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ネイチャーポジティブに向けて生物多様性国家戦略と国内政策の強化を求めるWWFジャパン『政策ブリーフ』を公開

この記事のポイント
人間社会の基盤でもある地球の自然は、史上かつてない速さと規模で失われています。これに対し、国際社会は2030年までに「ネイチャーポジティブ」を目指す「昆明モントリオール生物多様性枠組」を掲げました。2026年10月に開催される生物多様性条約の第17回締約国会議(COP17)では、この国際目標の進捗をはかる「グローバルレビュー」が実施されます。それに向け、日本政府はこのレビューの基礎資料となる「国別報告書」を条約事務局に提出しました。WWFジャパンは、日本政府の国別報告書をふまえ、野心的な国際目標と現行の生物多様性国家戦略の間にあるギャップ、改善点や今後強化すべき点について、WWFジャパン『政策ブリーフ』として見解をまとめました。
目次

日本の生物多様性政策の強化を求める「政策ブリーフ」を公開

2022年、生物多様性条約の第15回締約国会議(COP15)で、生物多様性保全のための国際目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組(Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework:以下、KMGBF)」が合意されました。

KMGBFでは、2030年までに「自然の損失を止め、回復軌道に乗せること(ネイチャーポジティブ)」を国際目標に掲げています。

2030年までに締約国が達成すべきこととして、23のターゲットが掲げられています。出典: WWFジャパン「政策ブリーフ」
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2030年までに締約国が達成すべきこととして、23のターゲットが掲げられています。
出典: WWFジャパン「政策ブリーフ」

KMGBFの下では、国際目標の進捗を測るレビュー制度が設けられました。

2026年10月にアルメニアで開催予定のCOP17では、2030年までの中間評価にあたる「グローバルレビュー」が行なわれます。これに向けて、締約国は2026年2月末までに、NBSAPの実施状況をまとめた「国別報告書」を条約事務局に提出することとなっています。

 COP17で実施されるグローバルレビューに向けて、日本政府は2月末に、条約事務局に国別報告書を提出します。出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」
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COP17で実施されるグローバルレビューに向けて、日本政府は2月末に、条約事務局に国別報告書を提出します。
出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」

世界、そして日本において、自然と生物多様性の損失に歯止めがかからない中、COP17で実施されるグローバルレビューは、ネイチャーポジティブの達成に向けて各国が取組を加速させるための、重要な機会となります。

2026年2月、日本政府が提出する「国別報告書」をふまえ、 KMGBFの野心的な国際目標と現行の生物多様性国家戦略の間にあるギャップ、改善点や今後強化すべき点について、国際環境NGOとしての視点から整理た、ブリーフィングペーパーを公開しました。

▼ダウンロード「WWF政策ブリーフ」
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20260226biodiv00.pdf

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野心的な目標達成に向けて求められる政策強化

2025年10月に発表された環境省「生物多様性及び生態系サービスに関する総合評価2028(JBO4)中間提言」では、日本の生物多様性は、50年にわたり損失が継続していること、里地里山や沿岸域含む多くの生態系の劣化が続き、人為的に改変されていない植生は国土の20%に過ぎないことが示されました。

こうした生物多様性の損失は、世界規模の問題です。1970年を基準に自然と生物多様性の健全性を測る「生きている地球指数(LPI)」は、過去50年間で平均73%減少しており、これは自然環境の劣化や生物多様性の喪失に歯止めがかかっていない現実を示しています。

『生きている地球レポート2024』発表 自然と生物多様性の豊かさが過去50年間で73%減少 - 地球は危険な転換点に直面、2030年までの取り組みが鍵 - |WWFジャパン

世界の自然の劣化に、日本も無関係ではありません。日本は資源や食料の多くを海外に依存しており、その調達や消費を通じて世界の森林減少や海洋生態系の劣化にも影響を与えています。すなわち、日本の消費や企業活動と、世界の自然の損失は、サプライチェーンを通じて密接に結びついているのです。

しかし、現行の生物多様性国家戦略(NBSAP)は、主として国内の自然環境の保全・回復に焦点を当てており、日本の消費・調達・投資が海外の自然に与える影響については、十分に位置付けられているとは言えません。

