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世界で広がるSBT!日本企業は…?

この記事のポイント
科学に基づく気候目標の設定を企業に促す世界的なイニシアティブであるSBTiが2023年8月17日に、2022年の年間報告書を発表しました。それによると、SBT認定の取得やコミットメントを発表した企業は、世界中で大きく増加し、ビジネス界における気候変動対策に前進が見られたことがわかりました。国際的な規模で広がる企業の気候目標の設定状況や、気になる日本企業の動向について紹介します。
目次

SBTi の 2022 年年間報告書発表!

広がりを見せる企業の気候行動

記録的な猛暑や洪水被害、山火事など、気候変動の影響による被害が世界各地で続いている中、科学に基づく気候目標の設定を企業に促す世界的なイニシアティブであるSBTi(Science Based Targets initiative)が、2023年8月17日に2022年の年間報告書を発表しました。
これによると、2022年は世界中で1097社の企業が科学に基づく気候目標(SBT)の認定を取得しました。これはSBTiが活動を開始した2015年から2021年の7年間に認定を取得した企業数(1082社)を超える数字です。

出典:SBTi Monitoring Report 2022より翻訳

出典:SBTi Monitoring Report 2022より翻訳

世界経済の3分の1をカバー

2022年末時点で、SBT認定取得・コミットをした企業は、累計で4,230社まで増え、時価総額で世界経済の約3分の1(34%)をカバーしたことになります。
また、フォーチュン誌が発表している世界の企業ランキング、フォーチュン・グローバル500のうち188社(38%)がSBT認定取得・コミットメントをしました。

SBTがカバーするGHG排出量はどれくらい?

2022年にSBT認定を取得した企業のGHG排出量(スコープ3を除く)を合計すると、それはイギリスの2022年のGHG排出量に相当します。また、これまでに認定を取得した企業をすべて合計すると日本とドイツの2022年のGHG排出量を足した量に相当します。

SBTの認定取得・コミットの状況 国・地域に目を向けると?

その数201社!企業数では日本が世界で最多に

SBT認定取得数を国別にみてみると、2位のイギリス(181社)、3位のアメリカ(109社)を抑え、2022年に最も多くの企業がSBT認定を取得したのが、日本(201社)でした。
これで、日経平均株価指数に採用される企業のうち40%がSBT認定取得・コミットメントをしたことになります。
日本企業の頑張りが世界のSBT取得・コミットメントの伸びを牽引したといえます。

アジア企業の大きな前進

地域別にみても、アジア地域が世界で大きく躍進しています。アジア地域で2022年にSBT認定を取得した企業は317社で、これは前年比127%の伸びです。
日本企業の数がアジア地域を牽引しているのはもちろんですが、中国企業もSBT認定取得数が前年に比べ194%の伸びを大きな躍進を見せています。
世界のサプライチェーンの要所である中国におけるSBTの広がりは、世界中の企業のスコープ3排出量(バリューチェーンにおける温室効果ガス(GHG)排出量)に大きな影響があります。

今後も増え続けるSBT

SBTは2030年、2050年への羅針盤

ここまで、SBTiが発表した2022年の報告書についてご紹介してきましたが、2023年以降も引き続きSBT取得企業数は順調に伸びていくことが予想されます。実際に2023年7月末時点で既にSBT認定取得・コミットをした企業は全世界で5700社、日本では640社を超えています。
 ここまで日本企業がSBT認証取得に邁進するのは、科学に沿った削減活動をしていないと、グローバルなサプライチェーンから外されてしまう、という危機感もあると思われます。企業にとってきちんとパリ協定に沿った脱炭素行動をとっていることを対外的に示すには、こうした国際認証を取ることが最も認められやすいからです。中長期的な視野をもって、科学に基づいた気候目標を掲げ、その推進と評価に取り組んでいること。SBTiが示すガイダンスはその羅針盤なのです。
世界全体で1.5℃目標が達成するために、引き続き日本企業も、SBT取得を通じて脱炭素行動を加速させていくことが重要です。

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