©TRAFFIC

民間セクターが社会を動かす!アジアで進む感染症パンデミック予防策


7月23日、ベトナム政府が野生生物取引に関する新たなモラトリアム(一時停止措置)を発表しました。

内容は、野生動物の輸入禁止(食糧や医療に使用されるものは除く)や、違法な野生生物製品が販売されている市場の閉鎖。

その他にも飼育繁殖施設を適切に管理するための仕組み導入など法整備を進めることが盛り込まれています。

アジア地域では、生きた動物や食肉が不衛生で管理が不十分な状態の中取引されている市場が数多く存在します。

これまでも問題は指摘されてきましたが、政策に反映されるほど重要視されてこなかったのです。

2020年2月、TRAFFICが発表した報告書では、東南アジアの市場の概況を伝えている。ベトナムの2つの大都市ハノイとホーチミンでの3日間の調査では、115種8,047羽の鳥の違法取引を確認(2016年)した。

しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がその状況を変えました。

新型コロナウイルスもその一つと考えられる「動物由来感染症」の発症と拡大は、自然破壊による野生生物と人の接近や、管理の行き届かない市場での取引が、引き起こしていると指摘されるようになったためです。

©natureple.com / Roland Seitre / WWF

現在、世界で最も密猟されている哺乳類センザンコウは、アジア諸国の市場で違法取引が横行している。動物由来感染症の中間宿主であると指摘する科学者もいる。

今回、歓迎すべき重要な点は、こうした政策を後押ししたのが市民社会からの声だったことです。

WWFを含めた14の自然保護団体が2月、違法な野生生取引市場を閉鎖するよう政府に書簡を提出。その後ベトナム政府は3月に、これを検討することを発表していました。

今回の発表は、それを実行に移すための具体的な内容を示したものになります。

1月に野生動物の国内取引の停止を決めた中国に続き、こうした政府による迅速な対応は、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックの脅威と、その根本的な原因が自然破壊であることを世界が突き付けられた結果に他なりません。

過度な野生生物利用が、自然環境全体のバランスを壊し回復不可能になる前に、これからも持続可能な社会を目指し活動を続けていきたいと思います。

この記事をシェアする

森林・野生生物室 野生生物グループ TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP