©Martin Harvey/ WWF

コロナ禍のペットブーム


テレワークにオンライン飲み会など、新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。

そして、その影響はペット需要にも。

自宅で過ごす時間が増えたことをきっかけに、動物とのふれあいを求める人が急上昇しているとのこと。
「ペットとの生活の実態」を理解せずに、勢いでペットを購入してしまうケースもあるようです。

アニマルカフェなどでも人気のフクロウ。本来の生息環境を家庭で再現するのは難しい。
©TRAFFIC

アニマルカフェなどでも人気のフクロウ。本来の生息環境を家庭で再現するのは難しい。

飼育放棄のため愛護団体に保護される動物が急増しているという報道もされています。

人間のこうした無責任なペットの購入や飼育は、ペットとして飼育される動物へ悲劇をもたらします。

また、動物の中には、もともと日本から遠く離れた国に生息し、絶滅が心配されている野生動物もいます。
国際条約や生息国の法律で保護されていても、高値で取引されることから、密猟や密輸されるケースも少なくありません。

動物種によっては、日本のペット需要が、絶滅の脅威をより高めてしまうこともあります。

インドホシガメも密猟が止まず、2019年11月から国際取引が禁止。日本はインドホシガメの最大の輸入国であった(撮影2019年9月)
©TRAFFIC

インドホシガメも密猟が止まず、2019年11月から国際取引が禁止。日本はインドホシガメの最大の輸入国であった(撮影2019年9月)

また、密輸される動物は、本来必要な衛生手続きを踏まず、日本国内持ち込まれるため、人間に危険な病原体を持っている可能性もあります。
密輸の問題は、種の保存という点だけでなく、人間の健康を脅かす問題でもあるのです。

国内繁殖個体として販売されるサル。サルは人間に有害な感染症を持っている可能性が高いとされ、輸入が禁止されているが、密輸が止まない。
©TRAFFIC

国内繁殖個体として販売されるサル。サルは人間に有害な感染症を持っている可能性が高いとされ、輸入が禁止されているが、密輸が止まない。

ペットとの暮らしは、私たちの生活をより豊かにしてくれます。
しかし、一方で、食事や排せつの世話、しつけといったさまざまな責任が求められます。

そして、その責任の中に、販売される動物が、そもそもどういうところに生息し、どうやって日本に連れてこられてきたか、といった要素も含めて考えて欲しいです。

【寄付のお願い】好きだからこそ 違法な取引から野生動物を守りたい
WWFが提唱する人と自然の新しい関係 ウィズ/ポストコロナ時代を見据えて

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
浅川 陽子

学士(法学)
大学卒業後は官公庁に勤務。JICAの青年海外協力隊としてインドネシアの国立公園で環境教育とコミュニティ開発に携わった後、2018年にWWFに入局。
ペットプロジェクトでは、規制強化を担当し、2021年からは消費者の意識変容に向けた取り組みにも着手。

動物好きな消費者が、野生動物を絶滅の危機にさらしてしまわないよう、あるべき野生動物との付き合い方、社会のルールとは何か、を日々勉強中。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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