© Martin Harvey / WWF

冷血なお母さんのあたたかさ ~「母の日」に寄せて


巨大なワニの口からのぞく、小さな頭。

食べられてしまったか可哀そうな獲物!とも見えますが、これ実は、親子のほのぼのしたお散歩中の光景です。

アフリカ大陸に広く生息するワニ、ナイルワニは、全長が5mを超えることもある、世界でも屈指の大型のワニの一種。

生息している河川の生態系の頂点に立つ野生動物であり、その水辺を利用するあらゆる生きものにとって、危険きわまりない存在です。

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川を渡るヌーを襲うナイルワニ。大型の有蹄類も、ワニにとっては格好の獲物です。

でも、卵や生まれて間もない小さな赤ちゃんは、他の肉食動物にとっては格好の獲物。大きく育つことができる個体は、ごくわずかです。

そんな仔たちを守るのが、この頼もしいワニのお母さん。

優しくしっかり見守りながら、時にはこうして、大きな口の中に仔を入れて、安全な場所や水のある場所に運んであげるのです。

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卵からかえったばかりのナイルワニの赤ちゃん。ナイルワニは絶滅危惧種ではありませんが、西アフリカなどでは特に数が減っており、地域的な絶滅が心配されています。

ワニなどの爬虫類は、恒温動物といわれる私たち哺乳類の多くと異なり、体温の調整を日光など外の熱源に大きく頼る動物。

そのためかつては、冷血動物などとも呼ばれていましたが、仔を守ろうとする強さと優しさ、そして温かさは、まぎれもなくお母さんのものといえそうです。

「母の日」の本日。人類のお母さまたちへの感謝の気持ちをあらたにしながら、世界中で頑張っている自然界のお母さんたちにも、目を向けて敬意を表したいと思います。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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