2020年に向けた持続可能な調達コード

この記事のポイント
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献を掲げています。大会で使うエネルギーの脱炭素化や、木材・紙・パーム油・水産物などの調達方針(調達コード)を、環境に配慮したものとして策定する試みが進められてきました。この調達方針は、このオリンピックのみならず、今後のさまざまな国際イベントの場でも、環境配慮の際の一つの目安として、レガシーとして活用されることが見込まれます。これまで議論され、策定に至った方針には、ゼロカーボンを目標とする脱炭素の運営計画など、先進的な取り組みもありますが、環境配慮の視点から見ると、不十分な要素が残されているものもあります。そこでWWFジャパンでは、分野ごとに本来あるべき調達コードを提案しています。

スポーツ大会と持続可能性

© James Morgan / WW

2020年に開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に貢献することを掲げています。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会において、2016年から政府や東京都、経済団体、市民社会などの多様なステークホルダーが参画して、東京大会の持続可能性のあり方について検討されてきました。

気候変動、資源管理、大気・水・緑・生物多様性等、人権・労働・公正な事業慣行等、参加・協働、情報発信(エンゲージメント)の5つの主要テーマと目標が掲げられ、「持続可能性に配慮した運営計画第二版」が公表されています。さらにその具体的な方策として、木材、紙、パーム油、水産物、農産物など調達される物品に対する「持続可能性に配慮した調達コード」が定められています。

  • さらに表示する

東京大会の持続可能な取り組みについて

© Wild Wonders of Europe / Zankl / WWF

2015年からスタートした「持続可能性」を大会運営に反映する検討は、環境、人権などの面から検討を進め、「持続可能に配慮した運営計画」「持続可能性に配慮した調達コード」を策定しています。

また、持続可能性に配慮した調達コードの不遵守に関する通報を受け付ける通報受付窓口も設置されています。

これらの運営計画及び調達コードは、パーム油など世界で初めて東京大会で策定された調達コードや、ゼロカーボンを目標とする脱炭素の運営計画など、先進的な取り組みもあります。一方で、現状の木材や紙、パーム油、特に水産の調達コードでは、持続可能性がきちんと担保されない点が多々あります。

オリンピックを契機に真に持続可能な取り組みが日本社会にレガシーとして根付くことを願って、WWFジャパンはそれぞれの産品ごとに本来あるべき調達コードを提案しています。

WWFジャパンの推奨する方針と調達コード

1.脱炭素型社会の実現

2020 年に開催される東京大会は、日本が誇る世界最高水準の省エネルギーと、福島第一原発事故を経た国の責任として、再生可能エネルギー中心の脱炭素エネルギーを活用した、低炭素、脱炭素型を実現した大会運営とするべきである。そして大会開催のための建築物の建設時にはもちろんのこと、オリンピックを契機に、日本全体に脱炭素型のライフスタイルを浸透させる必要がある。

  • 大会施設や会場に関する CO2 削減目標を現状の技術で可能な世界最高レベルで掲げること
  • 大会関連施設のみならず、新規に建設される宿泊ホテルや商業施設に対しても、世界最高レベルの省エネ基準と CO2 削減を求めること
  • 大会関連施設は、再生可能エネルギーを最大限活用できる仕組みとすること
  • 大会運営は、具体的な再生可能エネルギー導入目標(新規の再エネ施設を優先に少なくとも電力使用量の実質20%以上)を掲げて、再生可能エネルギーを中心とする脱炭素エネルギーの選択を促し、大会後に再生可能エネルギー電源を優先的に選択するライフスタイルを普及させること
  • 公共交通機関の利便性をより高めること
  • 大会関連には電気自動車や燃料電池車を採用し、その普及が進むインフラが整備されること

具体的なガイドラインの例:省エネルギー・低炭素化関連

組織委員会と東京都・国が連携して、大会関連施設、および商業施設に対し、建設資材の調達時から、建設過程、施設の運営時まで、世界最高水準の省エネと CO2 削減を求めていく。具体的には、東京都環境基本計画で定められている2020年目標(温室効果ガスを2000年比で25%削減)、および東京都環境基本計画2016で新たに定められた2030年目標(温室効果ガスを2000年比で30%削減、エネルギー消費量を2000年比で38%削減)を先取りする形で実現していくような取組みを求めていく。建材の調達時には、低炭素素材(リサイクル鉄の活用など)を優先し、低炭素化を進めること。また、オリンピックに際して建設される建築物については、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)において星5つに相当する省エネ性能を原則とする(既存建築物の場合はBELS星3以上相当)。さらに、施設の運営にあたっては、東京都排出量取引制度におけるトップレベル事業所相当の取組みを求めていく。これらの取組みについては、大会前後に留まることなく、大会のレガシーも見据えたものとならねばならない。なお、都外の会場についても、原則として同じ基準を適用するものとする。

