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自環法(じかんほう)の一部が改正される


「自環法って何だ?」と、思われた方も多いと思います。
これは自然環境保全法。
1993年に環境基本法が施行するまで、日本の自然を保全する基本の法律として機能していた法律です。

古い話になりますが、日本の環境問題の始まりは公害問題からでした。
水俣病やイタイイタイ病などが社会問題化した時、公害対策の基本法として1967年に公害対策基本法が制定。
その後、公害問題を含む環境行政を管轄する環境庁が1971年に発足しました。
そして翌年、自然環境の保全を目的とした、自環法が制定されたのです。

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自環法の主な内容は次の4つです。

  1. 自然環境保全基礎調査の実施
  2. 自然環境保全基本方針の策定
  3. 原生自然環境保全地域の指定や規制
  4. 自然環境保全地域の指定や規制 など。
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この自環法が、今年の国会で一部改正されます。
主な目的は、新たな海洋保護区を設立する、沖合海底自然環境保全地域制度の創設。

生物多様性条約第10回締約国会議で合意された「愛知目標」で、各国は海域の10%を海洋保護区とすることを約束しましたが、現状の日本の海洋保護区は8.3%。目標達成に届いていません。
ここを頑張ろう、ということです。

この新しい制度により、海山や熱水噴出域、海溝など、特異な地形や生態系、生物資源がある沖合域の「海底」が、海洋保護区に指定できるようになることは、意義のあることです。

しかし一方で、自然の豊かさがすでに知られている、干潟や海岸、サンゴ礁などの沿岸域が、十分に保護区に指定されていない現状もあります。
また「海のレッドリスト」も、科学的な調査が不十分。課題はまだまだ山積です。
3~5年後の同法の見直しに向け、国会議員に対する働きかけを続けたいと思います。
(自然保護室 草刈)

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自然保護室 国内グループ所属
草刈 秀紀

日本の自然保護にかかわる法制度の改善をめざす取り組みを行なっています。

子どもの頃から動物が好きで、農業者でもないのに農業高校の畜産科に行き、上京して大学時代に多くの自然団体の会員になりました。野生のエルザのゲームワーデンにあこがれ、32年前に職員になりました。最近は、永田町を徘徊しています。

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