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【動画あり】「GOTS認証」でコットンをサステナブルに ~ファッションが好きだからこそ挑み続けるふたりの動画を公開

この記事のポイント
世界中で広く利用されているコットン(綿花)製品。しかし、その生産過程においては、河川・湖沼などの淡水の生態系の破壊や、人権侵害を伴う労働問題などが深刻化しています。こうした中、環境的、社会的問題の解決につながる、オーガニック繊維製品の製造加工における国際認証「GOTS」が注目されています。WWFジャパンでは2024年の「コットンの日(5月10日)」に、このGOTS認証の広がりに挑む、大阪の町工場の四代目と、現役高校生、お二人の取り組みを紹介する動画を公開しました。
目次

サステナブルなファッションの実現を目指す!取り組み紹介動画を公開

今、企業によるサステナブルなコットン調達のひとつの手段である、オーガニック繊維製品の製造加工に関する国際認証「GOTS」に注目が集まっています。

WWFは、このGOTS認証の広がりを通じた、サステナブルなコットンの普及を目指した取り組みを展開。さまざまな人たちとの協力を進めています。

そのお一人が、2026年に創業100年を迎える大阪の町工場「三恵メリヤス」の四代目、三木健さんです。三木さんは、技術とサステナビリティを融合させた究極のTシャツで世界に挑むために、仲間とともにGOTS認証の取得を決意されました。

もう一人は、現役高校生の福代美乃里さん。福代さんは、ファッションを楽しみたいからこそ、作る人も笑顔でいられる服づくりをあきらめたくない、と周囲に呼びかけ、サステナブルなコットン製品の広がりを目指しています。

このお二人が、それぞれがどんな思いでこれからのファッションに向き合っているのか。2024年5月10日の「コットン(綿花)の日」に、WWFはその取り組みを紹介する動画を公開しました。

「GOTS認証は世界に出て行くチャンス」三恵メリヤス 三木 健さん

プロフィール
大阪市北区にある1926年創業の繊維メーカー「三恵メリヤス」の4代目。現在は専務取締役。慶応大学在学中に友人と留学支援ビジネスを起業。海外に直営オフィスを設け渡航後も手厚くサポートするサービスが人気となり、独立型の留学エージェント最大手に成長。バンクーバー、ニューヨーク、オークランド、ロンドンと順調に拠点を拡大していた2014年、父・三木得生さんの体調不良がきっかけで帰国し、三恵メリヤスに入社する。家業に戻ってからは、Webを駆使し海外に販路を拡大。着心地を極限まで追求したファクトリーブランド「EIJI」は、定価1万円という価格ながら累計約9千枚以上を売り上げるヒット商品に。大阪の町工場が持つ技術力を世界に伝える。

「自分がおしゃれを楽しむことが、誰かの不幸につながるような服は着たくない」 高校生 福代美乃里さん

プロフィール
高校3年生 / 中学1年時の学校の先生がきっかけで環境問題に危機感を持ち、現在は学生団体「やさしいせいふく」の代表として講演会やオーガニックコットンTシャツの販売をする活動を行なっている。高校1年時には国連の気候変動枠組条約COP26にも参加し、高校2年時はカナダに約1年間留学をしていた。この夏には、自らが販売する「やさしいてぃーしゃつ」の生産者を訪ねてインドを訪問予定。

国連が警鐘「ファッション産業は世界第2の環境汚染産業」

大量生産・大量消費・大量廃棄により、衣服の製造にかかる資源やエネルギーの使用が急増し、ファストファッションに代表される低価格化や短サイクルでの消費が、さらに拍車をかけています。

温室効果ガスの排出、生産・加工段階における大量の水使用、化学物質による汚染などの環境負荷を受け、国連はファッション産業を世界第2の環境汚染産業であるとして警鐘を鳴らしています*1

*1 https://news.un.org/en/story/2019/03/1035161

© WWF Turkey

トルコの繊維工場そばの川の様子。染色に使用された水が流れ出して川の色を変えている。

コットンは「環境に優しい」のか?