具体的なガイドラインの例:再生可能エネルギー関連

© Global Warming Images / WWF

東京都は、都内の消費電力に占める再生可能エネルギーの割合を、2024年には20%程度に高めること(kWhベース)を目標としているため、組織委員会・東京都・国の大会関連施設すべてのエネルギー調達の際には少なくともその実現を図る取り組みを求める。さらに大会運営中は、東京都環境基本計画2016で決まった2030年目標(再エネによる電力利用割合30%程度)を先取りする形で、20%を超える割合で再エネを活用すること。オリンピックが再エネ電力を率先して開催エリア内外から調達する方針とすることによって、再エネ電力の活用の活性化をはかる。その際には再エネ設備容量の新設を奨励するために、新規再エネ設備を優先することとする。東京が率先して、日本の再エネ電力利用を拡大していく一助となること。福島発の再エネを世界にアピールする契機ともなる。再エネの積極的な調達を目指す他の自治体や企業への波及効果も期待される。なお、都外の会場についても、原則として同じ基準を適用するものとする。

具体的なガイドラインの例:低炭素交通関連

オリンピック関連車両は、電気自動車や燃料電池車などとし、水素スタンドなどの関連施設を、関係省庁と協同して整備していく。その際の電力は再エネの最大限の活用が前提であるが、水素についても、2020年には原則として再エネ由来のものを使うこととし、関係省庁と共同して、企業の技術開発とインフラ整備を促す。

2.木材調達コード

適切に利用すれば木材は再生可能な資源であり、積極的に利用することが望まれるが、木材生産の現場では違法伐採や、合法であっても環境面・社会面で持続可能ではない伐採が行われている場合がある。森林減少・劣化を引き起こさず、生物多様性や地域社会に配慮した木材を選んで調達することが消費国に求められている。なお、木材調達にあたっては、一般に以下のようなリスクが想定される。

  • 「合法性」の範囲を狭く定義することにより、一部の法律の適合のみをもって「合法」としてしまい、確認範囲外になった法律の順守について確認がなされない
  • 「合法性」のみの確認に留まり、伐採による生物多様性や地域社会への悪影響のないことが確認できていない、あるいは悪影響が実際に発生している。特に自然林の植林地や多用途への転換に関連して指摘を受ける
  • サプライヤーの自己宣言等に基づく合法性証明が、十分に違法伐採リスクを緩和できていない
  • 自然林を転換して開発された植林木に対して与えられた森林認証材について、生物多様性等への配慮がされていないと指摘を受ける
  • 「森林認証(CoC認証)」を取得しているサプライヤーであることの確認にとどまり、購入している木材製品そのものが「森林認証製品」かどうかの確認が行われない
  • 各種の証明書等が、分別管理の不徹底などにより、実際に調達した木材に紐づいていない
  • 環境面・社会面で問題が報告される事業者が、外部からの購入など一部適正に調達した原料による製品のみを選んで納入したため、購入者の調達方針には合致したものの、そのような事業者と取引すること自体を疑問視される
  • オリンピック・パラリンピック大会に特有のリスクとして、森林資源の持続可能性に関心のある国際的な利害関係者が、調達した木材の追跡調査等を行った結果、調達コードへの不適合を指摘されるようなケースも想定されうる

オリンピック・パラリンピック大会がグローバルなイベントであることに鑑み、上記のようなリスクを十分に管理しつつ適切に生産された木材を積極的に利用することが求められる。そのため、合法性の基準はEU等の最も厳しい水準と同等に設定し、最低限以下の事項を確認すべきである。

【木材に関し推奨する具体的な調達コード】

■確認事項

  • 必要十分な合法性の確認および違法伐採の疑いが排除できない木材の調達見合わせ
  • 原料調達における保護価値の高い地域(泥炭地含む)の保全、非持続可能な植林地等への転換がないこと
  • 社会面(伐採地周辺の地域住民および先住民族、林業労働者の権利等)での配慮

