© James Suter _ Black Bean Productions _ WWF-US

日本が世界の水環境に及ぼす影響を明らかにする「ウォーターフットプリント」

この記事のポイント
豊かな水に育まれる日本の自然。しかし、世界的にみると、河川や湖沼をはじめとする淡水の自然は、深刻な環境破壊にさらされています。拡大を続ける農業や畜産、さまざまな工業生産に膨大な水が利用され、水資源の枯渇と汚染が進んでいることがその原因です。こうした世界の水環境の破壊には、日本の生活も深くかかわっています。日本が輸入し、消費している食品や衣料品などの生産過程で、海外の水が大量に使用されているためです。日本がこうした輸入を通じて水環境に及ぼしている影響を明らかにするため、2021年、WWFジャパンは「日本のウォーターフットプリント調査」を実施しました。こうした検証に基づき、日本が地球の淡水環境を保全していく上で果たすべき責任を考える必要があります。

世界とアジアの水環境の危機

今、世界の各地で淡水の自然環境が深刻な危機にさらされています。

WWFは2020年9月に公開した『生きている地球レポート(Living planet report)2020』の中で、世界の淡水の生物多様性の豊かさが、1970年と比較して84%も減少していることを指摘しました。

特に、世界人口の6割を占める人々が暮らす、アジア太平洋地域では、水環境の劣化が深刻です。

同報告書に記載されたIPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)のデータによれば、人が改変する前の環境と比べ、生物多様性がどれくらい残されているかの割合を示す「生物多様性完全度指数(BII)」を見ると、アジア太平洋地域がもっとも悪化していることがわかります。

このアジア太平洋地域に共通した、淡水環境に関連する脅威としては、河川などの水のつながりの分断と、水の過剰なくみ上げが挙げられます。

いずれも、地下水や河川、湿地、流域の森林などの自然環境が供給する量を上回る規模で、水資源が農業や工業に利用されていることが原因です。

また、これは国際間の問題にも発展しています。

例えば、国境を越えて流れる大河川の場合、上流の国や地域で水を過剰に使用したり、汚染物質を排水すると、下流の国や地域の人の暮らしや野生生物に、大きな負の影響が生じます。

水の利用は本来、流域全体の環境や地域社会の在り方を考えた上で、経済的な便益を保証する十分な水量を川に残す形で行なわれるべきものですが、そうした取り組みがいまだ多くの地域で実現できていないのです。

水をめぐる災害の増加

こうした水環境の持続可能とはいえない利用の拡大と、人口の増加が続いていることで、アジア地域では未だ3億人もの人々が安全で衛生的な、生活のための「水」を享受できていません。(アジア水開発展望2020年版)

また世界全体で見ると、渇水による被害が深刻で、国連の『World Water Development Report 2019』では、1995年から2015年の間に11億人がその影響を受け、2万2,000人が亡くなり、1,000億USドルの損害が生じたとしています。

こうした降雨量の減少傾向は、もともと降雨の少なかった地域を中心に、気候変動(地球温暖化)の進行によってさらに深刻化すると予想されており、上記の国連の報告書でも、2050年までに、世界のGDPの45%、世界人口の52%、世界の穀物生産の40%が、水不足のリスクにさらされると予想しています。

一方で、水害が多発、深刻化している地域も多くあります。

自然災害の多くは、こうした水に関連するものであり、特に洪水は甚大な被害をもたらす原因となっています。

国連の『World Water Development Report 2019』によれば、1995年から2015年に生じた洪水は、自然災害全体の43%を占め、被災者は23億人、犠牲者は15万7,000人にのぼり、6,620億USドルの損害が生じています。

OECD は、こうした気候変動の進行に伴う洪水のリスクは、2050年には世界人口の16億人を脅かすようになり45兆USドルにのぼる経済損失をもたらすことになると予想しています。

加えて、「アジア水開発展望2020年版」によれば、アジア太平洋地域は、世界の中で最も強く災害の被害を受けてきた地域であり、災害件数の40%以上、被災者の84%以上を占めているとされています。

こうした問題が生じる背景には、気候変動による影響が大きく作用していることは間違いないとされていますが、同時に保水機能を持っていた森林の消失や、水資源の過剰な利用なども、被害を大きくする原因になっていると考えられます。

