希少種アユモドキの保護をめぐって


草刈です。
先日、京都府亀岡市に生息する、希少種の淡水魚アユモドキの保護を求める要望書を出しました。

京都スタジアム(仮称)の建設計画が、その産卵場所に悪影響を及ぼす可能性が高いことから、計画の見直しを求めたものです。

このアユモドキという魚は面白い魚で、「氾濫原湿地」と呼ばれる一時的に水に沈む場所(たとえば、水かさが増した時期だけ冠水する水田周辺の草地など)で産卵する習性を持っています。

アユモドキ(Leptobotia curta)

こうした自然が、昔は亀岡周辺にはたくさんあったそうですが、今では水田の水位調整が機械で簡単に出来るようになったこともあり、産卵場所が激減してしまいました。

今、亀岡市にわずかに残るアユモドキの産卵場所では、農家の方々が研究者の助言のもと、田んぼの水位の調整を産卵時期に合わせていらっしゃるそうです。

田植えの都合を考えると、これは農業の負担になるのですが、あえてそうされているとのことです。

こうした地元の方々の理解と尽力、そして研究者の熱意により、アユモドキをはじめさまざまな希少生物が生きる亀岡の氾濫原湿地は守られてきました。

私たちも、スタジアムを建設するな、と言っているわけではありません。ですが、貴重な自然を犠牲にし、たくさんの保護の努力を無にするような計画は、行なわれるべきではないと考えます。

すでに同じく意見書を出されている、日本生態学会や日本魚類学会、関西自然保護機構などの研究者の方々の知見に耳をかたむけ、地元にもプラスになるように。そして、希少なカエルの生息地を守って開催されたシドニー・オリンピックや、オオタカやシデコブシが生きる里山を守って成功した愛知万博の時のように。今回の計画が見直されることを期待します。

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自然保護室 国内グループ所属
草刈 秀紀

日本の自然保護にかかわる法制度の改善をめざす取り組みを行なっています。

子どもの頃から動物が好きで、農業者でもないのに農業高校の畜産科に行き、上京して大学時代に多くの自然団体の会員になりました。野生のエルザのゲームワーデンにあこがれ、32年前に職員になりました。最近は、永田町を徘徊しています。

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