【動画あり】中央アジアの高原でユキヒョウの姿を撮影


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

先日、WWFロシアの事務局から、野生のユキヒョウの姿を捉えた映像が届きました。

【動画】中央アジアの高原でユキヒョウの姿を撮影

撮影場所はシベリアの南端、ロシアとモンゴルの国境地帯に広がる、アルタイ山脈のウコク高原。手つかずの自然が残る、貴重なフィールドの一つです。

WWFロシアが調査用の自動撮影カメラ(カメラトラップ)を使い、ここで初めてユキヒョウの姿が捉えられたのは、2017年の初めのことです。この時は、2頭の子を連れた、メスのユキヒョウの姿が確認され、彼女には「ユザンカ」という名前が付けられました。

最も高い山嶺が4,000メートルを超える、中央アジアのアルタイ山脈。世界最大の野生のヒツジで、ユキヒョウの主な獲物でもあるアルガリなど、多様な生きものが生息します。
© I. Usanov

最も高い山嶺が4,000メートルを超える、中央アジアのアルタイ山脈。世界最大の野生のヒツジで、ユキヒョウの主な獲物でもあるアルガリなど、多様な生きものが生息します。

2018年にも、ロシアにあるアルタイ共和国の保護区のレンジャーたちによる調査チームが、11台設置したカメラのうち、7台で撮影に成功。その後の分析により、3頭の個体を特定することができました。

今回のロシアの調査隊は、スノーモービルと自動車、そして徒歩を合わせ、950キロもの距離を移動し、調査活動を行ないました。ウコク高原では、気温が氷点下40度まで下がったそうです。
© I. Usanov

今回のロシアの調査隊は、スノーモービルと自動車、そして徒歩を合わせ、950キロもの距離を移動し、調査活動を行ないました。ウコク高原では、気温が氷点下40度まで下がったそうです。

これまでの結果から、現在このウコク高原に生息していると考えられるユキヒョウは、少なくとも5頭います。

現地では、保護区の運営やパトロールなどの資金が不足しているほか、ユキヒョウ自体も密猟や地球温暖化がもたらす生息環境の変化により、絶滅が心配されている動物。
その生態や行動も、まだ多くが謎に包まれています。

問題は多く残されていますが、それでも、マイナス40度の極寒の原野に分け入って調査に挑む、現地のレンジャーやスタッフたちの頑張りには、本当に勇気づけられる思いです。

現地での活動や、その調査結果に注目しつつ、地球温暖化の防止をはじめ、日本でもできる取り組みを推進していきたいと思います。

ウコク高原は、ロシア領内のユキヒョウの生息域の南端にあたります。WWFロシアではこの地域の保護区を支援しています。

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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