(出典)UN World Water Development Report 2019

水を利用する産業の割合。農業用水が総取水量の約70%で最も高く、工業用水がこれに次ぎます。水使用量は2050年に20~30%増えると予想されています

©Jashim Salam_WWF-UK

水をめぐる問題を解決していくために

2020年2月、WWFは国際自然保護連合(IUCN)、コンサベーションインターナショナル、カーディフ大学、その他の著名な組織や学術機関の科学者のグローバルチームと共に、淡水生態系の緊急回復計画をとりまとめました。

© WWF

この中で、淡水生態系の劣化を示す曲線を回復傾向に向けるために、水のつながりの分断や、水の過剰なくみ上げをやめる必要性に言及しています。

これらを実現するためには、人が水をどのようなプロセスで、どれくらい利用し、水環境に影響を及ぼしているのかを、正しく把握する必要があります。

たとえば、ある国の自国内に淡水が豊富にあったとしても、その国が輸入を通じて消費している食料や衣料品を生産している国では、現地の水資源が枯渇し、環境破壊が起きているかもしれません。

世界の水の利用と、水環境の保全に対する責任を問う上で、こうしたつながりと生産に関する情報を、明らかにする必要がある、ということです。

そこで現在、さまざまな国際機関や大学では、水の過剰利用が直接起きている生産国だけでなく、輸入や消費を通じた潜在的な形で生じている影響を定量的に評価する「ウォーターフットプリント」を明らかにする取り組みが進められています。

※ADB/APWF(2020) Asian Water Development Outlook (AWDO)
※日本水フォーラム(2020)アジア水開発展望2020年版の発表:2021/2/24閲覧
※WWF(2020) Biodiversity Intactness Index(Living planet report2020)

ウォーターフットプリント(WF)とは

ウォーターフットプリント(WF)は、水を利用して行なわれている、あらゆる製品の材料の栽培や生産、製造や加工、輸送、流通、消費、廃棄そしてリサイクルまでの「ライフサイクル」全体を視野に入れ、水環境の影響を定量的に評価するためのものです。

環境への影響の大きさ、すなわちフットプリントの大小は、m3という単位の水の量で表します。

この評価は、同じ流域で水資源を利用している複数の国が、どのように水資源に依存しているのか、その関係を理解すると同時に、汚染や水の枯渇といったリスクの評価に活用できるものです。

また、これを使えば、日本が輸入し、消費している産品の製品が、水環境にどのような負荷を与えているのか、その概要を把握することも可能になります。

日本の産業が負っている、世界の水環境に対する責任の大きさを、明らかにするものといえるでしょう。

そこで、WWFジャパンは、現時点の算定方法に則り、日本のウォーターフットプリントを明らかにする報告書を取りまとめることにしました。

オランダで設立された非営利組織ウォーターフットプリントネットワーク(WFN)では、グリーン、ブルー、グレーの3つの種類のウォーターフットプリントを設定しています。

たとえば、農産物と畜産物の分野で見ると、この3種類は次のように定義されます。

この中で、WWFジャパンが最も水環境への人為的な影響力と課題が大きいと考えているのは、綿花などの農産物を生産する際に利用される、ブルーウォーター(灌漑用水)です。

畜産や綿花栽培による日本のウォーターフットプリント

今回WWFジャパンが行なった調査では、WFNが公表している原単位を参考に、農産物、畜産物の生産に際して生じる日本のウォーターフットプリントを算出。

参照した日本の輸入量については、貿易統計および農林水産物輸出入概況の最新データを使用しました。

(算出方法の詳細については、後段の【参考情報】ウォーターフットプリントの調査方法 を参照)

また、WWFが国際的な視野で活動を進めている、繊維産業による環境への影響についても別途調査しています。

テキスタイル(繊維)や畜産物が占める大きなフットプリント

日本のウォーターフットプリントを試算すると、テキスタイル(繊維)や畜産物の生産によるフットプリントが高い比率を占める傾向にあることが分かりました。

テキスタイルには原材料であるコットンリント、羊毛、絹などの生産段階と、繊維の脱色、プリンティングなどの加工段階で使用される水が含まれます。

また、畜産物については、家畜が飲む水などの直接的な消費だけでなく、その餌となる穀物などを生産する際にも、ウォーターフットプリントが生じます。

灌漑用水(ブルーウォーター)ではテキスタイルの環境負荷が最大

灌漑用水(ブルーウォーター)に着目して比較すると、テキスタイル、すなわち綿製品が、他の農作物や畜産物と比較して大きな影響力があることが分かりました。

これは毎日消費されている農産物や畜産物よりも、不定期の消費に支えられている洋服などの方が、むしろ大きな環境負荷を生じている事実を示しています。

特に、自然の河川や湖沼から引水し、農業用水にあてるブルーウォーター(灌漑用水)は、人為的な水の利用方法として、自然環境に与える影響力が大きいウォーターフットプリントです。

