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世界の非国家アクター集結「グローバル気候行動サミット」開催

この記事のポイント
2018年9月12日から14日にかけて、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコで「グローバル気候行動サミット」(Global Climate Action Summit)が開催されました。これは、世界各地域から州政府、自治体、投資家、市民などのいわゆる「非国家アクター」が集まる国際会議です。WWFジャパンは、日本の非国家アクターによる連合体「気候変動イニシアティブ」(Japan Climate Initiative; JCI)の事務局として参加。世界の非国家アクターとの連携を深め、パリ協定実現に向けた世界の機運つくりに貢献しました。

グローバル気候行動サミット(GCAS)とは?

2015年の国連会議で、気候変動(地球温暖化)問題に世界が一丸となって取り組むことに合意した「パリ協定」。
これが成立した背景には、各国政府の代表による交渉だけでなく、「非国家アクター」と呼ばれる企業、自治体、投資家、NGO(民間団体)市民社会などのさまざまな主体による後押しがあったことが知られています。
近年は、パリ協定のような国際的合意を成立させる機運を盛り上げたり、実際にそれを実施していく主体として、こうした非国家アクターの役割にますます注目が集まっています。

気候変動に取り組む企業が集まったWe Mean Business、パリ協定と整合する削減目標を持つ企業のScience Based Targets Initiative、大都市が連携して気候変動に取り組むことをうたったC40、再生可能エネルギーの推進を掲げるRE100など、様々なイニシアティブが発足し、国を超えた排出削減などの取り組みが勢いを増しています。
また、国際交渉の場であるCOP(国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、非国家アクターによる気候変動対策のアピールが盛んに行われています。こうした活動の高まりが、「世界の脱炭素化」を目指すパリ協定実現を先導し、国家政府の対策を後押しする大きな動きを作っているのです。

そのような流れの中、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコで、2018年9月12日から14日にかけて、グローバル気候行動サミット(Global Climate Action Summit, GCAS)が開催されました。

街中に掲げられたサミットの旗
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街中に掲げられたサミットの旗

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これは、カリフォルニア州が呼びかけて、アメリカ国内および世界各地域から企業や自治体などのリーダーたちを集め、エネルギーの脱炭素化、中長期の具体的な数値目標設定、投資対象の転換など、先進的な気候変動対策の取り組みや情報を共有しながら、将来に向けた次の目標や行動計画を打ち出すことを目的とした国際会議です。
通常の国際会議が、各国の政府代表による「国同士」の間の会議であるのに対し、GCASは、州、地域、自治体、企業、投資家、市民などの非国家アクターの取り組みであることに特徴があります。
今回のサミットには、世界各国から実に4000人以上の非国家アクターや政府が参加。また、サミットに合わせて開催されたイベント数は300を超える大規模な催しとなりました。

開幕総会の会場
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開幕総会の会場

日本の非国家アクター、気候変動イニシアティブの参加

WWFジャパンは、2018年7月6日に日本で発足した「気候変動イニシアティブ」(Japan Climate Initiative, JCI)の事務局として、GCASに参加しました。
JCIからは、このたびWWFジャパン会長に就任した、代表呼びかけ人の末吉竹二郎氏(国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問)をはじめ、企業や自治体などから20名以上が参加。イベントへの登壇などを通じて、日本の非国家アクターの取り組みを国際社会に発信しました。

協力団体にWWFのロゴ
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また、JCIはアメリカの非国家アクターネットワーク「アメリカズ・プレッジ」(America’s Pledge)と気候変動対策の強化に向け、共に取り組むことを記した覚書を締結するなど、世界の非国家アクターたちとの連携を強めました。

JCIとAmerica's Pledgeとの覚書締結会見
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JCIとAmerica's Pledgeとの覚書締結会見

サミットで発表されたさまざまな「約束

このJCIの取り組みをはじめ、サミット期間中は、世界中のさまざまな非国家アクターが、今後の気候変動・温暖化対策の強化に向けた約束(コミットメント)を発表しました。以下は、その中の一部をご紹介します。

<都市・自治体の取り組み>(一部企業を含む)

