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【COP27】日本が化石賞を受賞しました


エジプトで開催されている国連の気候変動会議COP27は、2日間にわたる首脳級会合、ワール−ドリーダーズサミットを終え、議長国が設定したテーマに合わせたさまざまな会議、イベント、ワークショップが本格化しています。

今日は「ファイナンスデー」。気候変動問題を解決するために必要な気候資金を重点的に話し合うたくさんの会合が行われました。

この日、日本は「化石賞」を受賞しました。
化石賞は、気候変動に取り組む世界130か国の1800を超えるNGOのネットーワーク「CANインターナショナル」が、その日の交渉において気候変動対策を後退させる言動を行った国に与える不名誉な賞です。
夕方に行われる授賞式は多くの参加者が詰めかける一大イベント。国際メディアを通して世界中に発信されます。

日本の受賞理由は、化石燃料に対する世界最大の公的資金拠出国であること。
アメリカのNGO、オイル・チャンジ・インターナショナルが、各国が化石燃料への公的支援を調査する報告書を発表し、日本は世界で最も多く化石燃料に対する公的支援を拠出していることを明らかにしたのです。

報告書によれば、日本が2019年から2021年のあいだに、拠出した化石燃料への公的支援は平均で年間約106億ドル(1兆5,900億円)、3年間の総額で318億ドル(4兆7,700億円)にのぼります。この金額は2位以下を大きく引き離し、世界最大でした。

気候資金は、緩和にも適応にも増額が必要です。そのうえCOP27では「損失と損害」への資金支援という新たな資金問題の解決が求められています。このような状況の中で、日本が巨額の公的資金を、気候を守るためにではなく、気候を壊すために使っていることに対して、世界の市民社会は厳しい判断を下したのです。

化石賞の授与は、世界の市民社会からの日本への「期待」でもあります。
資金がないわけではありません。誰のために、何のために使うのか。責任ある先進国としての姿勢が問われています。

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日本はCOP27で初めての化石賞の受賞国となった

化石燃料への公的資金を分析したアメリカのNGO、オイル・チェンジ−・インターナショナルは、報告書の内容を訴えるアクションを行いました。

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WWFでは、会議の成功をめざして2週間の会期中にさまざまな活動を行います。今後の発信にぜひ関心をお寄せください。

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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