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バイオマス発電の仕組みとは?燃料の種類とメリット・デメリット

この記事のポイント
世界の国々が温室効果ガスを排出ゼロにする「脱炭素化社会」を目指す中、日本でも再生可能エネルギーに注目が集まっています。しかし太陽光発電や風力発電といった他の再生可能エネルギーとは違い、バイオマスを使った発電には燃料が必要なため、これまで大量のパーム油や木質ペレットなどが燃やされてきました。燃料によっては、化石燃料よりも温室効果ガスの排出量が増える可能性もあるバイオマス発電が、本当に持続可能な再生可能エネルギーなのかどうか、今一度、慎重な検討が求められています。
目次

日本のエネルギー事情

もともとエネルギー資源に乏しい日本は、石油や石炭などの化石燃料を海外から輸入して燃やす火力発電に、国内の主力電源を頼ってきました。特に2011年の東日本大震災後は、原子力発電に代わり、火力発電が急増。国内のエネルギー自給率は2018年時点で11.8%と他の欧米先進諸国と比べても低く、化石燃料への依存率はトップクラスです。

しかし2015年、日本を含む世界200か国は「パリ協定」にて、地球の平均気温の上昇を、産業革命前に比べ2度までに抑える目標(なるべく1.5度を目指す)に合意しました。そこで、今後のエネルギー利用は、環境や社会に配慮し、温室効果ガスの排出量をゼロにする「脱炭素化」を目指した発電方法に切り替えていくべき、という考え方が広がっています。世界でも、化石燃料に依存する発電方法を見直しながら再生可能エネルギーへ転換する国々が増えてきました。

こうした中で日本政府は、再生可能エネルギーの導入を推進する「固定価格買取制度(FIT法)」という法律を2012年に策定し、運用を開始しています。これは再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。

これにより、再生可能エネルギーの導入量は急増。2018年には、日本国内の電力構成は、火力約77%、再生可能エネルギー(水力除く)約9%、水力約8%、原子力約6%となっていますが、2012年からの6年間で再生可能エネルギーによる電力供給量は2倍近くに増えました。さらに2020年7月には、2030年までに既存の非効率な石炭火力発電所を大幅に廃止することが発表されたため、今後も再生可能エネルギーの更なる導入が期待されています。

再生可能エネルギーとは?

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再生可能エネルギーには、太陽光・風力・地熱・中小水力といった種類があり、一般的には温室効果ガスを排出せず、自然の力を利用して発電するシステムだと言われています。

バイオマス発電とは?

バイオマス発電も再生可能エネルギーの1つです。動植物などから生まれた生物資源である「バイオマス」を燃料として燃やしたり、ガス化させることで発電する仕組みです。

バイオマス発電と、その他の再生可能エネルギーとの大きな違いは「燃料の必要性」です。バイオマス発電は太陽光や風力とは違い、エネルギーを作り出すために燃料を供給し続ける必要があります。

そこで現在、欧米などで問題となっているのが、その燃料が生産・加工される過程での温室効果ガスの排出です。特に生産過程では時に森林破壊や森林・泥炭火災が引き起こされている可能性がある上、燃料の加工や輸送、さらには燃焼時にも温室効果ガスが発生するため、結果として火力発電の温室効果ガス排出量を上回る可能性が生じてしまうのです。

発電方法の比較図
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発電方法の比較図

もともと温暖化対策のために、再生可能エネルギーを導入しているのに、温室効果ガスの排出量が増えてしまっては、本末転倒です。「パリ協定」で目指す1.5度目標を達成するためには、それぞれの発電方法の持続可能性を、慎重に考える必要があります。

グリーン・リカバリーの必要性

「グリーン・リカバリー(緑の回復)」という言葉をご存知でしょうか。これは、「環境により良い社会に回復していく」という考え方です。新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界各国の経済が大きな影響を受ける中、2020年の年間二酸化炭素排出量は、2019年と比べると8%程度減ることが予測されています。これは、温暖化対策の観点からすれば、一見不幸中の幸いのように見えますが、同じ予測の中では別の警鐘が鳴らされています。このまま単に経済が回復するだけでは、二酸化炭素排出量も元に戻り、場合によっては増えてしまうかもしれない懸念があるためです。今後は単に経済回復をするだけではなく、回復する「先」を見据えた「グリーン・リカバリー」が求められています。2020年を大きな転換点として、日本でも環境により良い社会に向けた回復を目指したエネルギーの選択をすべき、とWWFは考えています。

WWFジャパンの活動

温室効果ガス排出量削減に向けて、再生可能エネルギーの拡大は重要です。しかし、バイオマス発電の場合は、利用する燃料が化石燃料と比べて大幅な温室効果ガスの削減に繋がっているか、という点を確認することが欠かせません。こうした燃料が、可能な限り食料および非燃料との競合を避けていることや、既存用途の利用を優先することも求められています。それにも関わらず国内では「バイオマス発電なら、環境にいいだろう」という根拠の無い考えから、発電所の造設や運用が新たに拡大してきました。WWFジャパンは強い懸念を持ちながら、持続可能なバイオマスの利用を普及すべく、下記のような活動をしています。

例えば木材であれば、まずは家具や建材など燃料以外の既存用途を優先し、他に利用価値がなくなった木材を燃料として利用することが理想的です。
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例えば木材であれば、まずは家具や建材など燃料以外の既存用途を優先し、他に利用価値がなくなった木材を燃料として利用することが理想的です。

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