■推奨する確認方法

  • 調達コードへの合致を確認する手段として、CoC認証が正しく繋がったFSC認証材または市中回収された原材料のみで生産された再生木材製品を調達する
  • FSC認証材が入手できない場合には、調達コードに対する適合について、Due Diligenceを実施する他、調達コードへの不適合のリスクが高い地域や樹種について現地確認などの追加的なリスク低減策を実施する。この際のDue Diligenceやリスク低減策については、既に責任ある木材調達方針を有して運用しているサプライヤー、専門家、木材生産地の事情に詳しいNGO等に相談することも有用である
  • 各種の第三者監査・認証、業界団体による証明や木材サプライヤーの自己宣言等については、確認事項への合致を担保するものかどうか、保証の範囲・程度を判断することが求められる。確認事項への適合を部分的にしか担保できない場合には、追加的な確認をすること

なお、東京2020大会に関わる全ての調達を行う組織およびその納入者に、調達コード適合に関する実績の集計およびその情報の透明性確保を求める。

3.紙製品調達コード

紙の原料となる木材は、適切に利用されれば再生可能な資源であるが、世界の森林では、違法伐採ないし、合法であっても環境・社会面での配慮が十分ではない非持続可能な原料調達が報告されている。とりわけ、製紙原料調達においては、保護すべき価値の高い地域を転換して開発された産業用植林地からの調達に関して、自然林破壊、生物多様性の損失、社会紛争等の問題が指摘されている。購入者の認識の有無に関わらず、問題が指摘される紙製品を調達し、問題へ加担することは、国際的な非難の対象となりかねないことから、生産者だけではなく紙製品に関わるサプライチェーン全体で責任ある調達を徹底することが消費国に求められている。なお、紙製品の調達にあたっては、一般に以下のようなリスクが想定される。

  • 原材料が「植林木であること」の確認に留まり、保護すべき価値の高い自然林から植林地への転換にともなう生物多様性保全や地域社会への悪影響が確認できていない。
  • 事業者自身による主観的な調達方針や宣言等が、十分に環境面・社会面のリスクを緩和できていない。
  • 保護すべき価値の高い自然林を転換して開発された植林地に対して与えられた森林認証材について、自然林破壊、生物多様性の損失、社会紛争等への配慮がされていないと指摘を受ける。
  • 「森林認証(CoC認証)」を取得しているサプライヤーであることの確認にとどまり、購入している製品そのものが「森林認証製品」であるかどうかの確認が行われない。
  • 環境面・社会面で問題が報告される事業者が、外部からの購入など一部適正に調達した原料による製品のみを選んで納入したため、購入者の調達方針には合致したものの、そのようなサプライヤーと取引すること自体を疑問視される。
  • オリンピック・パラリンピック大会に特有のリスクとして、森林資源の持続可能性に関心のある国際的な利害関係者が、調達した紙製品の追跡調査等を行った結果、調達コードへの不適合を指摘されるようなケースも想定されうる。

オリンピック・パラリンピック大会がグローバルなイベントであることに鑑み、上記のようなリスクを十分に管理しつつ適切に生産された紙製品を積極的に利用するために、最低限以下の事項を確認すべきである。

【紙製品に関し推奨する具体的な調達コード】

■確認事項

  • 伐採や土地入手等における合法性
  • 原料調達における保護価値の高い地域(泥炭地含む)の保全、また保護価値の高い地域(泥炭地含む)を転換して開発された植林地からの調達でないこと
  • 先住民族・地域社会・労働者等に関わる深刻な社会紛争の有無

■推奨する確認方法

  • CoC認証が正しく繋がったFSC認証製品またはリサイクル原料を主原料として生産された再生紙であるかどうか。
  • 上記の調達が困難な場合には、確認事項に対する適合について、サプライヤーへのヒアリング、アンケートなどを行い追加的な確認をすること。
  • 各種の第三者監査・認証、サプライヤーの自己宣言等については、確認事項への合致を担保するものかどうか、保証の範囲・程度を判断することが求められる。確認事項を部分的にしか担保できない場合には、追加的な確認をすること。その際、生産地の事情に詳しい専門家やNGO等の発信する情報の確認や相談を行うこと。

