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気候変動問題への本気度が問われる!アメリカで気候サミットがいよいよ開催

この記事のポイント
深刻化する気候変動問題を解決するため、温室効果ガスを排出しない「脱炭素社会実現」への期待が高まっています。こうしたなか2021年4月22、23日に、アメリカ合衆国主催のサミット(首脳会合)が開催されます。バイデン大統領就任以来初の主催となるサミットのテーマは「気候変動」、すなわち地球温暖化です。2020年10月に脱炭素宣言をした菅首相も参加を表明しています。国際的に排出削減対策の遅れをとっていた日米両国をはじめ、各国首脳から削減行動を大きく前進させる宣言がだされるのか、注目が集まっています。
目次

注目!米国主催の気候サミットとは?

2021年4月22、23日にかけて、アメリカのバイデン大統領の主催による、「気候変動問題」をテーマとした首脳会合、すなわち「気候サミット」が、オンラインで開催されます。

参加が見込まれている国はおよそ40カ国。

2009年に当時のオバマ大統領が設置した「エネルギーと気候変動に関する主要経済国フォーラム(MEF)」の17の参加国である、EU、インド、韓国、日本、中国、ブラジル、など、全て合わせると、世界の温室効果ガスの排出量とGDPのおよそ80%を占める先進国や一部の途上国が参加するほか、少数ではあるものの、世界のビジネス界や市民社会で活躍するリーダーたちも招聘されています。

サミットで何が話し合われる?

気候サミットの目的は、2021年11月にイギリスで開催が予定されている、気候変動枠組条約の締約国会議(COP26)に向けて、各国から、より強い排出削減への約束を引き出すことです。

気候変動問題を解決するための国際条約「パリ協定」では、各国がそれぞれ温室効果ガスの国別削減目標(NDC)を定めることが義務付けられています。

しかし、これまでに提出された各国の目標では、全て合計しても、パリ協定が目指す「産業革命以降の地球の平均気温の上昇を2度未満に抑える(出来れば1.5℃を目指す)」という目標は達成できないことが分かっています。

それどころか、現状の目標のままでは、気温上昇が3度以上にも達するとされているため、「早期」の排出削減対策の強化が求められてきました。

©Global Warming Images / WWF

地球の気温は産業革命以降すでに約1度上昇

こで、COP26の開催を待たず、この気候サミットを通じて、各国がより高い気候変動対策に取り組む方針を示すことが期待されているのです。

そのため、今回のサミットでは、対策強化に向けた検討を前に進めるための、話し合うべき主要テーマが複数設定されています。

具体的には次のようなテーマが該当します。

・脱炭素社会を実現する上で必要な先駆的な取り組みについて
・気候変動に脆弱な国々をサポートするための公的・民間セクターからの資金支援の在り方について
・雇用創出を強化しつつ経済便益を高めるための気候変動対策について など

「気候サミット」に期待される成果

国別排出削減目標(NDC)の引上げ

今回のサミットにおいて最も注目を集めているのが、各国が(すでに国連に一度提出した)国別排出削減目標(NDC)の引き上げを宣言するかどうかです。

というのも、アメリカ・バイデン政権は、このサミットに合わせて、アメリカ合衆国のNDC引き上げを宣言すると発表しており、一部の国々に対しては、同時に引き上げを行なうよう、直接働きかけているといわれているからです。

そして、その一部の国々には、日本も含まれます。

各国が掲げるNDCを分析している、国際的な複数の研究機関の共同プログラム「Climate Action Tracker」は、これまでアメリカが掲げてきた「2025年までに26~28%削減(2005年比)」という目標を「Critically Insufficient(非常に不十分)」と評価。

日本が掲げる、「2030年までに26%削減(2013年比)」についても、「Highly Insufficient(極めて不十分)」としています。

また、今回の気候サミットに参加する、残る38ヵ国のNDCについても、その多くが、パリ協定の目指す1.5℃目標を実現する上で不十分とされる内容です。

その中にあって、世界全体の排出量を減らすためには、大規模な排出国がさらなる排出の削減を約束することが必要です。

©WWFジャパン

パリ協定を批准する国は約190ヵ国

世界では、EUがすでに2030年目標を既存の1990年比40%削減から55%削減に引き上げることを発表しており、中国も既存の目標を引き上げています。

今回の気候サミットで、アメリカや日本などが、より高い削減目標を掲げ、リーダーシップが発揮できれば、残る国々の行動を後押しすることになり、COP26の開催までに、さらなる国々の排出削減の宣言を引き出すことに繋がります。

日本はリーダーシップを発揮できるのか?

アメリカが発表する2030年までの新たな削減目標は、これまでアメリカが示してきた目標と比較すると、かなり高い水準になると期待されています。

こうしたアメリカの姿勢の大きな変化をふまえつつ、日本はどれくらい積極的な姿勢を国内外に示すことができるのか、大きく問われるところです。

サミット直前の4月16日には、日米首脳会談が開催され菅首相の訪米も決定しています。

この場で、2020年10月の所信表明で、「2050年の脱炭素社会の実現を目指す」と宣言をした菅首相が、サミットに先駆けて、日本としての明確な改善目標を掲げてリーダーシップを示し、参加各国に対し、削減強化の口火を切ることができるのか、注目されています。

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