカ南部にほぼ集中しており、東アフリカや中央アフリカ、西アフリカなどでは、減少が懸念されています。

アジアゾウは全体的に減少していますが、インドネシアのスマトラ島など、地域によっては特に危機が深刻化しています。


ゾウを脅かしている原因

ゾウの減少は、なぜ起きているのでしょうか。
大きな原因は、次の2つです。

1) 象牙を狙った密猟と違法取引
2) 森やサバンナなどの生息環境の消失

アフリカでは今も毎年2万頭ともいわれるアフリカゾウが、密猟の犠牲になっていると考えられています。

象牙で作られた製品。高値で売買され、密輸も後を絶たない。
© Jamie Cotten / IFAW / WWF-US

象牙で作られた製品。高値で売買され、密輸も後を絶たない。

また、アジアでは主要な生息域である熱帯林などの森林が、急激に失われていることに伴い、数を減らしています。

生息域が農耕地などに作り替えられることで、ゾウが畑を荒らす害獣として殺されたり、逆にゾウが村の人を殺してしまう、深刻な衝突問題も生じています。

アブラヤシ農園に現れたアジアゾウ。農業への被害は、ゾウと人を対立させる大きな要因になっている。
©Chris J Ratcliffe / WWF-UK

アブラヤシ農園に現れたアジアゾウ。農業への被害は、ゾウと人を対立させる大きな要因になっている。

ゾウの保全のために必要なこと

ゾウを守るには、まず生息環境の森などの自然をしっかり保全すると同時に、密猟や密輸をなくしていく取り組みを行なう必要があります。

そのためには、生息地を保護区にして守ったり、地域の人々が自然の豊かさを大きく損なわない「持続可能」な利用を実現したり、密猟などのパトロールや密輸(違法取引)の取り締まりといった取り組みを行なう必要があります。

インドネシアのブキ・バリサン・セラタン国立公園で行われている、野生生物の罠を撤去するパトロールの取り組み。取り組みの成果により、2018年以降はゾウの密猟被害をなくすことができている。
©WWF Indonesia

インドネシアのブキ・バリサン・セラタン国立公園で行われている、野生生物の罠を撤去するパトロールの取り組み。取り組みの成果により、2018年以降はゾウの密猟被害をなくすことができている。

また、日本を含め、象牙を利用している国々でも、ゾウを殺して得られた違法な象牙を利
用することが無いように、気を付けていかねばなりません。

ゾウをめぐる問題は、ゾウだけでなく、他のさまざまな野生動物にも共通した問題であり、国境を越えて人々が協力し、解決していかねばならない問題でもあります。

ゾウのすむ地域で暮らす子どもたちへのゾウの保全に関する環境教育。インドネシア
©WWF Indonesia

ゾウのすむ地域で暮らす子どもたちへのゾウの保全に関する環境教育。インドネシア

どうすればこうした問題を解決し、ゾウと、ゾウの生きられる自然を未来に向けて守ってゆけるのか。
ぜひ、共に考えていただければと思います。

ゾウの生きる環境は、他の野生動物にとっても大切な生息環境となる。ボツワナ、オカバンゴデルタ
© James Morgan / WWF-US

ゾウの生きる環境は、他の野生動物にとっても大切な生息環境となる。ボツワナ、オカバンゴデルタ

ゾウに関連した記事

考えよう、象牙のこと
日本では印鑑などで今も多く使われている象牙。国内では今も販売されている一方、象牙の利用は密猟を呼ぶ原因として、国際取引は厳しく規制されています。アフリカゾウの危機と象牙の問題、ぜひ考えてみましょう。

アジアゾウについて
アジアゾウは、インド亜大陸とインドシナ半島(メコン地域)、そしてセイロン島、スマトラ島、ボルネオ島の3つの島に分布する、アジアを代表する大型の哺乳類。アジアゾウは現在、3つの亜種に分類されています。

ご支援のお願い

WWFジャパンは、ゾウのすむ森の保全を目指した取り組みを行なっています。ぜひ、WWFサポーターとして、活動をご支援ください。

地球から、森がなくなってしまう前に。

森のない世界では、野生動物も人も、暮らしていくことはできません。私たちと一緒に、できることを、今日からはじめてみませんか?

今日、森林破壊を止めるためにできること

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP