© WWF-US / Elisabeth Kruger

古くて新しいカーボン・プライシングの議論に備えるために


温暖化・エネルギー担当の山岸です。

日本国内ではやや議論が下火だった「カーボン・プライシング」が、近年はまた少し話題になり、環境省でも審議会が開かれています。

カーボン・プライシングとは、温暖化の主原因である二酸化炭素の排出量に対して何らかの形で費用負担を課すことで、排出量を減らすことを促す仕組みです。具体的には、炭素税と排出量取引制度のことを指します。

炭素税は、排出量に応じて税を課すという仕組みです。あまり知られていませんが、日本にも既に「地球温暖化対策税」という形で入っています。ただ、税率が低いのであまり大きな効果は望めません。

排出量取引制度は、排出の許容量を定めて、それを超過する場合は他者から買うか、減らすかを義務付ける制度です。EUや米カリフォルニア州、米国東部諸州、韓国などで導入されています。昨年2017年末には中国全土でも電力業界を対象に導入されました。

「排出量が費用になる」という仕組みなので、従来産業界を中心に強い反対がありますが、近年改めて注目が集まっている背景には、パリ協定がめざす、「脱炭素」にとっては不可欠な手段だ、とみなされ始めたことがあります。

© Global Warming Images / WWF

WWFジャパンは、2004年に最初の提言を出して以降、一貫して日本での排出量取引制度の導入を提言してきました。2010年に出した報告書『脱炭素社会に向けたポリシーミックス提案』では、排出量取引制度に加えて、省エネルギー政策等を組み合わせた「ポリシーミックス」を提案しています。

一部、他国の事例を記述した部分は古くなってしまっていますが、大事なことは変わりませんので、そろそろ本格的な導入議論に入る前の復習がてら、ぜひご覧下さい。

ご希望の方は、下記要領でご応募頂けましたら、送料のみのご負担で配布させて頂きます。数に限りがございますので、お早めにご応募頂ければ幸いです。

 
報告書『脱炭素社会に向けたポリシーミックス提案』 返信用封筒(角2サイズ)に360円の切手を貼った上で下記宛先まで。(ゆうメールでお送りします。) 2冊ご希望の場合は370円のレターパックライトをご用意ください。
排出量取引制度解説パンフレット 『ニッポンを脱炭素国に変えていく。』 返信用封筒(角3サイズ)に140円の切手を貼った上で下記宛先まで。 2~3冊の場合:215円(ゆうメール送付) 4~6冊の場合:300円(ゆうメール送付)
報告書1冊+パンフ1~5冊 返信用封筒(角2サイズ)に360円の切手を貼った上で下記宛先まで。(ゆうメールでお送りします。)
※パンフレットの配布は終了いたしました。

返信用封筒には、お送りする宛先をお書きください。

宛先:
108-0073 東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル3F
WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ 行
「報告書希望」もしくは「パンフレット希望」と、冊数をお書き添えください。
上記以外の部数をご希望の場合は、メールにてご連絡ください。(気候変動・エネルギーグループ:climatechange@wwf.or.jp)

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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