また、政策対応も依然として分野別・縦割り型の構造が強く、生物多様性、気候、農林水産業、エネルギー、地域政策といった相互に関連する課題を統合的に扱う枠組みには至っていません。国際目標との整合性も大きな課題です

このままでは、2030年に向けたネイチャーポジティブ実現は極めて困難と言わざるを得ません。

本質的な問題の解決には、生物多様性、気候、農林水産業、さらには地方創生を結び付け、分野横断的な政策によって社会変革に大きく舵を切る必要があります。

KMGBFの23のターゲットと日本のNBSAPが掲げる国別目標の関連度(高・中・低)を色別で示したもの。現状、グローバルターゲットとの整合性が「高」であるのはわずか10件。残りは「中」(81件)および「低」(17件)、「N/A」(1件)となっている。出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」
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KMGBFの23のターゲットと日本のNBSAPが掲げる国別目標の関連度(高・中・低)を色別で示したもの。現状、グローバルターゲットとの整合性が「高」であるのはわずか10件。残りは「中」(81件)および「低」(17件)、「N/A」(1件)となっている。
出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」

また、ネイチャーポジティブ実現に向けた政策の役割として欠かせないものの一つに、ファイナンスを含む社会全体の行動変容を促す制度設計が挙げられます。とりわけ、資金の流れを自然保全・再生へと転換する仕組みづくりは、社会変革を加速させる鍵となります。

国連環境計画(UNEP)によると、自然に有害な資金の流れは、民間と公的資金の総額で年間7.3兆米ドルにのぼるとされ、これは、自然に根差した解決策(NbS)への投資額の30倍に上ります。<br>出典:UNEP “State of Finance for Nature 2026”を元にWWFジャパンにて作成<br>
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国連環境計画(UNEP)によると、自然に有害な資金の流れは、民間と公的資金の総額で年間7.3兆米ドルにのぼるとされ、これは、自然に根差した解決策(NbS)への投資額の30倍に上ります。
出典:UNEP “State of Finance for Nature 2026”を元にWWFジャパンにて作成

こうしたシステムを転換に導くには、政策の役割が欠かせません。政府内・政府間のあらゆるレベル、あらゆるセクターにおいて生物多様性を主流化することが不可欠です。

KMGBFでは、こうした社会変革に向けた実施手段についても、ターゲットに据えています(ターゲット14「生物多様性の主流化」、ターゲット18「有害補助金の見直し・特定」、ターゲット19「資金の動員」など)。

さらに、地球環境は相互につながり、経済活動もまた国境を越えて相互依存しています。生物多様性の保全は一国のみの努力で完結するものではなく、ネイチャーポジティブ達成には、各国の野心的な取組が不可欠です。

こうした前提を踏まえ、本政策ブリーフではKMGBFの野心的な目標達成という観点から、日本のNBSAPを中心とする現行政策において、より高い目標に向けた見直しと抜本的改善が必要な主要分野を整理しました。



特にこれらの分野における政策の抜本的強化が求められます。

  1. 日本が海外に与えるフットプリント(環境にもたらしている負荷)削減に向けた政策の導入
  2. 気候変動対策と生物多様性保全の統合とトレードオフの最小化
  3. 農林水産業をネイチャーポジティブに転換する
  4. 30by30の質を高め、自然再生・地域の課題解決を目指す地方政策の推進
  5. 野生生物と共生する社会の実現
それぞれの項目について、以下解説します。

1.日本が海外に与えるフットプリント削減に向けた政策の導入

出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」

出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」

日本はGDP世界上位の主要経済国であると同時に、資源や食料の多くを海外に依存する輸入大国でもあります。牛肉や鶏肉、エビ、オレンジ、バナナなどの食品に加え、鉄鉱石、アルミニウム、木材、化学原料といった資源も、私たちの暮らしを支える重要な輸入品です。

こうした海外からの調達を通じて、日本の消費や企業活動は、天然資源の消費や生産に伴う土地利用の変化、水資源の利用、化学物質による汚染などを通じて、海外の自然に影響を及ぼしています。

