©Gerald S. Cubitt / WWF

まだまだ続く、、、コツメカワウソの密輸


昨日、600万円のトカゲの密輸事件が報じられたばかりですが、またもや大事件が発生!

密輸されたのは、あの人気者、コツメカワウソです。

報道によると、今年9月にコツメカワウソ2頭をタイから密輸しようとした日本人男性が日本の空港で逮捕された、とのこと。これまでにもカワウソの密輸を繰り返していた疑いがあるそうです。

©TRAFFIC

コツメカワウソは、2019年8月のワシントン条約締約国会議で国際取引禁止が決定され、昨日は奇しくも、国内での取引禁止がスタートする日でした。

今回の事件は、規制が強化される前に「駆け込み」の密輸として企てられた可能性があります。

規制が強化される前の、いわゆる「駆け込み輸入」は珍しいことではありません。

なぜなら、輸入規制が始まれば、市場に出回る個体の数は当然減少。希少価値も販売価格も吊り上げられるからです。

しかも現在の日本は規制制度に問題があるため、密輸した個体を合法的に輸入した個体として、比較的容易に販売できてしまいます。

コツメカワウソも、日本国内の販売が原則禁止となったものの、環境省が「規制適用日前に日本に輸入された個体」と認めれば、引き続き取引が可能。しかも、その許可審査では、個体が適切に輸入されたかどうか、厳しく確認されていません。

今回密輸されたカワウソが、水際をすり抜け、国内に持ち込まれていたら、規制前個体として許可を取り、販売されていた可能性は十分に考えられます。

こうした抜け穴がある限り、日本で密輸個体をゼロにすることはできません。

また、日本の市場が、密輸した個体も販売できる市場だと認識され、密猟にも寄与してしまうおそれがあります。

日本政府は空港や税関などの水際だけでなく、国内のペット市場そのものを、より厳しく管理していく必要がある、と私たちは考えます。

コツメカワウソなどが販売される展示即売会の様子
©TRAFFIC

コツメカワウソなどが販売される展示即売会の様子

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
浅川 陽子

学士(法学)
大学卒業後は官公庁に勤務。JICAの青年海外協力隊としてインドネシアの国立公園で環境教育とコミュニティ開発に携わった後、2018年にWWFに入局。
ペットプロジェクトでは、規制強化を担当し、2021年からは消費者の意識変容に向けた取り組みにも着手。

動物好きな消費者が、野生動物を絶滅の危機にさらしてしまわないよう、あるべき野生動物との付き合い方、社会のルールとは何か、を日々勉強中。

人と自然が調和して
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WWFは100カ国以上で活動している
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