生活に身近な綿製品は、天然素材であることから、環境に優しいイメージがあるかもしれません。

しかし、例えば1キロのコットンを生産するために、世界平均で1,931リットルの灌漑用水を必要としたり*2、多量の農薬の使用によって土壌や河川を汚染したりするほか、労働者の健康被害、さらには児童労働や強制労働といった人権問題など、コットン生産をめぐってさまざまな問題が指摘されています。

*2 https://icac.org/Content/PublicationsPdf%20Files/dc12ae98_fb9b_40dc_9649_8bd8776c749d/e-cotton-recorder2_2021_revised.pdf.pdf

© Edward Parker WWF

綿花農園での児童労働も課題のひとつ

その後の工程でも、染色や仕上げ段階での水の大量使用や汚水の排出、さらには消費段階での家庭での洗濯排水など、生産から廃棄までのほとんどのプロセスで、水環境と深く関わっているのがコットンを含む繊維産業です*3

*3 WWF報告書「Eau Courant: WATER STEWARDSHIP IN APPAREL & TEXTILES」

環境や人権に配慮したオーガニック繊維の世界基準「GOTS」

こうした問題を解決するためには、生産された綿花が衣服に姿を変えるまで、どこでどのように作られたかを追跡できる「トレーサビリティ」のしくみが欠かせません。

そのひとつ、持続可能な繊維製品の認証制度である「GOTS認証」は、原料の70%以上にオーガニック素材が使われ、製造の全工程で環境および人権を含む社会的な基準を満たしていることが、第三者機関によって認証されています。

環境課題や社会課題を解決する上で、最上級のゴールデンスタンダードであるGOTS認証のマーク

残念ながら日本では、オーガニックコットンであることが第三者機関により証明されていない状態でも「オーガニックコットン使用」と製品に表示できてしまいます。

これはつまり、日本で手に入るオーガニックコットンでは、コットン生産をめぐる、環境や社会への問題が、十分に解決できないことを意味しています。

これに対し、GOTS認証は、第三者機関の審査を伴う国際認証。真のオーガニックコットンであることを証明する、企業が国際社会の信頼を得るためのゴールデンスタンダードとして、ますますニーズが高まっています。

WWFは、水環境への負荷を減らし、その先にある自然環境を守るために、こうしたサプライチェーンの持続可能性や認証制度の普及に取り組んでいます。

5月10日「コットンの日」にアクションを! ~心からファッションを楽しむために

みなさんは、普段何気なく使っている綿製品をどのように選んでいますか?「GOTS認証」を目印に、サステナブルなコットン製品を選びたいと思っても、残念ながら日本では、選択肢そのものが限られているのが現状です。

© Ella Kiviniemi / WWF

三恵メリヤスの三木さんは、「商品が世の中にないからお客さん側も選択肢がない。日本に普及してないっていうのは、つくる側にも責任があるんじゃないかと思っていて。だからまず、選べる状態にしたい。商品が世にいっぱい出てくれば、選びたいっていう人がもっともっといっぱいいると思うんで、GOTS認証が広まってほしい」と話します。

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福代さんは、「私は、自分がおしゃれを楽しむことが、誰かの不幸につながるような服は着たくないと思うし、自分がおしゃれを楽しむことが誰かの笑顔になって、服をつくる人がちゃんと生活ができることが保証された服を着たい。認証があるということは、その服を作っている背景の安心感につながる」と話します。

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そして、「自分たちでTシャツを販売することは、企業や大人の方たちに対するメッセージです。一般的に作られている服は生産背景が見えなかったり、人権や環境の問題が起こっていたりしますが、私たちは、作っている人がちゃんと安全に暮らせて、環境負荷も低減されていることを保証したTシャツを作りたかった。学生もこういう取り組みができるんだから、企業の方たちにもやってほしいよねって思っています。服を作ってくださっている大人の方や企業の方々に、ちゃんと労働環境が守られていて、そして環境問題が起こっていない服づくりを心がけてほしいと思っています。」と思いを話してくれました。

あなたも今日のコットンの日を機会に、サステナブルなコットン製品を求めるワンアクションをしませんか?

例えば、

  • お買いものの際にGOTS認証を探してみる。
  • 見つけたら購入する。
  • 作り手に応援のメッセージを送ってみる。
  • 見つからないときは、いつも使っている製品のメーカーや販売店にリクエストを送ってみる。

など

こうした皆さんのひとつひとつのアクションが、サステナブルなコットン製品の需要を高め、その流通や生産に取り組む人々を応援し、持続可能な生産への機運につながります。

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WWFジャパンのオンラインショップ「PANDA SHOP」では、GOTS認証のTシャツやバッグ、タオルなどを多数販売しています。

PANDA SHOP

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