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【開催報告】セミナー:森林破壊・土地転換のない農林畜産物の調達とEU新法案

この記事のポイント
世界中の森林などの自然生態系は、人間の活動により、破壊・減少が続いています。これは生産国だけの問題ではなく、輸入して消費する、日本のような国にも対応を進める責任があります。EUではその責任を果たすため、輸入する産品が森林破壊に繋がっていないと証明することを義務付ける法案が具体化しています。一方、日本の企業の取り組み状況はどうか。日本の企業は具体的にどのように取り組めばよいのか。このような情報をまとめたセミナーを2022年11月10日に開催、280名を超える方々にご視聴頂きました。
目次

世界の森林破壊の要因は火災や違法な開発など、様々ですが、約4割を占めるのが農林畜産物の生産のための農地や植林地への転換、と言われています。

日本は食品の6割を始め、暮らしに必要な多くの産品を輸入に頼っており、海外の森林や自然の破壊に、日本の消費も関わっていることは疑いの余地がありません。

これは日本に限ったことではなく、多くの先進国でも同じことが言えます。例えばEUも日本と同様、多くの産品を輸入しています。しかし、その輸入元で起きている森林破壊と土地転換が地球環境に大きな影響を及ぼしていることへの理解が進んでおり、企業や行政は行動を始めています。その実態や日本での状況などについて、セミナーを通して解説を行いました。

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放牧や大豆など、コモディティ生産のためにブラジルでは自然の破壊が続いている。消費する側も産地での課題への対策をとる責任がある

プログラムと各スピーカーの講演資料はこちら

第1部 講演 「コモディティにまつわる森林破壊・土地転換リスク」
WWF マーケットグループ長 兼 森林グループ:古澤 千明
(講演資料1)

第2部 講演 「EU・森林破壊防止法案の最新状況」
WWF European Policy Office: Anke Schulmeister, Senior Forest Policy Officer
(講演資料2)
(講演資料2英語版)

第3部 講演 「総合商社と森林リスクコモディティ:『商社スコアカード』紹介」
WWF フードグループ長 兼 森林グループ パーム担当:WWFジャパン 森林グループ 南明紀子
(講演資料3)

第4部 講演 「『森林破壊・土地転換のない調達』Deforestation & Conversion Free」/ WWFブラジル ― セラードの大豆生産拡大のリスク
WWF 森林グループ 大豆担当:中溝 葵
WWF Brazil:Guillaume Tessier
(講演資料4)
(講演資料4WWFブラジルパート)

【第一部】「コモディティにまつわる森林破壊・土地転換リスク」

はじめに、コモディティにまつわる森林破壊と土地転換のリスクについて、世界的な潮流をご紹介しました。2021年のCOP26での「グラスゴー宣言」では、気候の会議の中で、森林の重要性が広く認知され、生物多様性と気候の両方の観点で森林が語られるようになってきました。そして森林破壊ゼロから、ネイチャーポジティブへ、また森林に限らず、その他生態系の土地転換にも配慮する動きが拡大していることについてお伝えしました。

(参考リンク)
「2030年までに森林減少を食い止める」首脳宣言に141か国が署名 
【動画あり】「森林破壊の最前線」最新報告書を発表
ネイチャー・ポジティブなビジネス主流化に レポート「生物多様性とビジネス-危機的現状とビジネスの可能性-」

【第二部】「EU・森林破壊防止法案の最新状況」

第二部では、2022年9月にEU議会で合意がなされた「森林破壊防止法案」について、EUで政策アドボカシーを担当するスタッフ、Anke Schulmeisterより直接、解説を行いました。EU域内に持ち込まれるコモディティは森林破壊を引き起こさないことを、一定規模以上の企業はデューデリジェンスを行い、証明できるようにすることが義務付けられます。企業はトレーサビリティを一層強化し、収穫/生産場所までの特定が求められるようになります。

(参考リンク)
European Parliament votes for a strong EU Deforestation law
Companies call for strong EU law to halt trade of commodities linked to nature destruction

©WWF EPO

EUが輸入する農林畜産物は、熱帯林における森林破壊の16%につながっている。

【第三部】「総合商社と森林リスクコモディティ:『商社スコアカード』紹介」

次に、日本の消費に目を向け、海外で生産された農林畜産物の日本への輸入に関わることの多い総合商社7社について、現状のコモディティ調達方針とその実行状況について、比較・分析をご紹介しました。企業は、取り扱うコモディティが森林破壊に寄与しないことにコミットする方針を公開し、その方針に向けた実行、定期的な報告が求められています。各社の現状と、その中身についての考察をご紹介しました。

(参考リンク)
責任ある林産物の調達
パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの
ネイチャーポジティブ 実践に向けた手引き<近日公開>

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今回の調査では、方針はほとんど出ていたが、その実行と報告の取組みに改善できる点があることが明らかになった。 ©WWFジャパン

【第四部】 「『森林破壊・土地転換のない調達』Deforestation & Conversion Free」/ WWFブラジル ― セラードの大豆生産拡大のリスク

最後に、保全すべき自然生態系は森林に加えて、サバンナ、低木地、草原、湿地など、その他の生態系も含まれることを、「森林破壊と土地転換のないサプライチェーン」というレポートをもとに解説しました。世界最大の大豆生産地であるWWFブラジルから、土地転換により破壊されているサバンナ地帯について、その破壊を止める方法と共にご説明するビデオと共に、欧米企業連合によるサプライチェーン改善の取組みをご紹介しました。

(参考リンク)
森林破壊と土地転換のないサプライチェーン
大豆と「世界で最も生物多様性に富むサバンナ」ブラジル セラードの深い関係


このセミナーを受け、参加者からは「問題点が明確になり、大変参加して良かった。EU規制の更なる強化に備え、デューデリジェンスの仕組みを構築していきたい」「森林破壊だけでなく、土地転換のないことも重要であるとの点は今日初めて知った視点でした」といった反応を頂きました。

WWFジャパンでは今後も、このようなセミナーを通じて森林破壊と土地転換のないサプライチェーンを目指す日本企業の手助けとなるような情報を発信していきます。

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南米に分布する大型鳥レアの生息地は、放牧や大豆の生産面積拡大によって脅かされている

【イベント概要】
タイトル: 森林セミナー「森林破壊・土地転換のない農林畜産物の調達とEU新法案」
日時:2022年11月10日
場所:オンライン開催
参加者数:約280名
主催:WWFジャパン

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