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南アフリカのサイの密猟が大きく減少し、1000頭を下回る

この記事のポイント
南アフリカ共和国政府は2019年2月13日、2018年の一年間に、同国内で密猟被害にあったサイの頭数を公表しました。それによると769頭となり、2017年の1,028頭から大きく減少しました。1,000頭を下回ったのは2012年以来です。10年にわたる密猟対策の成果が徐々に見られるようになってきました。しかし、組織的密猟が始まった2008年より前には、犠牲となったサイは数頭から十数頭のレベルであったため、依然として高水準です。周辺国の状況も深刻で密猟対策の手をゆるめることはできません。

サイを絶滅の危機に追い込む密猟の問題

南アフリカ共和国はクロサイ、シロサイの主要な生息国として知られています。特に、クロサイは絶滅の危機にあり、手厚い保護策を必要としています。

それにも関わらず、南アフリカ共和国では深刻なサイの密猟が続いてきました。サイはその角(サイ角)が、アジアで伝統薬の原料として高値で売買されているためです。

このため、世界に生息する5種のサイは、いずれも深刻な密猟の危機に脅かされ続けてきました。

南アフリカ共和国では、2008年に83頭、2007年には13頭だったサイの密猟頭数が、2009年に突然、跳ね上がりました。その背景には、サイ角を狙う、組織的な密猟団が入り込んだことがあると見られています。

この密猟頭数は毎年、1月から2月にかけて同国政府から発表されてきましたが、2009年以降、その犠牲となったサイの数は急増を続け、2013年以降は毎年1,000頭を超える規模にまで、増大しました。

これは、合わせて2万頭が生息するとみられる南アフリカ共和国のシロサイとクロサイにとって、危機的な数字です。

4年続けて密猟が減少し、1,000頭未満に

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そうした中、南アフリカ共和国政府は2019年2月13日、2018年の一年間に、同国内で密猟被害にあったサイの頭数が769頭であったことを発表しました。

これは、2017年の1,028頭から約25%も、大きく減少した数字となります。

2015年以降は減少傾向にあったものの、1,000頭を下回るのは2012年以来となり、アフリカでサイの保護にあたるWWFのスタッフも喜ぶ結果となりました。

同国で特にサイの生息頭数が多く、密猟も多発していたクルーガー国立公園でも、2017年に504頭だった密猟頭数が、2018年には421頭に減少。

犠牲になったサイの半数がこの国立公園で殺されていることを考えると、この保護区で重点的に行なわれてきた保護活動は、一定の成果を収めてきたといえるでしょう。

©Department of Environmental Affairs, Republic of South Africa

また、こうした取り組みのほかにも、国内での犯罪行為の摘発や、裁判での有罪判決、法執行の強化などにも、力が入れられました。

WWFと野生生物の違法取引問題を扱うトラフィックも、10年以上にわたり、南アフリカ共和国政府と共に傾けてきた、こうした密猟撲滅に向けた努力が、今回の成果につながったと考えています。

©WWF / Green Renaissance

クロサイの移送作戦にあたる専門家(生息域を拡げる試み)

依然として残る密猟の脅威

しかし、WWFは今回の密猟頭数の減少を手放しで喜ぶことはできないと考えています。
減少したとはいえ、組織的密猟が始まった2008年より前と比較すれば、今も密猟されるサイの数が、非常に高水準であることに変わりはありません。

また、クルーガー国立公園では、サイ以外にも2018年には71頭のアフリカゾウが密猟の犠牲になりました。これは、前年の67頭からむしろ増加しています。

実際、夜間に暗視スコープを付けた高性能の銃器を使う密猟者の違法行為も確認されており、サイやゾウはもちろんのこと、密猟を取り締まるレンジャーの命も危険にさらされています。

また、摘発された密猟団の一味が、起訴に至らず保釈される例もまだ見られるため、根本的な解決までにはまだ多くの道のりが残されています。

さらに、より自体が深刻な南アフリカ共和国の周辺国から、密猟団が国境を越えて乗り込んでくる例もあるほか、地域の貧しい住民に金を渡して、動物を密猟をさせるケースもあります。

パトロールを強化する一方で、密猟されたサイの角や象牙を、アフリカ南部からアジアへ密輸する違法取引のルートを把握し、抑え込む努力も、これまで以上に行なわなくてはなりません。

©Burt Tapper

クルーガー国立公園のシロサイの親子

© Martin Harvey / WWF

アフリカゾウ(南アフリカ共和国)

密猟の撲滅をめざして

WWFインターナショナルの野生生物保全プロジェクト(Wildlife Practice)のリーダーであるマーガレット・キナードは、「問題解決のためには、何が人々を密猟や密輸のような「野生生物犯罪」に引き込むのかを考えなくてはなりません。保護区近辺に暮らす人々への投資や生活改善を視野に、密猟に手を染めなくても生きていける方策を立ていかなくてはならないと考えています」と述べます。

南アフリカ共和国、およびその周辺国では、保護区でのパトロール強化はもちろん、今後さらなる密猟抑止のための法整備とその適切な執行が求められます。

そして、国際社会はそれを支援しつつ、密輸を抑えるために、サイの角が今も消費されているアジア諸国や地域で、需要の抑制に包括的に取り組む必要があります。

南アフリカ共和国のサイの密猟頭数が、このまま減少を続け、ゼロに向かうように、有効な対策の着実な実行が求められています。

©Robert Patterson / WWF

ベトナムで売られるサイの角

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