これを改善し、健全な水環境と水資源の供給を守ることは、SDGs(持続可能な開発目標)でも謳われている、持続可能な社会を目指してゆく上でも、欠かせない要素となります。

畜産物は飼料となる穀物生産でも大きなウォーターフットプリントが生じる

畜産物の生産も、大きなウォーターフットプリントを生じる要因です。

特に、その中でも大きな環境負荷となっているのが、家畜の飼料となる穀物を生産するための水の使用です。

世界で生産されている畜産物のグリーンウォーターのうち1,199十億m3(57%)は、この飼料となる穀物を生産するために使用された天水。残りが放牧のための天水です。

また、ブルーウォーターについても、105十億m3(70%)は飼料となる穀物を生産するために使用された灌漑用水であり、残りが家畜の飲用や飼育等のために用いられた用水となっています。

世界全体の畜産物生産で生じたウォーターフットプリント

(出典)Water Footprint Network (2010) The Green, Blue and Grey Water Footprint of Farm Animals and Animal Productsに基づきWWF/KPMG作成

また、畜産の対象となる家畜ごとのウォーターフットプリントは以下の通りです。

世界全体の畜産対象となる家畜別の水使用量

(出典)Water Footprint Network (2010) The Green, Blue and Grey Water Footprint of Farm Animals and Animal Productsに基づきWWF/KPMG作成

農産物別のウォーターフットプリント

日本で2018年に消費された主要輸入農産物の生産により、40,493 百万m3のグリーンウォーター(天水)と、1,974 百万m3のブルーウォーター(灌漑用水)が使用されました。

日本の輸入・消費によって生じたウォーターフットプリント

(出典)農林水産物輸出入概況(2018年)およびMekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y. (2010) に基づきWWF/KPMG作成

また、こうしたウォーターフットプリントは、農作物そのものだけではなく、それが生産された国ごとにも見て取ることができます。

こうした各国のウォーターフットプリントは、生産国で生じる渇水リスクなどを考慮する上でも重要な情報となります。

日本の消費によって生じる国別のウォーターフットプリント

(出典)農林水産物輸出入概況(2018年)およびMekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y. (2010) に基づきWWF/KPMG作成

畜産物別のウォーターフットプリント

日本で2018年に消費された輸入家畜製品の生産によって生じたウォーターフットプリントは、グリーンウォーターで14,739 百万m3、ブルーウォーターで871 百万m3にのぼりました。

日本の輸入・消費によって生じたウォーターフットプリント

日本の消費によって生じる国別のウォーターフットプリント

テキスタイルのウォーターフットプリント

日本が2018年に輸入した綿、羊毛、絹、人造・合成繊維、衣類および衣類附属品(綿、羊毛、人造・合成繊維)の生産に伴うグリーンウォーターとブルーウォーターの合計は5,384百万m3でした。

繊維別では綿のウォーターフットプリントが圧倒的に大きく、生産段階のステージ別では、原材料である綿花の生産段階で生じたウォーターフットプリントが、大半を占めていました。

さらに、国別でみるとインドでの生産によるウォーターフットプリントが最大となりました。

こうした国々での水資源の過剰な利用や、水環境の破壊は、生物多様性はもちろん、地域社会の暮らしや衛生、防災などにも深刻な影響を及ぼす可能性が考えられます。

日本で消費された繊維製品の生産によるウォーターフットプリント(グリーンウォーターとブルーウォーターの合計)

日本に輸入されたテキスタイルのグリーンウォーターとブルーウォーターの合計(2018年)

