© DoFPS, MoENR Bhutan

ブータンにおけるユキヒョウ調査の意義


皆さん、こんにちは。WWFインドでユキヒョウの保全プロジェクトを担当している、リシ・シャルマです。

先日、WWFブータンの仲間たちから嬉しい発表がありました。
ブータン政府が主導し、WWFブータンも協力して行なわれた、ブータン国内での全国調査で、134頭の野生のユキヒョウの生息を確認したというものです。

ヒマラヤ山脈の東部に位置するブータンは、北部の7,500mから南部の100mまで、大きな標高差を持つ国です。ユキヒョウがすむのは主に北部の高山帯。調査は困難な地域です。
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ヒマラヤ山脈の東部に位置するブータンは、北部の7,500mから南部の100mまで、大きな標高差を持つ国です。ユキヒョウがすむのは主に北部の高山帯。調査は困難な地域です。

今回、ブータンでは北部の広大で険しい地形の中で、ユキヒョウの数と生息密度を推定するため、最先端のカメラトラップ法を用いた2度にわたる厳密な調査が行なわれました。

その結果、134頭という推定個体数と、生息密度が100平方キロあたり1.34頭という、科学的に詳細かつ重要なデータを手に入れることができたのです。

こうした貴重なデータは、的を絞った保護戦略を立てるために欠かせないものであり、同時に、ブータンでは健全なユキヒョウの生息環境が守られていることを示すものです。

さらに、このブータンの現状は、ヒマラヤというより広範な地域におけるユキヒョウの長期的な生存を支えるものであり、隣接するインドやネパールのユキヒョウの個体群を守っていく上でも大事な意味を持ちます。

個体数を特定し、正確な分布域を明らかにした今回のブータンでの調査結果は、こうした他のユキヒョウの生息国が協力し、地域レベルで保全に取り組む際の、強力な基盤となるからです。

夜明け前、氷点下の中、カメラトラップが捉えたユキヒョウ。効果的な保護活動の基本である、確固とした調査の方法論を確立し、信頼できるデータを提示したブータンは、他のユキヒョウ生息域国にとっての力強い先例となりました。
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夜明け前、氷点下の中、カメラトラップが捉えたユキヒョウ。効果的な保護活動の基本である、確固とした調査の方法論を確立し、信頼できるデータを提示したブータンは、他のユキヒョウ生息域国にとっての力強い先例となりました。

この調査は、ユキヒョウの永続的な生息地を20カ所確保する、という世界的な保全の目標にも貢献ものといえるでしょう。

私たちもこうした国際的な知見を取り入れながら、絶滅の危機にあるユキヒョウの保全に、これからも取り組んでいきます。

日本の皆さまにもぜひ、変わらぬご理解とご支援をお願いいたします。(編訳:自然保護室 三間)

【寄付のお願い】ユキヒョウの未来のために|野生動物アドプト制度 ユキヒョウ・スポンサーズ

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