種の保存法政令指定種アユモドキの生息地における亀岡市都市計画および京都スタジアム(仮称)の計画に対する要望書


要望書 2014年4月23日

京都府知事 山田啓二 殿 亀岡市市長 栗山正隆 殿

(公財)世界自然保護基金ジャパン会長 徳川 恒孝 

拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃、自然・環境の保全にご尽力を賜り誠にありがとうございます。

(公財)世界自然保護基金ジャパン(以下、WWFジャパン)は、京都府「絶滅の恐れのある野生生物の保全制度に関する研究会(2004~2006年)」の委員として関わり「京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例(以下、希少種条例)」制定に深く関与し、他県と比べて先進的な条例となるよう助力して参りました。

希少種条例は、諸外国の制度を参考にした仕組みとなっており、今後、希少種条例を策定するほかの地方自治体の模範となるべきものです。

今般、計画されている「京都スタジアム(仮称)」は、国際的にも希少であり、日本国内の数カ所にしか生息しておらず、特に高い優先度で保全すべき種とされるアユモドキ(*1)の生存に脅威を及ぼすものと考えられます。

本計画の進め方や保全の方策の不確実性について、日本生態学会、日本魚類学会、その他様々な自然保護団体等から問題の指摘や計画の見直しに関し要望が提出されております。また、平成26年1月21日に環境大臣(*2)より、京都府と亀岡市が設置した環境保全専門家会議の意見を十分に聴取し、環境保全措置を実施計画に反映するよう意見が提出されています。

WWFジャパンでは、世界的に貴重であり、特に高い優先度で保全すべき種とされるアユモドキの保全の為に、下記の通り要望します。

1)亀岡盆地の氾濫原湿地生態系は、京都府が全国に誇るべき生物の多様性を有しているため、生物多様性基本法(*3)(平成20年6月6日法律第58号)の第3条の基本原則に基づいて事業を再検討すること。

2)アユモドキは、亀岡市の河川氾濫原湿地生態系や水田耕作等による湿地の環境を利用し、適合した類稀なる生活史を持つために、安易な移植や人為的な生息地の造成では十分な効果が保障されず、野生の環境下で生息する場所を最優先に保護すること。

3)環境保全専門家会議では、環境保全措置だけにとどまらない科学性と合理性に基づく議論の場を保証し、その検討結果を尊重すること。また、京都府公共事業事前評価の制度等に従い、都市計画手続きを中断し、「京都スタジアム(仮称)」の計画は、根底から見直すこと(*2)。

4)アユモドキをはじめとする様々な水生生物と共存してきた農業の形態(灌漑ダムの操作等を含む)を尊重し、地域の人の営みと湿地の生態系の保全が両立できるよう、地域住民や専門家を含めた協議会を行政が設置し、将来にわたり継続的に保全できる社会的合意形成の仕組みに基づいた段階的な合意による手続きを目指すこと。

敬具

本件に関する連絡先:事務局長付 草刈秀紀 (03-3769-1711、kusakari@wwf.or.jp

注釈

*1)アユモドキは、1977年に国の天然記念物に指定され、環境省が2007年に取りまとめた絶滅のおそれのある野生生物(動植物)のリスト(以下、レッドリスト)でも1999年以降「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い」種とされる絶滅危惧IA類に位置付けられているドジョウ科の日本固有種である。現在、地球上に残された生息地は、岡山県の2ヶ所とこの亀岡盆地のみである。本種は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」による保全対象種「国内希少野生動植物種」に指定されており、絶滅危惧種の中でも特に高い優先度で保全すべき種とされている。また、アユモドキは、「京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例」により、2008年4月に「指定希少野生生物」にも指定されており、この条例により、本種に対して「アユモドキ保全回復事業計画」が策定されている。

*2)平成26年1月21日「南丹都市計画に係る区域区分の変更に対する環境大臣意見の提出について」環境大臣意見
「京都府公共事業事前評価システム」

*3)生物多様性基本法(平成20年6月6日法律第58号)

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