新たな一歩:ジャハイ族で初めて女性レンジャーが誕生(国際女性デー)
2026/03/08
- この記事のポイント
- マレーシア北部の森を守るジャハイ族の中から、初めて女性レンジャーが2名誕生しました。スザナ・ビンティ・アリさんと、リスリン・ビンティ・カマロラさん(愛称:ミラ)です。WWFマレーシアは長年協力してきたパトロール・チーム「プロジェクト・スタンピード」に、2人を迎えることを心から歓迎します。 ジャハイの女性たちの、自分たちの土地を守る活動への関わり方は、いま大きな転機を迎えています。
プロジェクト・スタンピードとは
この取り組みは、WWFマレーシアとメイバンク、そして先住民族のパートナーシップによって進められています。目的は、絶滅が危惧されるトラをはじめとした野生動物を守り、密猟などの脅威を減らすこと。現地の知識を活かしながら、パトロールやモニタリングを強化しています。
スザナさんとミラさんの加入は、文化的な慣習を尊重しつつ、地域社会における女性に新たな機会をもたらすでしょう。2人の活動によって、自然保全や日々の暮らしにおける女性の存在が、コミュニティの中でより大切に認識されるようになっています。

カメラトラップをテストするミラさん
スザナさんの思い
スザナさんは、パトロールのスケジュール管理を担当し、チームが効果的に活動できるようサポートしています。また、野生動物の死亡調査の報告にも携わり、死因や野生生物が直面する脅威に関する重要な情報を集めています。
「オラン・アスリ※の女性レンジャーになるというのは、大きな挑戦でした。簡単なことではなく、覚悟のいる選択です。
森に入るとき、私たちには守るべき作法やタブーがあります。
とくにトラは“ウップ・ブラン”と呼び、今でも深い敬意を払っています。
私は女性レンジャーとして、森とオラン・アスリの文化を守り、未来へつなげていきたいと思っています。」
※オラン・アスリは、半島マレーシアに暮らす先住民族の総称

スザナさん
ミラさんの思い
ミラさんは、パトロール活動の記録や報告を担当しており、最近はカメラトラップ調査にも携わりはじめました。広大な森でトラやその獲物となる動物の状況を把握するために欠かせない仕事です。
「小さなころから頃から森が大好きだったので、レンジャーになりたいと思っていました。
森は私のもう一つの家のようなものです。
トラや森を守る仕事があると知ったとき、これは本当に意味のある仕事だと思いました。
森の仕事は男のものという印象もあり、ジャハイの女性ができると考える人はあまり多くないでしょう。
だからこそ、私は最初の女性の一人として、自分のためだけにやっていのではなく、勇気をもって一歩踏み出せば自分にもできるというのを他の女性たちに示したいと思ったのです。
時間がたつにつれ、女性も森を守るレンジャーとして活躍できる仕事と見られるようになりました。
WWFがただ森に来て自分の仕事だけをして去っていくのではなく、本気で自然とオラン・アスリの未来を考えている姿勢を見て、私は参加を決めました。」

森林パトロールの準備をするミラさん
未来のリーダーたちへ
WWFマレーシアは、先住民族の女性が保全活動に関わる機会をさらに広げることを目指し、次のような取り組みを進めています。
- トレーニングや雇用機会への公平なアクセス
- 女性のリーダーシップ育成
- 森と野生動物の保全における先住民族主導の取り組みの強化
スザナさんとミラさんは、すでにジャハイのほかの女性たちに保全の仕事へ挑戦し、先祖から受け継いだ土地を地域が主体となって守る取り組みをさらに強化するきっかけとなっています。
また、環境保全の分野で、より誰もが参加しやすい未来を形づくることにもつながっています。
これからも、彼女たちの活躍にぜひご注目ください。

GPSの情報を記録するミラさん



