キープディスタンス!ユキヒョウによるHWCから学ぶこと
2026/02/13
先ごろ、中国で観光客がユキヒョウ(Panthera uncia)に噛まれ負傷したというニュースが流れました。
ユキヒョウが人を襲ったという話を聞いたのは初めてだったので、とても驚きました。
そこでユキヒョウ保全の専門家であるWWFインドのリシ・シャルマにこの事件をどう考えるか尋ねてみました。

リシが撮影したユキヒョウ。数が少なく、厳しい生息環境にすむユキヒョウを、人が直に見る機会は極めて稀です。フィールドに通う研究者でも、直接見られることはめったにありません。今回おきた事故は、その意味でも非常に稀有な事例といえます。
リシは、「この出来事を『危険な野生動物が人に襲いかかるように変化した』と捉えるのは、早計だ。ユキヒョウによる人への攻撃は極めて稀で、普通は人を避ける。今回の事件は、『人と動物の利用空間が重なってきたことによる偶発的なアクシデント』と考えるべきだ」と言いました。

ユキヒョウが観光客を襲う事件が起きた新疆ウイグル自治区には、他にも様々な野生動物が生息する。チベットガゼル (Gazella subgutturosa) は、ユキヒョウの重要な獲物でもあります。
近年、山岳地域の観光開発やレジャー利用が進み、人がこれまで以上にユキヒョウの本来の生息地へ近づくようになりました。
今回の事例でも、被害者が写真を撮ろうと近づいたことが事故につながったと報じられています。
ユキヒョウに出会ったら、近づいて、貴重な瞬間を写真に残したいという気持ちはよくわかります。
しかし、“近づかない”というシンプルな行動が、野生動物にとっても人にとっても、基本的には最も適切な判断なのです。

ユキヒョウは12カ国に生息しています。最も個体数が多い国、中国のユキヒョウの母子。山でこんな親子を見つけたら駆け寄りたくなる気持ちはわかりますが、ユキヒョウにとっては、大迷惑。遠くから、そっと見守りましょう。一般に子連れの野生動物(母親)は、わが子を守るために攻撃を含む防衛反応が強くなります。
また、今回のようなニュースがセンセーショナルに伝わると、どうしても、恐怖や対立を喚起してしまいます。
リシはそうした報道が過剰になされることを懸念していました。報道されるべきは、共存のための学びと予防策です。
海や山で野生動物に出会ったときには、十分な距離を保ちましょう。そっと見守るという選択は、動物の尊厳を守るだけでなく、自然の中での体験をより豊かなものにしてくれるでしょう。
そんな自然体験をできる場所がたくさんある北海道で、リシが登壇するイベントを開催します。ぜひオンラインでご視聴ください。
詳細はこちら https://www.wwf.or.jp/event/organize/6168.html!






