SDGs採択から10年~石垣島・与那国島セミナー開催報告(動画あり)
2026/06/23
- この記事のポイント
- SDGs(国連・持続可能な開発目標)が採択されて10年目となる2025年9月、WWFは世界的に貴重な生物多様性を有する沖縄県の石垣島と与那国島で、環境経済の専門家や島で活躍する方々と共に、島の未来を考えるセミナーを開催しました。各セミナーの内容について、動画を公開し、報告します。
SDGs採択から10年~残る課題と始まっている取り組み
国連の全加盟国の合意によりSDGsが採択された2015年9月25日から10年目の節目となった2025年9月、沖縄県八重山諸島の石垣島と与那国島で、WWFジャパンは「SDGsで島の未来を考える」セミナーを開催しました。
SDGsの頭文字Sustainable=「持続可能」という言葉が最初に公の場で使われたのは、1980年のWWF、IUCN(国際自然保護連合)、UNEP(国連環境計画)三者で共同発表した「世界環境保全戦略」といわれています。この「戦略」において、南西諸島は、日本で唯一「優先的に保全すべき地域」に選ばれました。
しかし、この世界有数の生物多様性を有する南西諸島でも、新たな開発等により、野生生物の貴重な生息地は今も減少し続けています。
今回のセミナーは、固有の豊かな自然を有し、開発と保全の両立が課題となっている石垣島と与那国島の各会場で開催されました。

沖縄県石垣島にある日本最南端のラムサール条約湿地「名蔵アンパル」。毎年多くの観光客や地元住民が訪れ、貴重な自然体験学習の場となっている。しかし、上流域(写真奥の山の斜面)における大規模ゴルフリゾート開発計画の影響が懸念されている。
京都大学 浅野耕太教授の基調講演では、開発事業の正当性の根拠としてしばしば使われる「経済効果」と自然の価値について、解説して頂きました。
「経済効果」は、日本では頻繁に報道され注目されますが、実は経済学の正式な用語ではなく、「経済効果」を事業や政策の評価に使うことの危うさについて、冒頭で述べられました。
大きな金額と共に喧伝される「経済効果」に対しては、開発がもたらす便益だけでなく開発により「失われる価値」が費用として加味されているか、謳われている金額が地域に新たに生み出される価値を本当に表しているか等、「経済効果」を参照する際の留意点が伝えられました。
石垣島や与那国島のように、固有性の高い自然や文化が継承されてきた地域においては、新たな開発に伴う費用(機会費用)が非常に大きくなる可能性があることに注意する必要があることも指摘されました。
その上で、自然の価値を活かして地域の経済振興を目指す「自然資本経営」の考え方とその可能性について、他の地域の成功事例を交えて、紹介されました。
併せてセミナーでは、各島で活躍されている住民・事業者・自治体・行政の方々や、島に縁の深い研究者やゲストの方々から、実践中のSDGsの取り組みや、多角的な視点からの島独自の価値と魅力について、それぞれ発表されました。

2024年に国の天然記念物および名勝に指定された与那国島のサンニヌ台。セミナー前には、登壇者・主催団体・住民が参加し、与那国島の価値について学ぶフィールド視察を実施した。与那国島の特有の景観と水環境を形作る地質について解説する、大坪誠博士(産業技術総合研究所・地質調査総合センター、写真奥から2人目)。
今回のセミナーを通じて、真に豊かな島の未来のために何が求められているのか、どうすれば島の価値を次世代へ引き継ぐことができるか、2030年のSDGs達成目標年に向けて、さらに議論や実践が進む契機になることを期待します。
【詳細】セミナー「SDGsで考える島の価値と未来」の内容
<石垣島の開催報告>
石垣島SDGsセミナー録画
日時 2025年09月25日(木) 19:00 ~ 21:00
場所 石垣市民会館・大ホール
プログラム(敬称略)
・はじめに「SDGsと今回のセミナー開催について」
小田倫子(WWFジャパン 野生生物グループ)
・基調講演「『経済効果』と自然の価値について」
浅野耕太(京都大学 人間・環境学研究科 教授)
・発表1「石垣島の自然の価値を活かした観光・地域振興」
下河原忠道(株式会社シルバーウッド代表取締役)
・発表2 「さんごにやさしい八重山ローカル認証 コラコラの取り組み」
花谷まゆ(コラコラ(coralcollabo))
・発表3「「JTBのサステナビリティにおける方向性とTNFDレポート開示」
細野泰教(株式会社JTB グループ本社サステナビリティチームマネジャー(2025年9月当時))
・発表4「みんなを守るよ!スーパーガヤくんPartⅢ~持続可能な蚊よけ生物資源を未来に繋ぐ!~」
沖縄県立八重山農林高等学校 金城達志 豊川ゆい 金嶺歩樹 西里笑海
・発表5「言葉が息づく島へ〜スマムニで紡ぐ文化と観光の未来〜」
沖縄県立八重山商工高等学校商業科 観光コース2年 新城恋音 池間愛来 上原えり 東長田千尋 東與那覇美葵 宮良美都子
主催 SDGsで考える石垣島の価値と未来セミナー実行委員会(委員長 島村賢正)
後援 石垣市教育委員会
協賛 WWFジャパン
参加者 約150名
石垣島の会場(石垣市民会館)にて、登壇者・開催実行委員会の皆さん。
<与那国島の開催報告>
与那国島SDGsセミナー録画
日時 2025年09月27日(土)18:00 ~ 20:00
場所 久部良多目的集会施設
プログラム(敬称略)
・はじめに「SDGsと今回のセミナー開催について」
小田倫子(WWFジャパン 野生生物グループ)
・基調講演「『経済効果』と自然の価値について」
浅野耕太(京都大学 人間・環境学研究科 教授)
・発表1「与那国島の自然の魅力と価値」
村松稔(与那国町・教育委員会)
・発表2「与那国島の地質学的な価値」
大坪誠(産業技術総合研究所・地質調査総合センター)
・発表3「与那国島の生物多様性と希少野生動植物種」
鈴木規慈(環境省石垣自然保護官事務所)
・発表4「与那国島の水田再生に向けて」
小嶺博泉(与那国町・農業委員会)
・発表5「与那国島の魅力と『Dr.コトー診療所』撮影エピソード」
中江功(フジテレビジョン・監督)
主催 与那国島の自然と共に生きる会 WWFジャパン
後援 与那国町 与那国町教育委員会
参加者 約70名
与那国島の会場(久部良多目的集会施設)



