ツルの渡りとモンゴルの火災
2026/10/29
先日、自宅の近くでジョウビタキの声を聞きました。
近年は国内でも夏に山で繁殖するようになりましたが、今も東京では、寒い季節の訪れを教えてくれる冬鳥の一種です。
日本にはこの時期、他にも大陸からさまざまな冬鳥が渡ってきます。
シギやカモ、そしてツルなどの水辺の鳥たちは、その代表。
特にツルは、今でこそ国内の数カ所でしか見られない、希少な鳥になってしまいましたが、昔から日本になじみの深い、文化的にも大切にされてきた鳥です。
そして、そんなツルの未来を懸念させる問題が今、モンゴルで起きています。
10月上旬、モンゴル東部のヌムルグ国立公園を含む草原地帯で発生した、大規模な火災です。

東アジアで見られるツルの仲間の多くは、シベリアから中央アジアにかけて広がる草原や湿地帯で夏を過ごし、繁殖します。モンゴルでは、マナヅルの他、タンチョウ、クロヅル、ナベヅルも繁殖しており、他にもソデグロヅルのような希少な種も飛来しています。
このモンゴル東部は、冬に日本に飛来するマナヅルの繁殖地としても知られる場所。
巣を作るのは初夏なので、今は直接の被害は受けていないかもしれませんが、その自然が今後、大きく変化してしまうことは十分に考えられます。
火災が起きているのが今であっても、影響がマナヅルのような、モンゴルの草原や湿地で繁殖する鳥に及ぶのは、来年の初夏になってから、ということです。
現在、越冬地の日本では、ツルは手厚く保護されていますが、渡りの途中の中継地や、夏を過ごす繁殖地でも保全を行なわなければ、守り抜くことはできません。
私たちWWFが国境を越えて、マナヅルの保護に取り組んできた理由も、まさにそこにあります。
今回、火災が起きた保護区は、WWFが直接活動を行なっている場所ではありませんが、他のツルの繁殖地と同様、生物多様性の豊かな自然環境であることは、間違いありません。
火災の影響が来年の繁殖期まで及ぶ可能性を忘れずに、今後も現地の状況を注視したいと思います。

九州の出水平野に毎年冬になると飛来するマナヅルとナベヅル。マナヅルの飛来数は、世界全体の個体数の4割にもなるといわれています。