  • 東京を含む12の都市が、”C40 Green & Healthy Streets Declaration”に参加し、2030年までに都市の主要部分からの排出量をゼロにすることを目指して、2025年以降、ゼロ・エミッション車のみを購入することを宣言。
  • 東京を含む22の都市、12の企業、4つの州・地域が、” Net Zero Carbon Buildings Commitment” に賛同し、2030年以降の新設の建築物からの排出量を実質的にゼロにし、2050年までに、建築物からの排出量全体を実質ゼロにすることを約束。
  • ニューヨーク州やハワイ、ロッテルダムなど10の都市・地域が、石炭からの脱却を目指す国や地域の連盟であるPowering Past Coal Alliance に新たに参加。
  • カリフォルニア州が、州内の企業と協力し、独自の衛星を打ち上げ、温室効果ガスに関するデータ収集などを通じて気候変動対策に貢献することを表明。

<企業の取り組み>

  • 使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えていくことを目指すRE100に、ソニーが新しく参加を表明し、2040年までに自社の消費電力の100%再生可能エネルギー化を目指すことを発表。
  • GCAS開催以前からの呼びかけに応え、パリ協定の目標と科学的に整合する目標を持つことを推進するScience Based Targets Initiative (SBTi)に488の企業が参加。参加企業数は、2017年から比較して約4割の増加。
  • 21のテクノロジー関連企業が、”Step Up Declaration” に署名し、第4次産業革命のテクノロジーを集結して、温室効果ガス排出量削減に貢献することを表明。

<財団、投資機関の取り組み>

  • 9つの財団が、4億5900万ドルを森林保護、先住民の権利、持続可能な土地利用に提供することを誓約。
  • 32兆ドルの資産を管理する392の投資機関が、The Investor Agenda というプラットフォームを通じて、投資関連行動を通じての気候変動対策強化への働きかけを約束。

これらの例に見られるように、非国家アクターが掲げる目標の水準は年々高くなってきています。
再生可能エネルギー「100%」、排出量の実質「ゼロ」といった、ひと昔前までは「非現実的だ」と批判されていた目標も、もはや珍しいものではなくなってきました。

世界への呼びかけ“Call to Global Climate Action”

サミットの閉幕に際して、その集大成として「グローバル気候行動への呼びかけ」(Call to Global Climate Action)が発表されました。
 Call to Global Climate Action全文は下記URL
 https://www.globalclimateactionsummit.org/call-to-action/

この呼びかけ文は、世界が一丸となった取り組みこそが、気候変動を取り巻くさまざまな課題を解決する道へとつながり、「脱炭素社会(=炭素を多く輩出する石油や石炭に頼らない社会)」の移行を実現するという力強いメッセージで始まります。

また、パリ協定の実現に向かうためには、政府、企業、学術機関、自治体、NGOなど社会のあらゆるセクターがあらゆる段階で協力し、変革を起こしていく必要があることにも言及がありました。実際、今回のサミットでは、企業や自治体のリーダー、先住民族などのコミュニティ、投資家などから、500以上もの約束が発表されたと述べています。

さらに、国家のリーダーたちが、自信と確信を持って気候行動(=気候変動や温暖化対策の取り組み)を加速していけるよう、非国家アクターも尽力するとともに、世界の国家政府に対し、2020年までの国別目標の引き上げや、地域レベルでの気候行動の支援などを行なうよう訴えています。

そして最後に、COP24でのタラノア対話や、2019年に国連事務総長が開催する気候サミット(Climate Summit)といった、2020年までに野心を引き上げていくための重要な節目がまだあること。これに向け、世界がやるべきことはまだまだあり、気候行動の大きな波を非国家アクターたちが共に盛り上げていくことが必要であると呼びかけました。

閉幕総会の演説
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閉幕総会の演説

異常気象などによる大災害をともなう気候変動は、地球上のさまざまな環境はもちろん、すでに多くのビジネス、金融、産業、人の生活にも深刻な影響を及ぼす問題となっています。また、気候変動・温暖化対策が最終的に必要とされるのは、エネルギーを使う現場であり、モノを作る工場であり、人が移動し、生活する地域であるため、非国家アクターは、まさにその最前線に位置する主体であるといえます。
これは、国際政治や各国の政策のみで解決できる問題ではない、ということを物語っているといえるでしょう。

今回のサミットへの参加が、日本の非国家アクターによる気候行動のさらなる高まりへとつながるよう、WWFとしても引き続き積極的に活動を続けていきます。

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