日本の国内市場はワシントン条約で閉鎖が勧告される市場に該当するため、政府は緊急に対策を


記者発表資料 2017年12月20日

日本の国内市場はワシントン条約で閉鎖が勧告される市場に該当

1.トラフィックの国内古物市場と観光エリアの調査で、象牙の違法取引と違法輸出の横行を確認
2.不十分な国内取引規制と取り締まりが違法輸出の温床を作り、中国に向けた象牙の組織的密輸も発生
3.日本の国内市場はワシントン条約で閉鎖が勧告される市場に該当するため、政府は緊急に対策を

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区 会長:徳川恒孝 以下、WWFジャパン)内の野生生物取引監視部門であるトラフィックは、日本の象牙の国内市場と違法取引の実態に関する包括的調査の結果を、報告書『IVORY TOWERS 日本の象牙の取引と国内市場の評価』にまとめ、本日、公開いたしました。

トラフィックは、2017年5月~9月にかけて、東京、大阪、京都の骨董市、古美術街、観光エリアにおける実店舗調査、一般公開されるオークションハウスおよびインターネットオークションにおける取引調査、ならびに個人が保有する象牙を買取る骨董業者を対象としたインタビュー調査を実施しました。今回の実店舗調査で足を運んだ象牙を販売する店は計430店舗(非常設のブースや露店を含む)、目視確認した象牙製品数は約5,000点に上ります。

これらの調査の結果、(1)骨董市、古美術街、観光エリアでは、外国人客による象牙製品の買い付けが横行しており、73%の販売業者が象牙製品を海外に持ち出すこと(つまり違法輸出)は問題ないと返答しました。また、販売が確認された象牙製品のうち合法性の証明が必要とされる全形牙はわずか1%未満で、残る99%を超える製品については合法性が不明でした。全形牙においても、68%で登録票の添付がない違法な広告がされていました。

(2)観光エリアでは、海外市場向けの新しい象牙製品の製造と販売が確認されました。(3)オークションは、組織的な違法輸出のための象牙の調達に利用されている実態が明らかになり、全形牙の出品における違法な広告も多数確認しました。(4)骨董業者の50%が全形牙の買取に法的手続きは不要(違法取引にあたる)と回答しました。一方、大量の無登録全形牙の取引で今年摘発された骨董業者ら(2件で容疑者計39名)は不起訴処分となっています。

こうした結果から、日本の国内市場は、不十分な取引規制と取り締まりによって、違法輸出の温床となっていることが示されました。2011年から2016年にかけて、日本から違法に輸出された象牙の海外での押収量は2.42トンにも上ります。このうち95%は中国を仕向け地としたもので、密輸組織の関与も今や明らかです。2017年6月に、種の保存法が改正されましたが、ここに指摘された問題点を解決する仕組みを改正法は備えていません。

こうした結果をもとに、トラフィックとWWFジャパンは、日本の国内市場は、ワシントン条約で閉鎖が勧告*1される市場に該当するため、「厳格に管理された狭い例外*2を除き、国内取引を停止すべきである」と判断しています。1月には、政府に要望書を提出すべく準備を進めているところです。同時に、違法輸出と国内の違法取引・無規制に行われる取引については、政府は緊急の対策をもって阻止するべきです。とくに、匿名性が高く、取り締まりが困難なオンライン取引はただちに停止すべきと考えています。

国際的には、象牙の「国内市場閉鎖」の声が大きくなっています。日本政府はこれまで、日本の市場は厳格に管理され、密猟や違法取引につながるものではないとしてきましたが、今回の調査結果はこれを覆すものです。政府は、野生生物の違法取引撲滅のための実効性のある政策決定を行い、強いコミットメントを国際社会に示すべきです。

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