©Martin Harvey/WWF

3月3日は「世界野生生物の日」です!


3月3日は、桃の節句「ひな祭り」の日!
ですが、本日この日は「世界野生生物の日」でもあります。

これは、今から50年前の1973年3月3日に、「ワシントン条約」が採択されたことを受け、定められたという記念日です。

ワシントン条約の正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。

その名の通り、国と国との間で行なわれる野生動植物の取引のルールを定め、保護を推進することを目的としています。

© naturepl.com_Klein & Hubert/WWF

ワシントン条約を象徴する野生動物の一種アフリカゾウ。牙は条約のロゴにも使われています。

このワシントン条約、日本でも象牙やマグロ、ウナギなどの取引規制をめぐり、注目されることが多いためか、とにかく「動植物を取引させない、使わせない」ためのもの、と思われがちですが、実はそうではありません。

この条約では、野生生物を絶滅に追い込むことがないよう、各国が協力し、その持続可能な利用を促進する役割も担っているのです。

私たちの暮らしに欠かせない木々や魚類なども野生生物でし、世界には革製品や装飾品、医薬品にも野生の動植物由来のものがたくさんあります。

これらを獲り尽くしたり、絶滅させたりすることなく、守りながら利用していく。そのために、適切な取引の在り方を世界の国々が集まって検討し、定める時の国際ルールが、ワシントン条約なのです。

©David Strobel/WWF

南米に生息するビクーナ。生息国での保護政策と、地域社会で経済的価値の認知、そしてワシントン条約の取引管理により、個体数が回復した野生動物の一例です。

さまざまな自然資源の枯渇と環境破壊が深刻化する中、持続可能性(サステナビリティ)を追求し、実現していく取り組みは、政治、経済、ビジネス、そして金融などの分野においても、今では急速に広がりつつあります。

ワシントン条約がたどってきた半世紀の道のりは、決して平坦なものではありませんでしたが、国際社会でのその役割とは今後、さらに大きく、重いものとなっていくに違いありません。

3月3日の今日、桃の節句を楽しみながら、ぜひ世界の野生生物と「ワシントン条約」にも、心を傾けていただければと思います。

ワシントン条約の50周年を記念するポスター。陸海の多様な野生動物と人の姿がデザインされています。

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自然保護室(野生生物 グループ長)、TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

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