アジア太平洋地域における野生生物の取引と消費の停止の必要性に関する声明


アジア太平洋地域の各国WWF事務局は、2020年2月14日に、中国の全国人民代表大会の常務委員会が決定した、野生動物の食肉利用の禁止と、無規制な野生生物の取引を終わらせる措置を評価する。アジア太平洋地域の各WWF事務局は、東アジアおよび東南アジアの国々に、人々の生活と健康を守るため、この決定に倣った対応を取るよう求めている。

現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生と拡散、および近年のSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、その他同様のウイルスの発生は、野生動物の肉を食べる行為と、野生生物の取引が、人間の健康に脅威をもたらす実情を浮き彫りにした。しかし、現在のウイルスの流行が示しているように、一国の努力だけでは問題解決は難しいと言える。

WWFインターナショナルのアジア・太平洋地域のダイレクター、クリスティ・ウィリアムズは次のように述べている。
「東南アジア諸国は、中国の例に学び、現在、新型コロナウイルスが引き起こしているような、市民の健康への脅威や、経済への打撃を防ぐために、野生動物の食肉の売買を禁止しなければなりません」
「これは、野生動物の食肉の取引をそれぞれの国で停止することを意味します。中国が国内での象牙取引を禁止した時の事例でも見られたように、一国内のみでの規制では、執行力の弱い周辺諸国に取引市場が単に移転し、新たな取引のホットスポットを生み出すだけなのです」

アジア太平洋地域の各WWF事務局の事務局長らは、東アジアおよび東南アジアの各国政府に対し、今回中国が決定した対応に倣うよう求め、野生生物の消費と取引を恒久的に禁止することを求めている。すでに、新型コロナウイルスによって国内、地域、および国際的な規模で生じた被害額は数千億円に達しており、今後数年間は経済に影響を及ぼし続けることが懸念される。次の感染症流行が発生し、多くの人々が症状に苦しむ例や、死亡例が発生する前に、今すぐ行動を起こす必要がある。

東南アジアは以前から野生生物の供給地であり、中国に向かう野生生物やその製品の中継拠点となってきた。野生動物の食肉の消費は、中国と同様、この地域でもきわめて一般的なものであり、同時に、人間が抗体を持たない危険な病原体が動物から人に移る可能性をはらんでいる。
この人の健康と野生動物の消費と取引の問題に対応するため、WWFはこれらを管轄する各国の関連省庁に対し、市場での検疫の強化や、この問題に対する意識の向上、そして野生生物の食肉や製品の販売と消費の停止を求めている。

WWFジャパン事務局長であり、アジア太平洋地域のWWFのグループ「アジア太平洋成長戦略」を統括する筒井隆司は、次のように述べている。
「過去に発生した、野生生物市場に起因する感染症の流行に対しては、感染者の封じ込めが主な対応手段でした」
「その中で、問題の根本原因に対処する姿勢を見せた中国の決定、すなわち恒久的に野生動物の肉の市場を閉鎖し、食用利用を禁止したことは、これまでの対処の方向性を大きく転換するものです。アジア各国のすべての政府は、野生生物の保全だけでなく、人間の健康のためにも、こうした取り組みに即した対応を取っていく必要があります」

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