よみがえれ!白保のサンゴに見られた回復傾向


こんにちは。自然保護室の鈴木倫太郎です。

台風による破壊、赤土や大雨による淡水の大量流入、そして夏場の高水温。
近年、サンゴ礁を取り巻く環境が厳しくなっています。
沖縄県石垣島の白保では、年間10万人が宿泊できるリゾートホテルの建設計画も持ち上がっている中、白保のサンゴがどのような状況であるか把握する調査が先月、行なわれました。

実施したのは、地元集落の「白保魚湧く海保全協議会」。私たちもこの調査に協力させていただきました。

中心となったのは協議会のメンバーで、白保で漁業とシュノーケルガイドを営む2名の方です。
普段はやらないデータを取るので、いつもと勝手が違い最初はぎこちない様子でしたが、そこは海のプロ。すぐに慣れて、しっかりと調査を行なっていました。

1m四方の枠を置いて、その中のサンゴの様子を調べて行きます。
©WWFジャパン

1m四方の枠を置いて、その中のサンゴの様子を調べて行きます。

水深3m~5m。この日は水温も28℃とちょうど良いくらい。
©WWFジャパン

水深3m~5m。この日は水温も28℃とちょうど良いくらい。

結果、2010年に「しらほサンゴ村」が行なった調査の時に6.26%だったサンゴの被度が、今回は11.2%と増えていました!

また、2007年以降ほぼ確認されていなかった、ミドリイシの仲間も確認。
さらに、2016年に世界規模で生じた夏季の高水温によるサンゴの白化現象が起きた際、白保の海でも多くのサンゴが死んでしまったのですが、サンゴ達はその困難を乗り越えて、以前よりも少し増えてきていました。

ミドリイシやユビエダハマサンゴなど、多くのサンゴが確認されました。
©WWFジャパン

ミドリイシやユビエダハマサンゴなど、多くのサンゴが確認されました。

それでも、この調査を開始した2002年当時、サンゴの被度は26%もありました。
海に潜ると、当時は周り一面がサンゴだったことを覚えています。
少しでも、昔の状況に戻る事を期待したいと思います。

そのためには、これ以上、陸域から赤土や栄養塩が海に流れ込まないようにすることが大切です。
多くの恩恵を与えてくれる自分たちの海のサンゴ礁を守るため、地域の人たちが取り組む活動を、私たちも支援してゆかねばと思います。

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自然保護室 国内グループ所属
鈴木 倫太郎

南西諸島のサンゴ礁など海域をフィールドを担当しています。

石垣島・白保の海に初めて出会ってから20余年。それ以来、研究者として、仕事として、サンゴにかかわり続けてきました。サンゴを愛し、サンゴから愛されそびれた男。サンゴ礁の魅力を多くの人に伝えていきたいと思います。

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