「WWFとの出逢いは?」企画管理室IT担当インタビュー(前編)


WWFってパンダマークの動物を保護している団体?
いえいえ、もっといろいろやっています。知っているようで知らないWWFのこと。WWFスタッフが語る、仕事のこと、働いている人たちのこと、これからのこと・・・。
なかなかお伝えできていないお話しを、WWFジャパンスタッフへのインタビューという形式でお伝えいたします!

今回は、企画管理室・ITグループに所属する谷野要です。(前編)

企画管理室 ITグループ長
谷野要

社会人になってからはIT畑一筋。WWFでは、技術書よりも動物図鑑をこよなく愛するIT担当者です。生き物好きの世界に入り込んだのは約40年前。昆虫写真家の海野和男さんの写真に興味をひかれたことがきっかけです。以来、昆虫好きにはじまって、魚・両生・爬虫・鳥・哺乳類と、いろいろな野生動物を観察してきました。趣味は、2,000kmを旅するアサギマダラの飛来調査とムササビの観察会。

小学生の頃からWWFのファン

——谷野さんの動物好きはいつ頃からなのでしょうか?

奈良県の山奥で育ったのですが、子どもの頃から、とにかく動物が好きでした。家の周りで魚や昆中などを捕まえて、飼育しながら観察するのが大好きでしたね。

——WWFとの出会いを教えてください。

WWFのことは小学生の時、ノートにあったパンダのロゴについて「これは何?」と母親に聞いて知ったのがたぶん最初です。

今はスタッフとして働いていますが、長年WWFのファンでもあります。

——自然保護を意識するようになったきっかけは?

考えるきっかけになったのは、子どもの頃に里山だったエリアが宅地開発されたことでした。

開発された場所にはかつて、イシガメやモツゴ、テナガエビ、ゲンゴロウなど、たくさんの水生生物が棲む池がありました。
また、池の周りには雑木林があり、たくさんの鳥や昆虫たちもそこには暮らしていました。

久しぶりに奈良県に帰省したとき、子どもの頃に多くのことを教わり、大好きだった場所が
造成され、すっかり失われている光景を目の当たりにし、愕然としました。

僕の目から見て、明らかにこの開発は不要なものに感じました。
実際、開発されたエリアに今もほとんど家が建っておらず、人は住んでいません。


野生生物たちの暮らす貴重な環境はすっかり失われ、代わりに、たくさんの空き地が残されました。

そういった経験から、
「どうして守れなかったんだろう」
「野生生物たちを守るために自分に何ができるのだろう」
ということを考えるようになりました。

ヤマアカガエル

ヤマアカガエル

——どんな活動を始めたのでしょうか?

まずは、自分の身近にある自然のことをもっと知ろうと思いました。
例えば、ときどき近所の山の清掃活動を手伝ったり、小鳥の巣箱作りなどのボランティア活動に参加するようになりました。

WWFでは、僕自身はITの担当者(※)なので、例えば保護の現場で直接自分が活動をすることは業務を通してはなかなかできません。

その代わりに、今でもプライベートでフィールドに出て、
いろいろな活動をするようにしています。

(※)IT担当者:組織内の情報システム部門において、事業活動や業務が安全かつ効率的に行われるよう、システム導入から運用・管理まで、システム環境の最適化全般を担当する人。

動物ファンとしての活動

足尾にて

足尾にて

——谷野さんがWWFの業務とは別に、動物ファンとして行っているプライベートな自然保護活動についてもう少し教えてください。

例えば、傷病鳥獣の救護活動や、人間と野生生物との共生について考える団体でムササビの観察会を実施させてもらったり、アニマルパスウェイ(分断された森林をつなぐ樹上性動物のための通り道)を設置する会への参加。
2,000kmを旅する蝶、アサギマダラの飛来調査のお手伝いなどなど、いろいろやらせてもらっています(笑)。

2,000kmを旅する蝶、アサギマダラ

2,000kmを旅する蝶、アサギマダラ

例えば、ムササビの観察会は毎年2回、山梨県で実施しています。
WWFのスタッフを招くこともありますが、広く一般の方から、特に親子で参加してくださることを楽しみにしています。

ムササビは日本産のネズミ目の中で最大の動物。
頭から尾までは最大で80センチ、体重も1キロ以上。

小柄なネコくらいあります。
そんな動物が、夜空を滑空するんです!
初めて見た時は感動しましたね。

観察会をやっていて、僕が一番嬉しく思う瞬間は、フィールドの中で、親子が一緒に
野生生物の姿を見て「わぁー」って感動してもらえたときです。

同じものを見て、親子で感動を共有する。
こういった体験は、一生色褪せません。
この原体験こそが、今の僕の原点でもあります。

自然観察会を通して、子ども達の自然に対する関心、思いやりの心を育てるきっかけになればと思っています。

そして、そんな職場外での自然活動の成果が認められたのか、ITの担当者でも、WWFジャパンの業務として現場に行かせてもらうこともありました。

——現場ではどんな活動をされたのでしょうか?

中国・黄海への出張では、自然保護室のフィールド担当のスタッフに同行して、現地のITスタッフとさまざまな情報交換をしました。

ITの世界は日進月歩。
それぞれ国で、どんな担当をしているのか、どんなソリューションを活用しているのかなど、さまざまな情報や意見を交換しました。

そのとき得られたアイデアは、新しいオフィスへ移転した際に導入したITインフラにも生かされています。

また中国と北朝鮮の国境沿いにある巨大な干潟「鴨緑江(おうりょくこう)」でフィールド視察もしました。

——現場に行ってみてどうでしたか?

龍の如く空をうねる「シギ・チドリ」の群舞には圧倒されました!

フィールド担当のスタッフじゃなくても、現場で何が起こっているのか直接知ることができるのは、WWFで仕事をする上で大事なモチベーションになりますね。

ああ、自分はこういうものを守る為に頑張っているんだなという、再確認にもなります。

オオソリハシシギ

オオソリハシシギ

(写真:谷野要)
(取材・文:島田零子)

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