© Istockphoto.com / WWF-Canada

日本企業100社が参加!SBTが世界のスタンダードに


気候危機担当の池原です。
2020年6月、SBTi(Science Based Targets initiative)に参加する日本企業が100社に達しました。SBTiは、企業がパリ協定と整合した高いレベルの排出削減目標を掲げることを求める国際イニシアチブです。WWFをはじめ、国連グローバル・コンパクト、CDP、WRIによって共同で創設され、2015年より企業からの申請目標の審査を開始しました。

世界のSBT参加企業900社あまりの中で、日本企業(100社)は米国(160社)に次ぐ規模となっており、この分野では世界をリードする存在です(2020年6月末時点)。

日本からのSBT参加企業数(累積)の経年推移(2020年6月末時点)

日本からのSBT参加企業数(累積)の経年推移(2020年6月末時点)

実は2019年10月、SBTiは削減目標のクライテリアを引き上げました。従来は、「2度」レベルの目標も認めていましたが、現在は「2度」レベルでは承認が得られず、「1.5度」レベルの目標とすることが推奨されています。

このクライテリア引上げによって、SBTのハードルが一段と高まり、取り組む企業が減少するのではないかと危惧していました。ところが実際には、SBTiから承認を取得する企業の増加はむしろ加速しています。2019年11月以降、つまりクライテリアの引き上げ後、現在までに承認を取得した企業は計127社で、これは2015年の審査開始当初からの累計399社の32%に相当します。

引き上げ以降のわずか8ヶ月間での承認企業数が、過去5年間の1/3を占めている計算となります。SBTが世界のスタンダードになっている証といえます。

SBTの承認取得企業数(累積)の経年推移(2020年6月末時点)

SBTの承認取得企業数(累積)の経年推移(2020年6月末時点)

SBTiでは今後、金融や化学などの業種でも目標設定の方法論が順次整備されていきます。承認を取得する業種や企業の数も、さらに拡大していくことが期待されます。

この記事をシェアする

気候エネルギー・海洋水産室 気候変動・エネルギーグループ
池原 庸介

修士(応用化学、環境マネジメント)
自動車メーカーで環境関連業務に従事した後、英エディンバラ大学大学院で気候変動の研究に従事。2008年にWWF入局。Science Based Targets(SBT)や企業の温暖化対策ランキングプロジェクトなどを通じ、企業の気候変動戦略・目標の策定を支援。公害防止管理者(大気一種)。グリーン電力証書制度 諮問委員。法政大学人間環境学部 非常勤講師

1990年代に環境問題と出会って以来、仕事や研究で環境に携わってきました。気候変動は、人間の暮らしにも生物多様性にも様々な影響を及ぼす世界共通の問題です。企業と協働しながら、脱炭素社会の実現に取り組んでいきたいと考えています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP