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ポスト・コロナの未来を創る「グリーン・リカバリー」についてIEAが報告書を発表


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、世界の経済と生活に未曽有の打撃を及ぼしています。

コロナと共存しながら、いかに経済と生活を立て直していくか?今の世界の最大の関心事です。

その際に、元の経済や生活に戻るのではなく、地球温暖化や数ある社会的課題にも対応できる、「より良い社会」が実現できたら、どんなにいいことかと思いませんか?

今、「グリーン・リカバリー」と呼ばれる経済復興策が、世界中で広がっています。

これは、地球温暖化対策の国際協定である「パリ協定」や、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも一致した形で、「より良い持続可能な社会」を創り、コロナ禍からの復興を目指していこう、というものです。

すでに気候危機とも呼ばれるようになった地球温暖化も、洪水や熱中症、大規模な森林火災など、目に見える被害をもたらしています。グリーン・リカバリーはこうした問題に対応できる社会づくりを目指すものです。
© Global Warming Images / WWF

すでに気候危機とも呼ばれるようになった地球温暖化も、洪水や熱中症、大規模な森林火災など、目に見える被害をもたらしています。グリーン・リカバリーはこうした問題に対応できる社会づくりを目指すものです。

これだけの経済の落ち込みの中、そんな余裕はないのでは?という疑問は、当然のものかもしれません。

ですがその中で先日、「グリーン・リカバリー」の実現は、今後の経済成長につながる、という研究報告が発表されたのです。

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国際エネルギー機関(IEA)が2020年6月18日に発表した『Sustainable Recovery:持続可能なリカバリー(経済復興)』報告書

国際エネルギー機関(IEA)が2020年6月18日に発表した『Sustainable Recovery:持続可能なリカバリー(経済復興)』報告書

この報告書は、持続可能性を重視した施策、たとえば太陽光や風力などの再生可能エネルギーや省エネ、電気自動車の購入補助などに今後3年間で3兆ドルを投じれば、世界のGDPを年平均で1.1%増加させ、2023年には日本のGDP一国分に相当する、追加的な経済成長が実現できる、としています。

しかも、失われた雇用を900万人規模で回復、また新規に生み出し、そのうえ温室効果ガスの排出を減少に転じさせることが可能だと示しているのです!

グリーン・リカバリー(持続可能な経済復興)策を取った場合(緑)と取らなかった場合(黄色)で分かれる世界の温室効果ガスの排出量。(出典:IEA(2020)  Sustainable Recovery報告書)

グリーン・リカバリー(持続可能な経済復興)策を取った場合(緑)と取らなかった場合(黄色)で分かれる世界の温室効果ガスの排出量。(出典:IEA(2020) Sustainable Recovery報告書)

この報告書では、電力、運輸、ビル、産業、燃料、戦略的技術開発などの部門ごとに、コロナ禍に対応しながら持続可能な経済復興を実現する、詳細な対策が提案されています。中でも、持続可能性とレジリエンスの高まりを意識した、エネルギー政策の変革に、力点が置かれています。

この報告書が、環境NGOではなく、OECD加盟国などで構成される国際エネルギー機関のIEAが発表した、という点には、時代の大きな流れを感じます。

地球温暖化対策やSDGsを、今後の世界経済の大きな柱とする考え方は、今や国際的な大きな潮流となっているのです!

経済活動に携わる方(すなわち私たちほぼ全員!)は、ぜひ一読されて、よりよい明日を信じて、このコロナ禍を乗り越えて行ければと願っています!

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自然保護室所属 気候変動・エネルギーグループ所属
小西 雅子

国連交渉や国内政策提言に従事。近年は気象予報士として予測できる電源である再生可能エネルギーの拡大に強い関心。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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