これらは、ターゲット16「持続可能な消費」やターゲット15「ビジネスの影響評価・開示」に関係します。日本が国内だけでなく、海外の自然に与える影響に対しても明確な目標を設定して、削減に取り組むべき重要な分野です。

とりわけ、生物多様性保全と気候変動対策の双方の観点から、「食料システムの変革」と「森林破壊・土地転換の阻止」は喫緊の課題です。

スラトラ島リアウ州。アブラヤシ(パーム油)農園のために切り開かれた熱帯雨林。こうした森林破壊は、国際的なサプライチェーンを通じて日本の消費とも無関係ではありません。
© WWF- Japan

スラトラ島リアウ州。アブラヤシ(パーム油)農園のために切り開かれた熱帯雨林。こうした森林破壊は、国際的なサプライチェーンを通じて日本の消費とも無関係ではありません。

経済主要国が資源国この自然に与える影響、そしてその結果として生じる環境破壊に対する責任は、欧州を中心にサプライチェーン全体を対象とした規制やデューデリジェンス制度の導入が進むなど、国際社会において明確に意識されるようになってきています。

一方で、日本では、サプライチェーン全体を対象とした法的枠組みについて、具体的な制度化の議論が行なわれていないのが現状です。

TNFDに基づく情報開示や、トレーサビリティの確保、調達方針の策定など、企業による自主的な取り組みは広がりを見せていますが、それだけで経済全体の構造転換を促すには限界があります。

行政による企業の自主的取り組み支援施策も重要ではある一方、政府には、政策を通じて経済の将来的な方向性を明確に示し、企業や市場の行動変容を後押しする制度的枠組みを構築することが求められます。

野生のオラウータンは、東南アジアのスマトラ島とボルネオ島の熱帯雨林にのみ生息しています。しかし、熱帯雨林が、アブラヤシや天然ゴムの農園に転換されることによって、生息地や食物を失い、絶滅の危機に瀕しています。
© naturepl.com /Anup Shah / WWF

野生のオラウータンは、東南アジアのスマトラ島とボルネオ島の熱帯雨林にのみ生息しています。しかし、熱帯雨林が、アブラヤシや天然ゴムの農園に転換されることによって、生息地や食物を失い、絶滅の危機に瀕しています。

2.気候変動対策と生物多様性保全の統合とトレードオフの最小化

出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」

気候変動と生物多様性の損失は、相互に深く結びついた課題です。気候変動による異常気象の頻発、平均気温の上昇、大気中の二酸化炭素濃度の増加に伴う海洋酸性化などは、生態系に深刻な影響を及ぼしていることが観測されています。

ターゲット8「気候変動対策」では、気候変動による生物多様性への負の影響を最小化するとともに、気候変動対策と生物多様性保全を統合することを掲げています。

この達成には、両分野における国レベルの政策目標間、すなわちパリ協定における国別削減目標(NDC)とNBSAPの整合性の確保がまず重要です。生物多様性の保全には、1.5度目標の同時実現が必要であり、エネルギーシステムと食料システムの変革が不可欠です。

さらに、生態系の保全と気候変動対策の相乗効果の高い取組を優先する必要があります。

例えば、森林やマングローブといった生態系の保全は生物多様性を守るだけでなく、高い炭素貯蔵機能を通じて気候変動対策にも寄与します。さらに、水源涵養や水質浄化、土砂災害・水害対策、水産・林産資源の維持など地域の生計の確保にも貢献します。気候変動対策においては、こうした自然に根差した解決策(NbS:Nature-based solutions)的な取組も欠かせません。

一方で、近年は両者に相乗効果があるとは限らず、トレードオフが顕在化する事例も見られます。パリ協定の「1.5度」目標達成を目指す中で、一部の不適切な再生可能エネルギー設備開発が生態系に負の影響を及ぼしているのも、トレードオフの一例です。このほか、バイオマス発電の燃料需要による森林破壊や、農業分野の脱炭素施策が水田の淡水生態系に悪影響を与えるなどの問題があります。

マングローブは高い炭素吸収・貯蔵能力を有しており、単位面積当たりの炭素貯蔵量は多くの陸上熱帯林を上回るとされています。そのため、マングローブが破壊されると、土壌に蓄積された炭素が放出され、大量の二酸化炭素が大気中に排出されます。
© WWF - Pacific / Tom Vierus

