© Ola Jennersten / WWF-Sweden

ジャッカルを追いつめるギリシャの山火事


キンイロジャッカルをご存知でしょうか。

ヨーロッパから東南アジアにかけて広く分布する、野生のイヌ科の動物で、森林や草原、マングローブなどに生息し、農村や都市の周辺でも見ることができます。

また雑食で何でも食べ、環境への高い適応力を持ち、絶滅の危険も今のところ無し。むしろ生息域を拡げているとの指摘もあります。

しかし、最近このキンイロジャッカルについて、気になる情報を耳にしました。

地中海沿岸のギリシャで発生し、大規模な被害をもたらしている森林火災が、キンイロジャッカルの生息域にも及んでいるらしいのです。

© Ola Jennersten / WWF-Sweden

キンイロジャッカル(Canis aureus)。海岸部から標高2,000mにもなる山地にも生息し、乾燥した気候でも生きることができる。人の近くでも暮らし、家畜を襲うこともある。写真はインドで撮影された個体。

世界的には絶滅の危険が無いとしても、地域や国ごとに見れば、その状況は変わってきます。

実際、ギリシャはバルカン半島におけるキンイロジャッカルの重要な生息域でしたが、1980年代以降、個体数が減少。

WWFギリシャではその調査や保護活動を行なってきましたが、生息地での森林火災のような大災害が起きれば、そうした取り組みの成果や努力も、無駄になってしまうおそれがあります。

たとえ、世界全体では数が多く、絶滅のおそれが無いとしても、地域によってはその生物が絶滅してしまうケースは少なくありません。

それはまぎれもなく、地球上の生物多様性が失われている事実を示すものであり、これが続けば、自然は取り返しのつかないダメージを受けることになります。

ギリシャから、キンイロジャッカルが姿を消してしまうようなことの無いように。
日本からも森林火災に対する取り組みに、可能な限りの支援をしていきたいと思います。

現在、ギリシャとトルコの火災に対する緊急支援を募っておりますので、皆さまもぜひ、この取り組みを応援していただければと思います。

© Apollonas Gerolympos

ギリシャの山火事。ギリシャでは毎年、火の不始末などが原因で火災が発生し、深刻な問題になってきた。さらに近年は、気候変動(地球温暖化)による干ばつにより、火災の規模と被害が大きくなっている。こうした火災の頻発は、地域の方々の暮らしや命はもちろん、地中海沿岸の貴重な自然環境にも、大きな被害をもたらしてしまう。

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自然保護室 次長
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。

虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。

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