動き出した淡水の保全プロジェクト

中国における繊維生産改善プロジェクト

本調査でも明らかになった通り、日本のテキスタイル(繊維)産業によるウォーターフットプリントは、比較的高い傾向にあります。

これを改善することは、水環境の保全と持続可能な社会づくりを推進する上で、重要なステップといえるでしょう。

そこでWWFジャパンでは、2020年7月からWWF中国や日本の繊維商社と協働したプロジェクトを開始。持続可能な水利用とアパレル産業を目指しています。

九州有明海沿岸における防災と水環境の保全

また、流域の水環境の喪失が、その被害を増大させるおそれのある豪雨や洪水などの防災と一致した、水田の自然環境を保全する新たな活動も開始しています。

アジア各地でも近年洪水による被害が頻発し、多くの人々が犠牲になっていますが、毎年のように豪雨による大きな被害が生じている日本も、その例外ではありません。

そこで、WWFジャパンは、世界的にも貴重かつ独自性の高い淡水生態系が残る九州有明海沿岸の水田地帯で、豪雨被害の防災、持続可能な農業、生物多様性の保全を同時に志向する研究に取り組んでいます。

この活動では、さまざまな野生生物が生きる水田の自然を、災害時の遊水池として活用するなどの手法を検証し、自然に根ざした解決方法の知見を得ることを目指し、地域の農業者や自治体、大学の研究者との協力のもと推進しています。

ウォーターフットプリントの今後に向けた活用

資源、防災、人の健康などにもかかわる、水環境が抱えるさまざまな問題は、非常に複雑であり、関係する要素のつながりや、そこで生じる影響の大きさが見えづらい、という難点があります。

その中において、消費する水の量を指標に定めたウォーターフットプリントは、完全ではないにせよ、問題の規模の大きさを評価する上で役立つ、有効な手段であるといえるでしょう。

WWFジャパンでは、国内外の水環境の保全を目指した、さまざまな取り組みをより推進するため、取り組みの科学的な根拠の一つとして、ウォーターフットプリントの活用を今後も進めてゆきます。

また、こうした考え方が、さまざまな産業にかかわる企業の間でも、共通した認識として応用されるよう、今後も活動を進めてゆきます。


【参考情報】ウォーターフットプリントの調査方法

主要農産物のフットプリントの算定

対象
農林水産物輸出入概況に基づき、2018年金額上位20品目から、畜産物(牛肉、豚肉、鶏肉、鶏肉調製品)、魚介類(さけ・ます、かつお・まぐろ類、えび)、木材(製材、木材チップ、合板)、アルコール飲料を除いた、9品目(とうもろこし、小麦、大豆、コーヒー豆(生豆)、菜種、生鮮・乾燥果実、ナチュラルチーズ、冷凍野菜、たばこ)を対象としてウォーターフットプリント(WF)を算定した。
算定対象のウォーターフットプリント
「グリーンウォーターとブルーウォーターの合計」、「ブルーウォーター(のみ)」および「グレーウォーター(のみ)」の三通りのWFを算定した。
算定のステージ
適用したWF原単位には農産物の生産のステージ別の内訳までは示されていないことから、WFの内訳の計算は実施していない。
算定を行う上での前提
農産物の生産に伴う水の使用はすべて畜産物の輸入元の国で生じると仮定した。
情報源
-輸入量:農林水産物輸出入概況(2018年)
-輸入国比率:農林水産物輸出入概況(2018年)
-原単位:Mekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y. (2010) The green, blue and grey water footprint of crops and derived crop products

畜産物のフットプリントの算定

対象
財務省貿易統計の区分に基づき、2018年度に日本に輸入された牛肉、豚肉、鶏肉を対象としてウォーターフットプリント(WF)を算定した。
算定対象のウォーターフットプリント
「グリーンウォーターとブルーウォーターの合計」、「ブルーウォーター(のみ)」および「グレーウォーター(のみ)」の三通りのWFを算定した。
算定のステージ
適用したWF原単位には、「家畜が消費する飼料の生産段階での水使用量」、「家畜の飲用水の量」、「牧場や屠畜場の清掃等に使用する水の量」が反映されているが、それぞれの内訳までは示されていないことから、WFの内訳の計算は実施していない。
算定を行う上での前提
例えば、アメリカから輸入された牛肉の牛を育成する際にブラジルから輸入された飼料が用いられていた場合、「家畜が消費する飼料の生産段階での水使用量」はブラジルにおける当該飼料のWF原単位を用いて計算され、「家畜の飲用水の量」や「牧場や屠畜場の清掃等に使用する水の量」にはアメリカにおける牛のWF原単位を用いて計算されなければならない。適用したWF原単位はこのように計算されているものの、前述のとおり、WF原単位の内訳は示されていないことから、畜産物の生産に伴う水の使用はすべて畜産物の輸入元の国で生じると仮定した。
情報源
―輸入量:財務省貿易統計(2018年度)
―輸入国比率:International Trade Centre TRADE MAP
―原単位:Mekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y. (2010) The green, blue and grey water footprint of farm animals and animal products