マングローブは高い炭素吸収・貯蔵能力を有しており、単位面積当たりの炭素貯蔵量は多くの陸上熱帯林を上回るとされています。そのため、マングローブが破壊されると、土壌に蓄積された炭素が放出され、大量の二酸化炭素が大気中に排出されます。

3.農林水産業をネイチャーポジティブに転換する

出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」

高齢化による担い手不足や、収益性の低迷など、構造的課題が蓄積している日本の農林水産業では、持続可能な産業への転換が問われています。その中には、生物多様性の視点が十分に組み込まれていないという政策的課題も存在します。

農業分野では、「みどりの食料システム戦略」に基づき、化学農薬や肥料の削減が進められている一方で、水田圃場整備や大規模化、乾田直播等の食料安全保障対策や、水田の中干延長などの気候変動対策が拡大することにより、これまで水田や水路に依存してきた日本の淡水生態系に深刻な影響が及ぶことが懸念されています。

また、林業では放置山林の課題があります。森林は、水源涵養、土砂災害の防止、生物多様性の保全など多面的機能を有しています。しかし、管理が行き届かず、長期的に人の手が入らない放置山林が増加することで、こうした多面的機能が低下し健全な森林が失われています。

水産業についても、資源管理の強化や、IUU漁業への対応、ゴーストギアやマイクロプラスチックによる海洋汚染など、解決すべき課題は多岐に渡ります。

人口減少などの構造的な課題に向き合いながら、生物多様性によって支えられる持続可能な農林水産業(ターゲット10)を実現するためには、農林水産分野の関連政策への生物多様性の主流化と、生物多様性・生態系の保全と回復に関する適切な目標・指標の導入が不可欠です。
さらに、持続可能な消費(ターゲット16)、有害な補助金の見直し(ターゲット18)と接続した政策の推進が急務です。

左が放置林、右が人の手の入った森。持続的な農林水産業は、生態系の健全性と結びついています。例えば、「森は海の恋人」という言葉が示すように、森林の保水機能や腐植土層から供給される栄養素は、河川を通じて海に運ばれ、豊かな水産資源を育みます。自然の保全は、持続可能な経済活動そのものの前提になっているのです。
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左が放置林、右が人の手の入った森。持続的な農林水産業は、生態系の健全性と結びついています。例えば、「森は海の恋人」という言葉が示すように、森林の保水機能や腐植土層から供給される栄養素は、河川を通じて海に運ばれ、豊かな水産資源を育みます。自然の保全は、持続可能な経済活動そのものの前提になっているのです。

4.30by30の質を高め、自然再生・地域の課題解決を目指す地方政策の推進

出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」

ターゲット3では、世界的に生態系の劣化が継続する中、生物多様性を回復軌道に乗せるために、2030年までに陸域と海域を少なくとも30%保全する「30by30」目標を掲げています。

日本では、この30by30がGBF実施の主要な政策の柱となっており、2022年に30by30アライアンスが設立され、2023年からは民間所有地における生物多様性の保全を「自然共生サイト」として国が認定し、将来的にOECM(※)としての国際登録を目指す制度が開始されました。

本制度を通じて、生物多様性上重要な民有地について、民間が主導で保全・回復・創出の取組みを推進する枠組みが整備された点は評価できます。

一方で、単に面積の拡大や、申請ベースの個別の取り組みの累積だけでは、日本国内の生物多様性の劣化に歯止めをかけることはできません。

日本においては、生物多様性上の重要な地域の損失を2030年までにゼロにするための包括的な目標であるターゲット1「空間計画の策定と効果的な管理」を傘に、30by30に加えて、2030年までに劣化した生態系の30%を回復軌道に乗せるターゲット2「生態系の回復」に総合的に取り組む横断的な政策が必要です。

これらの実践にあたっては、生物多様性上の重要な地域の可視化にはじまり、土地利用を総合的に捉えるランドスケープアプローチの視点が欠かせません。その実現には、地方自治体が主体となり、動植物の生息地保全や、持続的な農林水産業、野生生物との軋轢低減、防災減災など、一つのランドスケープに存在する様々な課題や、ステークホルダーが抱えるそれぞれの利益を可視化し、対話と協働を通じて調整してくことが重要です。

