© Martin Harvey

日本人がオーストラリアで逮捕!マツカサトカゲ密輸の疑い


2月5日、オーストラリアのシドニー空港で、トカゲを違法に持ち出そうとした日本人が、密輸の疑いで逮捕される事件が発覚しました。

世界でオーストラリアにしか生息していない固有種「マツカサトカゲ」10頭を、カバンに隠し持ち、日本に持ち帰ろうとしたというものです。

マツカサトカゲは、30センチほどにもなる大型のトカゲ。

絶滅が心配される種ではありませんが、オーストラリアの法律で国外の持ち出しが厳しく規制されている動物です。

尾が太く短い姿が特徴的なこのトカゲは、日本でもペットとして人気があり、過去にも日本人による密輸事件が発生しています。

マツカサトカゲ
© Martin Harvey

マツカサトカゲ。今回罪が確定した場合は、最大でオーストラリアでの懲役10年または罰金21万ドル、もしくはその両方が課せられることになります。

しかし、オーストラリアが国外への持ち出しを禁じている一方、日本国内にはこのトカゲの販売を規制する法律がありません。

そのため一旦、何らかの形で日本に持ち込まれ、ペットとして販売されてしまうと、その個体がどのようなルートをたどってやって来たのかも確かめられないのです。

最近では、タイやインドネシアに生息する絶滅危機種のコツメカワウソを、日本に違法に持ち込み、販売しようとした日本の事業者が逮捕される事件がありましたが、これもまた「ペットとしての需要」が原因で起きた事件。

日本で販売されている、由来を確かめることの難しい珍しい、こうした「エキゾチックペット」は実は少なくありません。

コツメカワウソ

コツメカワウソ

これを改善するため、私たちは今、個人による動物の保持・所有や事業者の規制に関係する法律「動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)」の改正に向け、国会議員と環境省に働きかけています。

珍しい、美しい、かわいい、というだけで希少な動物をペットとすることの是非を、日本ではもっと考えてゆかねばなりません。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。

虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。

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