テキスタイルのフットプリントの算定

対象
財務省貿易統計の区分に基づき、2018年度に日本に輸入された綿、羊毛、絹、人造・合成繊維、衣類及び衣類附属品(綿、羊毛、人造・合成繊維)を対象としてウォーターフットプリント(WF)を算定した。例えば、カーテンや敷物など、衣類及び衣類附属品以外の製品については対象から除外している。以降、算定の対象となる製品を「テキスタイル」と総称する。
算定対象のウォーターフットプリント
「グリーンウォーターとブルーウォーターの合計」および「ブルーウォーター(のみ)」の二通りのWFを算定した。テキスタイルの場合、水質汚濁は主に繊維の加工段階で生じると考えられるが、繊維の加工段階におけるグレーウォーターの原単位が入手できないことから、グレーウォーターについてはWFの算定の対象としていない。
算定のステージ
綿、羊毛、絹、衣類及び衣類附属品(綿、羊毛)については、原材料(コットンリント、羊毛、絹)の「生産段階」と繊維の脱色、染色、プリンティングなどの「加工段階」の二つのステージに区別してWFを算定した。人造・合成繊維については、生産段階と加工段階を区別することが困難であるため、すべて加工段階のWFとして取り扱い、算定を行った。
算定を行う上での前提
―レーヨンやビスコースは、セルロース系で天然の材料であるが、貿易統計の中では「人造繊維」と区分され、化学繊維と区分することが困難であることから、すべて化学繊維として扱っている。
―世界平均のWF原単位を用いた試算を通じ、テキスタイルのWFの90%以上を「綿」および「衣類附属品(綿)」が占めることが明らかになったことから、「羊毛」、「絹」および「衣類及び衣類附属品(羊毛、絹)」については、原材料の羊毛および絹の生産量の割合はグローバルの国別生産量の割合と等しいと仮定し、羊毛および絹のWFを算定した。
―コットンリントについては、「綿」および「衣類及び衣類附属品(綿)」の輸入量が大きく、かつ、FAOSTATでコットンリントのデータが入手可能な、中国、インドネシア、インド、パキスタン、アメリカ、タイ、韓国、オーストラリアにおける、コットンリントの生産量、輸入量(原産国別)、輸出量のデータに基づき、「綿」および「衣類及び衣類附属品(綿)」に用いられているコットンリントの生産国別の生産量を推計した。推計の結果、中国、インド、アメリカ、パキスタン、オーストラリア、ブラジル、ウズベキスタン、ブルキナファソ、マリ、コートジボワールの10か国で全コットンリント生産量の98.7%を占めることが明らかになったことから、これら10か国のコットンリント生産に伴うWFについては国別のWF原単位を用いて計算を行い、それ以外については世界平均のWF原単位を用いて計算した。
―加工段階における水の使用はすべて製品の輸入元の国で生じると仮定した。
情報源
―輸入量:財務省貿易統計(2018年度)
―輸入国比率:International Trade Centre TRADE MAP
―綿花生産量、輸入量、輸出量:FAOSTAT
―原単位:Chapagain, A.K. et al. (2005) The Water Footprint of Cotton Consumption
Mekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y. (2010) The green, blue and grey water footprint of crops and derived crop products
Mekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y. (2010) The green, blue and grey water footprint of farm animals and animal products
IDEAv2
Hogeboom, R.J. and Hoekstra, A.Y. (2017) Water and Land Footprints and Economic Productivity as Factors in Local Crop Choice: The Case of Silk in Malawi, p.8
Madsen, J. et al. (2007) Mapping of Evidence on Sustainable Development Impacts that Occur in the Life Cycles of Clothing, p.42
URS (2012) Review of Data on Embodied Water in Clothing Summary Report, p.45

制作にご協力いただいた皆さま

この地図の作成にあたっては、さまざまな分野の専門家の皆さまに、多大なご協力をいただきました。(敬称略)

〇KPMGあずさサステナビリティ株式会社


※この取り組みは、競輪の補助を受けて行なわれました。

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