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東南アジアと日本の水田と生物多様性


私たちWWFジャパンでは今、日本の水田・水路の生きものたちを保全するプロジェクトへのご支援を募っています。

水田の自然は、いかにも日本らしい景観ですが、自分が森の保全を担当している東南アジアの国々でも、移動の道中などに目にすることがよくあります。

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インドネシアの水田地帯での脱穀作業

例えば、インドネシアのスマトラ島南部の山岳地帯には、一見すると日本と似ているのですが、よく見ると違う水田の風景が広がっていました。

見渡す限りの水田の中に「水路」が見当たらないのです。
これは、おそらく天水田(雨水だけで営む水田)なので、水路が必要ないのだと思います。

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インドネシア・スマトラ島の水田。見渡す限り水田が広がっていますが、水路は見当たりません。

また、ミャンマー東部のタニンダーリ地方では、かつての日本のような「用水路」と「排水路」が一体となった水田を見ることができました。

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雨季のミャンマー。水位が上がり水田と水路の境界がもう少しでわからなくなるほどになっていました。

こうした場所では、河川の堤防も十分整備されていないため、雨季に頻繁に起きる洪水が、時に人的被害をもたらすことがある一方、周辺の水田に養分を供給すると同時に、魚など水生生物の移動を助け、多様な生態環境を育んでいます。

季節ごとに変化する地形をうまく使い分けながら、したたかに生き抜く生きものたちを想像すると、実際に水中でどんな様子なのかを調べてみたくなります。

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キャプション:雨季のミャンマーの洪水。こうした洪水が形成する「氾濫原」と呼ばれる環境は、多様な生物の息づく場所をつくりだしています。

そうした水田の生きものたちの謎と魅力は、日本の場合も同じ。

今、WWFジャパンが取り組んでいる、特に希少な魚類が多く残っている九州の水田地帯でも、まだ分からないことの多いその生態系を調査し、どうすればそれが保全できるのか、挑戦を続けています。

少なくなり続けている水田と水路にまたがる貴重な自然を、未来にのこしていくために、活動へのご支援をぜひお願い致します。

田んぼと生きもの保全「失われる命の色」

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森林・野生生物室長
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

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