極東ロシアから届いた仔トラの映像


自然保護室の川江です。
先日、極東ロシアから仔トラの映像が届きました。

くつろいでいる母トラと、たわむれる2頭の仔トラの姿を捉えた、とても楽しそうな情景。

ところがそこに突然、銃声が響き渡ります。

残されたのは、斃れた母親と、孤児になった2頭の仔トラたち。

わずか3分半の無声映像ですが、見る人の心に届く映像です。

たわむれる2頭のシベリアトラ

見ていただければ分かるとおり、これはシナリオを組んで撮影され、編集された映像です。

しかし、この親子の悲しい物語自体は、決してフィクションではありません。

母トラの亡骸と、孤児になった2頭の仔トラが、パトロールの最中に保護活動の現場で見つかったのは、実際にあった出来事だったのだそうです。

母トラが狩りに出たまま戻ってこず、仔トラ2頭だけが残されていました。

突然響き渡る銃声

そのうち1頭は、母親を探してさまよっていたため、レンジャーによる発見が遅れ、残念ながら死んでしまいました。

映像は、そんな事実を基に、今も極東ロシアで起きている、毛皮や骨を目的としたシベリアトラの密猟問題を訴え、活動への支援を求めるものとして制作されました。

制作したのは、アムールヒョウの調査映像の撮影でもWWFなどと協力している、地元のNGOであるZovTV。

アムールヒョウの映像でも感じましたが、保護団体であるWWFに負けないほどの(!?)熱意を傾けて、過酷な環境の中で撮影を敢行し、編集制作に力を入れています。

1頭残された仔トラ

こうした、人の心に印象を刻み付ける映像は、国境を越えて共感を呼び、WWFが取り組む密猟取締りの支援活動や、密猟に対する厳罰化の働きかけ、また生息地の森林の保全といった活動を後押しする、大きな力になっています。

ぜひ皆さんにも、こうした映像を一つのきっかけとして、保護活動へのご理解を深めていただき、取り組みをより強く、大きくするためのご支援をお願いできればと思います。

  • 【メディア掲載情報】2015年4月2日の朝日新聞(全国朝刊)に、2月に極東ロシアで行われたシベリアトラの総個体数調査についての記事が掲載されます。ぜひご注目ください!

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森林・野生生物室長
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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