スマトラサイのすむ森で踏み出す「一歩」


先日、インドネシアのボルネオ島で、スマトラサイ保護に携わる現地スタッフを初めて訪問しました。

その数、推定で300頭以下。スマトラサイは今、世界で最も絶滅が心配される野生動物の一種です。

保護活動も容易ではありません。

見通しがきかない熱帯林で、密猟者の跡や罠を探し、一歩一歩、慎重かつ迅速に行なうパトロール活動は、時に1週間以上も続きます。

森へと向かう道。大変な場所でのパトロールが始まります。

そして、野宿に疲れた彼らが戻る拠点も、また森の中にありました。

陽気な笑い声が響くその場所は、ワイルドそのもの。

プライベートなど全くない、ベッドルームもキッチンも全て手作りです。

これを全て1週間で仕上げたというから驚きです。

手作りの拠点。左側の川を渡る橋も作ったそうです。

そして、私が見上げた拠点の入口には、文字の書かれた板が掲げられていました。

「長い旅路の戦場で、感謝をもって、心に期した一歩を踏み出せ。全ての一歩には、意味があるのだから」

話を聞くと、底抜けに明るい彼らでも、数カ月間も家族と会えず、何もない場所で過ごしていると、時々暗い気持ちになるとのこと。

さらに、この地域にわずかに数頭しかいないスマトラサイを守るために、森の中で五感を常に研ぎ澄まし、小さな痕跡を見落とすまいと一歩一歩を重ねていく、その緊張感とプレッシャーは計り知れません。

でもそんな時、この看板の言葉で初心に返るのだそうです。

看板の標語

チームワークは24時間体制。肉体的にも精神的にもタフでなければならない中、常に笑顔でいる彼らの強さに、私は尊敬の気持ちを抱いていました。

この森のサイを、おそらく世界中の誰よりも知る彼らこそ、真の守り人たちです。

日本からも応援を続けるとともに、彼らのような気持ちを強く持っていきたいと思います。(自然保護室 伊藤)

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自然保護室 森林グループ所属
伊藤 小百合

消費者向けのアウトリーチと、フィールドでの活動を発信するコミュニケーションを担当。

ツンドラでの植生調査、在来種の苗木屋さん、科学館職員を経て、このお仕事に就きました。新しく知るだけでは、変えられない世界があるから、誰もができるアクションをおみやげにできるようなコミュニケーションが目標です。

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