羽田空港で東京税関との共催イベント「そのおみやげ、大丈夫?」を開催


2018年3月23日~25日、WWFジャパンとトラフィックは海外旅行客に向けたイベント「そのおみやげ、大丈夫? 象牙の持ち出し&持ち込みは禁止です!」を東京税関と協働して羽田空港で開催しました。近年世界規模で撲滅に向けた取り組みが進む象牙の違法取引に関連して、特に増加傾向にある訪日観光客に向けて、日本からの象牙の持ち出しは違法行為であることを周知するとともに、日本人に対しても旅先でのお買い物への注意を呼びかけました。

日本から違法に持ち出される象牙が6年間で2トン以上

現在、年間2万頭を超えるアフリカゾウが違法に殺されています。

目的は高値で売買される牙(象牙)。

ゾウの生息地であるアフリカ各地では密猟の取り締まり強化が、象牙の消費地である中国などでは国内の取引を停止するなど、各国がさまざまな対策を講じていますが、密猟・密輸は今も後を絶ちません。

日本も例外ではなく、近年は特に、日本から中国へ違法に象牙を持ち出す事例が多く確認されています。

アフリカゾウ

アフリカゾウの象牙は、野生生物を過度な利用から守る国際的なルール「ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)」によって国同士の間での取引が禁止されています。

しかし、象牙の違法取引のデータを収集・分析しているETIS※(ゾウ取引情報システム)によれば、2011年~2016年の6年間で、日本から海外へ違法に輸出された象牙は、2.42トン(押収された分のみ)にのぼることが明らかになりました。

これらのうち95%が中国向け。

日本からの違法な輸出として海外の水際で押収された象牙の量。2011年~2016年の合計2.42トンのうち、中国向けが95%を占める。

中国では2017年12月31日以降、国内の象牙取引を原則禁止としましたが、日本では、国内での象牙取引が現在も合法的に認められているため、ここで購入した象牙が、中国に違法に流出する事態が起きています。

また、2017年5月~9月にWWFジャパンの野生生物取引調査部門であるトラフィックが行なった調査では、違法と知りながら外国人観光客に象牙を販売する、古物商や国内の販売業者、中国へ違法輸出する事例やルートの存在が確認されました。

日本政府は、国内のこうした事業者に対する管理体制の強化など、一定の対策を講じているものの、違法な事例は近年後を絶たず、課題が多く残ります。

  • ※ETIS=Elephant Trade Information System(ワシントン条約のもとトラフィックが管理している)

トラフィックの調査で多くの象牙製品の販売を確認した骨董フェアの一例。外国人への販売が横行していた

「おみやげ」も要注意!羽田空港でのイベント

出発ロビーにある税関の情報発信ブース
「情報ひろば」内に展示したバナー広告。
中国語、英語、日本語で掲示。

そうした中、WWFジャパンとトラフィックは2018年3月23日~25日、密輸を水際で防ぐ税関と協力し、主に旅行者を対象とした啓発のためのイベントを、東京の羽田空港で開催しました。

これは、2017年夏にWWFジャパンとトラフィックが東京税関と共催した成田空港でのイベントに続くものですが、今回は特に象牙にフォーカスをあてて実施。

訪日する中国などからの外国人観光客が、日本で象牙製品を購入し、持ち出してしまうことの無いよう、広く呼び掛けました。

訪日観光客は増加傾向にあり、日本政府は2020年までに外国人観光客を4,000万人(2015年の2倍)誘致することを目指しています。

そんな中で起こり得る象牙の持ち出しは、意図的な密輸はもちろん、たとえ個人の「おみやげ」であっても違法行為。

そうであることを知らずに購入してしまう人も、数多くいます。

また逆に、日本人の旅行者が、海外で象牙製品など、ワシントン条約で持ち込みが禁じられているおみやげ品を購入し、日本に持ち帰ってしまう例もあります。

イベントはそんな旅行者たちに、違法性を広く周知することを目的に開催ました。

訪日の観光客のみなさんと海外へ旅立つ日本人のみなさんへ

現在、象牙をはじめとするワシントン条約で規制の対象となっている動植物は35,000種以上。

それら野生生物由来の製品の日本への持ち込みに際して、水際で取り締まりを行なっているのが「税関」です。

今回のイベントでは、空の玄関口であり、この税関が置かれている羽田空港の国際線ターミナル内で、海外へ向かうみなさんに注意をしていただくように呼びかけました。

税関の情報発信ブース「情報ひろば」の展示の様子

税関のお仕事とワシントン条約の概要を紹介

空港ロビー内にある税関の情報発信ブース「情報ひろば」にて、クイズ形式での税関のお仕事や取り締まりの概要を紹介(常設展)と、ワシントン条約の概要と、アフリカゾウと象牙を取り巻く現状についてのパネルを展示。象牙に関する情報は、中国語での展示も行ないました。

象牙に関する注意喚起

過去に税関で押収した象牙製品をサンプルとして展示。持ち出し・持ち込みが禁止されていることを周知するためにバナー広告を掲示しました。

多くの方に知っていただくために

旅先でのお買い物への注意喚起は、どなたにも発信すべきメッセージとして空港を利用されるみなさんに広く告知。税関のイメージキャラクター「カスタム君」とWWFジャパンのマスコット「コパンダ」がメッセージと共に啓発ステッカーを配布しました。

カスタム君とコパンダ登場

配布したステッカーをその場で貼ってくださった方もいらっしゃいました

旅先でのお買い物に注意を呼びかける啓発ステッカー

裏面にはメッセージを中国語、英語、日本語で記載

2016年の1年間に、税関で差し止められたワシントン条約の規制対象品は723件(国際郵便等を含む)。

これらは、購入した本人が違法であると知らずに日本に持ち込み、任意放棄したものがほとんどであると考えられますが、中には、違法であることを承知で、意図的な持ち込みを行なおうとした例もあると考えられます。

また、巧妙な手口によって、税関でのチェックや、取り締まりをかいくぐり、違法な持ち込みに成功した事例については、果たしてどれくらいの件数が生じているのか、知る術がありません。

3月1日~31日、東京モノレールの浜松町行ホーム上デジタルサイネージは、外国人観光客向けのメッセージとして「象牙の持ち出しは禁止です!」を掲示。Li Bingbing氏を起用した中国のキャンペーン・イメージを転用しての展開。

そうした状況が、アフリカゾウなどの野生生物を生息国で追いつめていることを考えれば、たとえ、違法だと知らなかったとしても、おみやげなどの購入や持ち出し、持ち込みはしないように気をつけなければなりません。

象牙に限らず、野生生物に由来する製品は、過剰に利用すれば、その動植物の生存を脅かし、絶滅に追い込む影響を及ぼします。

そうした生物の生息状況や、生息地の環境を想像することも、問題解決の第一歩といえるでしょう。

今回のイベントは、アフリカゾウのおかれている深刻な密猟の状況を知っていただくため、特に象牙にフォーカスして実施しました。

WWFジャパンとトラフィックは、今後も関係機関と協力した、情報の発信や普及活動に取り組むと共に、国内で合法的に象牙取引を認めている日本が、国際的にその責任を果たしてゆけるように、国内の法制度の厳しい改善と、その施行の徹底を求めてゆきます。

日時 2018年23日(金)・24日(土)・25日(日)
場所 羽田空港国際線ターミナル出発ロビー「情報ひろば」
来場者 空港利用者(5,272名/3日間)
主催 東京税関、WWFジャパン・トラフィック

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