スマトラ島より!カメラが捉えた動物たち


自然保護室の川江です。
今日は、日本とインドネシアのWWFが、共同で森の保全に取り組んでいる、スマトラ島南部のブキ・バリサン・セラタン国立公園で撮影された動物たちの姿をお届けします。

スマトラといえば、赤道がそのど真ん中を通る熱帯の島。

1985年には島全体を覆っていた熱帯林は、この数十年間で半分以上が失われてしまいましたが、それでも、豊かな自然の姿をとどめている場所はいくつもあります。

その一つ、ブキ・バリサン・セラタンでの重要な活動に、生息している野生生物の調査があります。

視界が利かない熱帯の森の中で活躍するのは、自動撮影カメラを使ったカメラ・トラップ。森の中を移動する動物が、赤外線のセンサーにひっかかると、シャッターが自動で切られ、人がその場にいなくてもその姿を捉えることができます。

ただ、決して楽なものではなく、カメラの設置場所や角度など、スタッフの経験やそれまでの調査結果を踏まえないと、うまく動物が写りません。

また、熱帯の森は湿気が高いため、野外調査専用のカメラといえども調査開始時にはとにかく故障が多く、スタッフ一同悩まされました。その対策に試行錯誤を重ねた結果、ようやく故障の確率を大きく低下させることができました。

森のあちこちに設置したたくさんのカメラを、定期的に回収して、撮影された膨大な写真を精査して、何が写っているのかを確認するのも大変な作業。

風で動いた枝葉がセンサーに触れて、シャッターが下りることもありますし、何か通ったはずなのですが、フラッシュがうまく作動せず夜間まっくらで何も見えない写真もあったりします。

今回、その膨大な写真の一部を整理しましたので、動物の姿をしっかり写した写真を、いくつかご紹介します。

実際に自分の目で見る機会はきわめて稀ですが、こうした生きものたちが生きる森を未来にのこしてゆかねばと思います。

【関連情報】

ブタオザル。この地域では多く確認されています。コミカルな写真も多数。

アジアゾウの亜種、スマトラゾウ。大きすぎて収まりきらず。

セイラン。キジ科の大型の鳥で、目玉模様の見事な羽を持ちます。

サンバー。スマトラをはじめ東南アジアに生息するシカです。

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

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環境保全団体です。

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