東日本大震災から7年を迎えて


事務局長の筒井です。
東日本大震災から7年目となる今年の3月11日を迎えました。

事務局を代表し、ご親族やご友人、かけがえのない親しい方々を亡くされた皆さま、そして、今も多くの困難に向き合い、日々を過ごされている皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

日本の全国を見渡した時、震災の記憶、そしてその教訓は、残念なことではありますが、次第に薄れゆく印象がぬぐえません。

しかし、あの震災がこの国の歴史に、決して消えることのない大きな傷を残した出来事であったことは、誰もが思いを同じくするところと信じます。

そして、今も続く復興の道のりの中で、力を尽くしておられる多くの方がいらっしゃることを、忘れるわけにはいきません。

この震災にあたり、私たちWWFジャパンが「暮らしと自然の復興プロジェクト」を開始したのは、震災の翌月でした。

WWFがこの取り組みで目指したのは、被災地の皆さんとともに「暮らしと東北の豊かな自然のため、震災前を超えた復興」を実現すること。

被災した町(2012年1月)

そしてこの中で結実した一つの成果が、2016年の宮城県志津川湾でのASC認証の取得です。

ASC認証は、自然環境に配慮した「持続可能」な養殖業に与えられる、エコラベルの国際基準。

この世界の認める養殖水産物が、日本で初めて、被災地の海から誕生したのです。

大変嬉しいことに、ASC認証は、この1年で地元石巻市の他の漁協にも広がりを見せており、今後、宮城県名産の養殖カキの半分で、認証の取得が実現する見込みとのことです。

ASC認証を取得した、志津川湾戸倉のカキ。認証の取得は、海の環境に負荷をかけた従来の養殖を、震災をきっかけに「持続可能な形」に大きく変える決断を下した、志津川の皆さまの勇気の賜物でした。

被災地で始まった一歩が、「持続可能な未来」に向けた、頼もしくも、新しい歩みにつながろうとしている。

このことはまた、日本だけでなく、「持続可能な社会」への転換が必要だと、痛切に感じている、世界の人々の期待にも応えるものといえるでしょう。

変化は起こさなければ起きません。

7年前のこの日から生まれた変化と、新たな可能性を育てながら、より良い社会創りを推し進めてゆくために。

そして3.11というこの日を、毎年、胸を張って迎えることができるように。

ぜひ皆さまも私たちと共に歩んでいただきたいと思います。

戸倉のカキ養殖業者の皆さんの取り組みは、2017年の「生物多様性日本アワード」の優秀賞も受賞しました。

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局長
筒井 隆司

WWFジャパンが中長期戦略を立案し、様々な分野のリーダーとの交流で時代の要請に応えられる団体にする。人事・予算を管理し役員会・APGS・WWFネットワークとの折衝と貢献を担う

長い海外勤務経験を活かし、日本が持続可能な成長に貢献出来るよう尽力したいと思います。せっかく国際環境保護団体にいますので"Be a voice, not an echo"を実践して日本の考えや主張を積極的に発信したいと思います。還暦を過ぎても気持ちは青年を維持したいと思います。

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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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