G7広島サミット閉幕:これからの生物多様性保全に向けて

この記事のポイント
2023年5月19日から21日まで、広島でG7サミット(主要国首脳会議)が開催されました。ウクライナでの戦争をはじめとする外交や安全保障の問題が大きく注目された今回のサミットでは、同時に、気候変動対策に直結するエネルギー問題や、生物多様性に関連した課題も重要な論点とされ、合意文書の中でも明確に取り上げられる形となりました。WWFはこのG7での議論の結果を受け、国際社会における今後の生物多様性保全に向けた潮流の広がりを期待するコメントを発表しました。
目次

G7に関連した一連の会合の中で

G7広島サミット(2023年5月19日~21日)の開催にあたっては、4月から日本の各地で、関係閣僚会合が多数開催されました。

環境問題に深く関係するところとしては、特に4月15日~16日に札幌で開催された気候・エネルギー・環境大臣会合、4月22日~23日に宮崎で開かれた農業大臣会合などが、これに該当します。

それぞれの会合において発表されたコミュニケには、いずれも気候危機と共に、生物多様性の危機や、自然を活用した解決策(Nature based Solutions: NbS)、サステナビリティやその推進につながる資金の準備等について言及がありました。

そしてこれらをふまえ開催された、広島でのG7サミットでも、環境問題への取り組みと、それに向けた国際協調が、喫緊の課題であることが、あらためて確認されました。

G7広島サミットを受けた生物多様性に関連するWWFの見解

WWFはこのG7広島サミットの閉幕にあたり、特に生物多様性をめぐる合意とその内容について、次のコメントを公開しました。

WWFインターナショナル グローバル・ネイチャー・ポジティブ・イニシアティブ ダイレクター ギャビン・エドワーズ
「WWFは、G7が自然環境保全を重視する姿勢を打ち出したことを歓迎します。そこには、2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させるという歴史的な目標の実現に向けて、CBD締約国が2024年までに新しい生物多様性国家行動計画を提出すると約束したことも含まれています。しかし、モントリオールの地で各国政府は、自然のために毎年数十億米ドルを動員することに合意したにもかかわらず、G7はこれを主導する機会を逸しました。2030年までにネイチャーポジティブを実現した世界を確保するためには
資金動員に関する確固たるコミットメントが緊急に必要です。」


生物多様性の保全と回復を求める国際的な動きは、2022年に開催された国連生物多様性条約会議(COP15)での「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の合意や、国連気候変動会議(COP26)での決議などの影響を受け、近年非常に活発になっています。

また、G7参加国が関係するところでも、この5月にEU圏内で「森林破壊のないサプライチェーンに関わるEU規制(EUDR)」が正式に採択されるなど、実際の政策において生物多様性への配慮とビジネスの変革につながる動きが具体化。

さらに、SBTNやTNFDといった、世界の企業による科学的根拠に基づいた自然資本の利用促進のための情報開示も、いよいよ始まろうとしています。

今回のG7も含めた、こうした国際合意や新たな動きが示すところの方向性は、今後の国内政策の方針や、ビジネスの在り方にも、強く影響力を発揮するものとなるでしょう。

WWFは引き続き、2030年に向けた生物多様性の回復、すなわち「ネイチャー・ポジティブ」と、気候危機回避のための脱炭素を実現するため、国際社会への働きかけを行なっていきます。

関連情報

気候危機に関連したWWFの 声明

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