なお、東京2020大会に関わる全ての調達を行う組織およびその納入者に、調達コード適合に関する実績の集計およびその情報の透明性確保を求める。

4.パーム油調達コード

パーム油は世界で最も利用されている植物油脂であり、食品・日用品問わず重要な原材料である。しかし世界の生産量の約9割を占めるインドネシアとマレーシアでは、保護価値の高い地域を破壊するような農園開発や、国立公園・保護区内での違法栽培、地域住民との土地紛争など様々な問題が指摘されている。こうした持続可能ではない方法で生産されたパーム油を排除することが世界的に求められている。また、認識の有無に関わらず、問題が指摘される可能性のあるパーム油を調達することは、国際的な非難の対象とされることから、生産者だけではなくパーム油に関わるサプライチェーン全体で責任ある調達を徹底することが消費国に求められている。なお、パーム油の調達にあたっては、一般に以下のようなリスクが想定される。

  • 何も確認せずにパーム油 /パーム油製品を購入したら、調達元の農園において強制労働や児童労働が行われていると指摘を受ける
  • 「RSPOに加盟している」もしくは「サプライチェーン認証を取得している」サプライヤーであることの確認にとどまり、購入している製品そのものが「RSPO認証製品」かどうかの確認が行われない
  • 事業者自身による主観的な調達方針や自主宣言等が、十分に環境面・社会面のリスクを緩和できていない
  • オリンピック・パラリンピック大会に特有のリスクとして、森林資源の持続可能性に関心のある国際的な利害関係者が、調達したパーム油/パーム油製品の追跡調査等を行った結果、調達コードへの不適合を指摘されるようなケースも想定されうる

オリンピック・パラリンピック大会がグローバルなイベントであることに鑑み、上記のようなリスクを十分に管理しつつ適切に生産されたパーム油を積極的に利用するために、最低限以下の事項を確認すべきである。

【パーム油に関し推奨する具体的な調達コード】

■確認事項

  • 新規農園開発、火の使用等における合法性の確認
  • 保護価値の高い地域(泥炭地含む)の保全、非持続可能な農園等への転換がないこと
  • 先住民族・地域社会・労働者等に関わる社会紛争の有無

■推奨する確認方法

  • サプライチェーン認証が正しく繋がったRSPO認証製品(MBもしくはSG/IP※)を調達すること
  • RSPO認証製品の調達が困難な場合には、調達をしている全ての農園(小規模農家を含む)までさかのぼりアンケートや現場調査により下記について確認すること
  • 確認の際には、農園開発に伴い泥炭地を含む保護価値の高い地域が保全されているか、火を使用していないか、開発の際に自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)が実施されていたか、強制・児童労働がないかといった点を特に重点的に確認する必要がある。確認の際には、専門家やNGO等への確認も有用である
  • また、確認のためには独立した第三者監査が必要不可欠であり、事業者の自己宣言だけでは確認事項を満たしているとは限らない。確認事項への適合を部分的にしか担保でき場合には、追加的な確認をすること

なお、東京2020大会に関わる全ての調達を行う組織およびその納入者に、調達コード適合に関する実績の集計およびその情報の透明性を求める。

※MB(マスバランス)、SG(セグリゲーション)およびIP(アイデンティティ・プリザーブド)はRSPOの認証モデルの種類。いずれも認証油のことを示す。

5.水産物調達コード

歴史的に人類は食糧を生産する目的で海洋を利用してきた。近年、世界的なたんぱく質供給源としての水産物の重要性は増しており、一人当たりの平均水産物消費量は1961年に9.0kgであったものが、2016年には20.3kgへと増加した。一方、世界的な過剰漁獲の影響からすでに33%の水産資源が枯渇状態にあることが指摘されている。加えて実効性ある資源管理の大きな障害となる「IUU (違法・無規制・無報告)」漁業由来の生産規模は、世界的に年間10億ドルから23億ドルとされており、適切な漁業管理体制を導入することで年間約50億ドルの増益が見込めるとする意見もある。
こうした背景から、持続可能な水産物調達の確保は、消費の現場から適切な資源管理の枠組み導入と遵守状況の向上を促進し、海洋生態系の保全だけではなく、世界的な食糧安全保障問題や沿岸地域の暮らしの改善にも貢献するものとして重要視されている。日本は世界でも有数の水産物消費国であることから、日本が持続可能な水産物消費社会の模範となり、持続可能な水産資源利用を牽引する役割を担うことが期待されている。
なお、水産物調達にあたっては、一般に以下のようなリスクが想定される。

