© 公益社団法人大阪自然環境保全協会

大阪関西万博で生物多様性のレガシーを


2025年に開催される大阪関西万博は、「いのち輝く未来社会」をテーマとし、SDGsの達成貢献を目標に掲げています。万博が会場となるのが、大阪湾に造成された人工島・夢洲です。

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大阪湾の干潟は埋め立て等により99%が失われましたが、今でも湿地環境が整えば、数多くの水鳥が飛来します。大阪自然環境保全協会の資料によると、鳥類だけでも112種(うち絶滅危惧種51種)が確認されている他、ホシハジロについては、ラムサール条約の参加基準も満たすことが判明しています。こうした背景から、夢洲は近接する大阪南港野鳥園とともに、大阪の生物多様性ホットスポットAランクにされています。

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5月に公開された万博の持続可能性に関する行動計画では、先に開催された生物多様性条約での決議等を引用し、「沿岸域における生態系ネットワークの重要な拠点として、会場内の自然環境・生態系の保全回復に取り組む。」との目標を掲げていますが、記載された計画は、事業地内・事業期間内に限定した事業のみで、生態系ネットワークの拠点には程遠い内容です。

WWFは関連NGOとともに、夢洲の環境保全に関して、博覧会協会と大阪市・府らに過去2回要望書を提出するとともに、意見交換を行ってきました。しかしながら、博覧会協会は開催地が大阪市の用地であり、事業終了後は組織解体されるため、管轄外であるとして、そうした長期的視野の議論には応じていません。

万博を契機に失われた大阪湾沿岸の生態系保全のビジョンづくりやネットワークを構築することは、事業期間内で十分可能であり、また「いのち輝く未来社会」を標榜する博覧会協会そして開催地である大阪市の役割であるとWWFは考え、行動計画(第1案)に関して意見を提出しました。

「持続可能な大阪・関西万博開催にむけた行動計画(第1版)」に対する意見

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自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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