※OECM(Other Effective area-based Conservation Measures):保護地域以外で生物多様性保全に資する地域


● 30by30の達成状況
30by30が掲げる30%の面積の保全は、「保護区」に加え、「OECM」の設定を通じて達成されます。日本では、2025年8月時点、陸域21.0%と、海域13.3%が保護区またはOECMとして位置づけられています。


保護区とOECMのネットワーク拡大に向けては、優先地域や連結性、管理の継続性を含む質の確保、そして地域への資金・人的資源の還流が重要です。

「30by30」 の達成に向けて、陸域でさらに9%、海域で16.7%の保護区・OECMの拡充が必要です。出典: WWFジャパン「政策ブリーフ」<br>
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「30by30」 の達成に向けて、陸域でさらに9%、海域で16.7%の保護区・OECMの拡充が必要です。
出典: WWFジャパン「政策ブリーフ」

● 自然共生サイトの普及状況
「自然共生サイト」を通じたOECM登録面積は、陸域保全率21.0%のうち1%にも満たない水準にとどまっており、申請件数に減少傾向があること、および登録面積の拡大が課題となっています。また、現時点では、企業が主な申請者で、地方自治体や地域主体の参画は限定的です。
30by30の質と量の両面を高めるためには、OECMの国際基準との整合性の整理や、自治体をはじめとする多様な主体の参画を促す政策的後押しが求められます。

自然共生サイトの登録主体ごとの内訳および時期別登録件数(2025年までの登録について環境省公開データをもとにWWFジャパン作成)出典: WWFジャパン「政策ブリーフ」
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自然共生サイトの登録主体ごとの内訳および時期別登録件数(2025年までの登録について環境省公開データをもとにWWFジャパン作成)
出典: WWFジャパン「政策ブリーフ」

5.野生生物と共生する社会の実現

出典:WWFジャパン「政策ブリーフ」

日本列島は固有種の比率が高く、水田・水路、里地里山などの二次的自然や、渡り鳥、海洋生物の重要な繁殖地・中継地など、世界的にも重要な自然生態系を有しています。

しかし、日本の自然は50年にわたり損失が継続していると示されているように(JBO4中間提言)、土地転換や耕作放棄による里地里山の劣化は、スズメなどの身近の生物の減少や、人と鳥獣の軋轢を増加させています。
さらに、日本固有の希少な爬虫類や両生類などの違法な持ち出し(ターゲット5「生物の利用、採取取引の適正化」)や、外来種の拡大も重要な課題です(ターゲット6「侵略的外来種対策」)。

そして、3,500種を超える日本の絶滅危惧種の最大の脅威は、「開発」です。これについては、こうした生物が生息する重要な里地・里山や、重要湿地に対して、自然生態系を考慮しない一方的な開発が行われないように、適切に開発規制を設定していくこと、また、流域単位での治水・健全な水循環を含む、自然に根差した土地利用の取り組み(ターゲット11「自然の恵みの回復、維持、及び増大」)を地域で拡大していくことが、取り返しのつかない絶滅を回避する上で欠かせません。

ラムサール条約に登録されている石垣島名蔵アンパル。南西諸島では世界自然遺産指定区域の緩衝地帯・周辺の地域や島嶼部において貴重な生態系が開発の脅威にさらされている。
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ラムサール条約に登録されている石垣島名蔵アンパル。南西諸島では世界自然遺産指定区域の緩衝地帯・周辺の地域や島嶼部において貴重な生態系が開発の脅威にさらされている。

2030年まで残すところ4年

生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せるためには、国際目標との整合性を確保した国内政策の強化が不可欠です。2030年まで残り4年となった今、行動の加速が強く求められています。 2026年10月に予定されているCOP17において実地されるKMGBFの進捗評価「グローバルレビュー」に向けて、各国で生物多様性の保全の機運を高めることが重要です。

WWFジャパンは、引き続き、NBSAPを含む日本の政策を国際目標の野心に向けて高め、効果的な実施を後押しするために、政策提言と対話を継続していきます。

▼ダウンロードはこちら
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20260226biodiv00.pdf

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