  • 「合法性」のみの確認に留まり、生産活動による生物多様性や地域社会への悪影響のないことが確認できていない、あるいは悪影響が実際に発生している。(枯渇状態にある資源の取扱いや対象種以外を漁獲してしまう混獲、生産者を含む地域社会のステークホルダーへの人権や労働環境等への配慮が不十分であるとの指摘を受ける)
  • サプライヤーの自己宣言等に基づく合法性証明が、上記合法性のみの確認に留まることにより環境面、社会面へのリスク管理を担保できないことに加え、十分に水産資源枯渇のリスクを緩和できていない
  • 各種の書類等の分別管理の不徹底や、漁獲段階からの一貫したトレーサビリティの構築が不十分であることにより、調達された水産物の由来が把握できていない。
  • オリンピック・パラリンピック大会に特有のリスクとして、水産資源の持続可能性に関心のある国際的な利害関係者に、調達した水産物の追跡調査等を行った結果、調達コードに沿った調達実績が、実際には「持続可能な開発目標(SDGs)への貢献」を目指した本来の調達方針に適合してないと指摘されるケースも想定されうる。

オリンピック・パラリンピック大会がグローバルなイベントであることに鑑み、上記のようなリスクを十分に管理しつつ持続可能な方法で生産された水産物を積極的に利用することが求められる。そのため、合法性の基準はEU等の最も厳しい水準と同等に設定し、最低限以下の事項を確認すべきである。

【水産物に関し推奨する具体的な調達コード】

■確認事項

  • 漁獲対象や餌となる魚の資源状況
  • 混獲等、生産活動に起因する海洋環境への影響
  • 中長期的視野に立った、適切な資源管理体制および漁業管理体制の有無
  • 先住民族・地域社会に関わる社会紛争の有無や労働者の労働環境
  • 製品から漁獲・養殖した生産現場まで追跡可能なトレーサビリティの有無

■推奨する確認方法

  • IUU(違法・無規制・無報告)漁業由来の水産物の排除、保護価値の高い海洋の保全、労働環境など社会面での配慮にコミットする調達方針を策定し、適合する水産物の供給をサプライヤーに要求すること
  • 適切な記録等によって生産現場まで遡ることが可能な、透明性あるトレーサビリティを確立すること
  • 方針へ合致した調達の手段として、天然魚についてはMSC認証製品、また養殖魚についてはASC認証製品を、その加工・流通・販売時の管理に必要なCoC認証を取得した上で調達することが最も確実である。  MSC、ASC認証製品の調達が困難な場合は、科学的かつ客観的な指標を用いた方法で、①資源状況、②海洋環境影響、③管理システム(管理体制と管理制度)の3点に関するリスクアセスメントを行い、これらにつき客観的に進捗確認が可能な中長期的な漁業・養殖業の管理及び改善計画を、多様なステークホルダーと協働して実施している生産者からの調達を優先すること
  • 認証製品や中長期的管理・改善計画を行っている製品の調達が困難な場合は、事業にて調達する可能性のある水産物について、科学的かつ客観的な指標を用いた方法で、①資源状況、②海洋環境影響、③管理システム(管理体制と管理制度)の3点に関するリスクアセスメントを行い、その結果を参考としてリスクの低いものを取扱い、かつリスクの高い水産物の取扱いを避けること
  • 具体的方法の検討・導入については、国内外供給元、国内外有識者、NGO、民間企業などからなる多様なステークホルダーが参加可能な透明性のあるプロセスを確保すること

i. Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO), 2016
ii. WWF-ZSL, 2018, “Living Blue Planet report”
iii. D.J. Agnew, J. Pearce, G. Pramod, T. Peatman, R. Watson, J.R. Beddington and T.J. Pitcher. 2009. Estimating the worldwide extent of illegal fishing. PLoS ONE, 4(2): e4570
iv. The World Bank-FAO, 2008, The Sunken Billions: The Economic Justification for Fisheries reform,
v. FAO, 2016

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP