© Elisabeth Kruger / WWF-US

日本が2030年の排出削減目標の引き上げるのは今!

この記事のポイント
世界約190か国が脱炭素化を目指すことを約束した「パリ協定」。加盟国には今、温室効果ガス排出削減目標を高く引き上げて国連に提出するよう強く求められています。現在日本が掲げる2030年に26%削減という目標を2050年排出実質ゼロと整合するものとするため、企業や自治体などさまざまな非政府アクター(主体)が大幅な引き上げを求めて共に声を上げています。WWFインターナショナルもまた、日本の削減目標を高く引き上げることを求める声明を発表しました。

公開:2021/4/19
更新:2021/4/21

世界各国に求められる排出削減目標の引き上げ

世界約190か国が気候変動問題に取り組むことを約束した「パリ協定」は、各国に排出削減目標(NDC)を持つことが義務付けられています。

現在、各国が掲げるNDCをすべて足し合わせても、パリ協定が目指す「世界の気温上昇を産業革命前に比べて2度未満にし、1.5度に抑えることを追求する」という目標には到底及びません。

2021年11月に英国グラスゴーで開催が予定されている国連の気候変動対策に関する会議COP26(気候変動枠組条約第26回締約国会議)に向け、パリ協定に参加する世界各国には、自国のNDCを十分に引き上げ再提出することが強く求められています。

現在日本は2030年に2013年比で26%の温室効果ガス排出量を削減するという目標を掲げています。

現在の26%という削減目標は、国際研究グループのClimate Action Trackerによれば「著しく低い」と評価されており、日本が気温上昇を1.5度に抑えるためには、現状の26%から62%に引き上げる必要があるとも分析しています。

この目標を、責任ある先進国かつ大排出国として、いかに高く引き上げることができるか。その議論がまさに今、政府内でも大きくうねりを増しています。

©WWFジャパン

パリ協定を批准する国は約190ヵ国

WWFジャパンのシナリオでは2030年45%以上の削減が可能

2020年12月、WWFジャパンでは、株式会社システム技術研究所(所長:槌屋治紀氏)に委託し、研究報告書「脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ」を発表しました。

この研究では、日本は、産業構造の変換や省エネによる効率向上でエネルギーの需要を削減し、さらに再生可能エネルギーの利用を増やすことにより、2030年における二酸化炭素排出量を2013年比で約50%、そして温室効果ガス排出量を、2013年比で45%に削減することが可能であることがわかっています。


さらにこのシナリオでは、再生可能エネルギーの割合を電力に対する比率は47.7%に引き上げが可能であることや、最もCO2排出量の多い石炭火力は、2030年までに全廃止することが可能であることも示しています。

削減目標の引き上げを求め、企業や自治体などの非政府アクターも声をあげている

WWFジャパンがCDPジャパン、自然エネルギー財団と事務局を務める日本の非政府アクターによるネットワーク「気候変動イニシアティブ(JCI)」。

JCIは、日本政府に対し、2030年の排出削減目標を少なくとも45%以上で、さらに高い目標を目指す欧米に匹敵する、先進国としての役割と責任にふさわしい野心的なレベルにまで引き上げること、また再生可能エネルギー目標を40~50%に引き上げることを求めるメッセージを発表しています。

このメッセージには、JCIに参加する290の団体が賛同。

その中には、多様なセクターの企業、全国の自治体、大学や研究機関、宗教団体、消費者団体など、実にさまざまな主体が含まれています。

これだけ多様な非政府アクターが自らの名前をあげ、削減目標の引き上げを求めて声を上げるのは、これまでにない大きな変化です。

気候変動問題に対する危機意識が、かつてないほど高まっている証左と言えます。

他方で、EUはすでに1990年比で55%削減に引き上げており、さらにアメリカも目標を2005年比50%削減に引き上げるという報道があります。

これらの先進国と比肩しうる取り組みとするためには、日本政府としては45%以上は最低ラインであり、さらに歴史的排出責任のある先進国としての責任から50%の削減目標を掲げるべきです。

©気候変動イニシアティブ

約640の非政府アクターが参加する気候変動イニシアティブ(JCI)

WWFインターナショナルも日本の削減目標の引き上げを求める声明を発表

削減目標の引き上げをめぐる世界の動向を受け、WWFインターナショナルも日本の削減目標の引き上げを求める声明を発表しました。

この声明で、WWFインターナショナルの気候・エネルギープラクティスリーダーであるマヌエル・プルガル・ビダルは、次のように指摘しています。
「(日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言などを指し)行動は言葉よりも雄弁です。 日本政府に対し、2030年の排出削減目標を50%以上に引き上げることを検討するよう求めます。これほどまでに気候変動対策の緊急性が明確になったことはありません。そして日本は、私たちが直面しているこの危機の規模を、彼ら自身がしっかりと把握していることを示さなければならないのです。」

日本が2050年脱炭素化を宣言した今、2030年の目標はそれを実現する野心的な数値に引き上げることが不可欠です。

4月22日からは、アメリカのバイデン大統領主催による気候サミットが開催されます。

そして6月にはG7サミットが開催。気候変動対策で出遅れていた日本がさらに一歩、世界に向けて脱炭素化へのリーダーシップを示すことができるチャンスは今です。

WWFジャパンは、その一歩が真に脱炭素化を実現する2030年目標として示されることを強く望みます。

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